【映画】アフターショック/リア充全力で揺らしてみた【ネタバレ:レビュー】

スリラー

チリを襲う大地震を描いたディザスタームービー、Aftershockをレビュー及び評価、感想、解説。

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あらすじ

チリ旅行中に会員制クラブで知り合った6人の男女は、その内の資産家の息子、ポヨの案内でバルパライソ観光を楽しんでいた。

アルコール、ハッパ、重低音。
観光のシメに繰り出した最後の夜を大いに満喫する彼ら。

だがその時チリを、未曽有の大地震が襲う。
群衆は阿鼻叫喚地獄の様相を呈し、逃げ惑う人々の中で幾人もの屍が重なる。
そして大音量のサイレンが鳴り響いた時、誰もが顔を青褪めさせた。

「津波が、来る」

序盤は観光ムービー

クラブで踊る男女
ディザスタームービーを見る時は、序盤の冗長で退屈な時間の浪費を甘んじて受け入れろ



こんな格言は無いが、なんなら今ここで提唱してもいい。
大多数の災害パニック作品では本丸の要が訪れる直前まで、大層退屈な時間を過ごさねばならない。これはその後の悲惨さと対比させるために必要と考える制作が多いようで、かなり多くの作品で描かれることになる。

これがホラー作品などでやられるとたいへんにガックリ来るのだが、もはやディザスタームービーに関しては筆者は諦めた。
割り切ってチリの青空と陽射しを疑似体験するか、30分程度早送りしよう。

伏線やら必要な背景などは皆無なので、地震直前の映像に映画としての価値は一切無い。

想像を絶する悪意に満ちたシナリオ

災害に乗じるギャングたち

火事場泥棒や騒ぎにかこつけた暴徒の存在は、しばしば世界中で問題視されている。

作中では地震にこれ幸いと、近隣刑務所から囚人が脱獄した設定になっている。彼らの関与や、或いはそれを恐れ過ぎて疑心暗鬼に陥った民衆が更なる悲劇を起こしていくのだ。

これがなかなかエグみのある卑劣漢揃いであり、殺人、強盗、強姦となんでもござれ。
ある場面からポヨたちは彼らに追われるようになり、この時点でディザスタームービーというよりは、クライムサスペンス仕立てになっている。


またこれ以外にも、圧倒的に救いの無い場面が延々と続くことになる。
これは自然の厳しさや想像を絶するパワーを示すというよりかは、ショッキングで無慈悲に人の命が失われることに重点を置いているように見えた。

その執念深さは、もはや憎しみの片鱗すらも見える。
もしかすると脚本家は、ナイトクラブで騒ぐ陽キャを殲滅したいという破滅的願望の持ち主であったのかもしれない。

誰も優しくはなれない

自衛する母親
自分や家族を危険に晒すリスクを負ってまで、見ず知らずの他人に手を差し伸べられるか

これは国民性などに大きく左右される問題だ。

ではここで、カソリックが比較的多いと言われるチリの、現在の宗教的な勢力図を見てみよう。

2008年には国民の69%がカトリック信者だったが、2018年には55%に減少、その反面どの宗教にも属さないと答えた人々は同期間内に24%から11%上昇した。

NABEI NEWS



昨今のチリでは、教会による不正行為や、神父司祭による性的いたずらの事実が明るみに出て、大きくカソリック教徒の数を減らしている。また同教徒であっても、ミサや教会、司祭の存在を否定する者も多いと言う。


作中でラストあたりに、教会の門扉を叩く場面がある。
筆者としては、当然ながら内部は満員御礼と思っていた。だが実際には、神父が一人で立て籠もっているだけだったのだ。

この描写は意図してそうしたかは不明だが、現在のチリの宗教観を大きく表すこととなった。


カソリック教徒ですら最後の救いを求めない教会。奔流のさなかにある迷える民衆が、互いに手を差し伸べられる世界など、ありはしなかった。

評価

殺意の波動が最後までブレないディザスタームービー



救いの無い絶望の世界を好む方にはオススメである。

★★★☆☆
三ツ星の良作。
アフターショック(字幕版)
アフターショック(字幕版)

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