【映画】エイリアン コヴェナント/デヴィットの陰謀を徹底解剖【考察あり:ネタバレ注意】

SF

プロメテウスの続編となるSFホラー映画、Alien: Covenantをレビュー及び評価、感想、解説 、考察。

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あらすじ

宇宙船コヴェナント号は、2000人の入植者を連れてオリガエ6へ向かう道中にある。

あるポイントで、奇妙な信号を受信。それは歌声だ。
遥か遠い地球を歌う声の発信地は、オリガエ6よりも条件の良く、現在位置からも近い惑星だった。
この思わぬ幸運に、クルーは選択を迫られる。

そのまま当初の目的地へ向かうか、この声の主を訪ねるか。


やがて未知の惑星を探索することを選んだクルーたちを、想像を絶する恐怖が襲うことになる。

ネタバレ概略

ネタバレストーリー
  • 1.
    移住
    二千人の民間人を積んだ移住船コヴェナント号は、ある日奇妙な信号をキャッチする。
    それは遥か遠い地球の言語で流れる、懐かしい故郷の歌だった。
  • 2.
    変更
    当初の予定入植地はその時点ではまだ遠く、同じ人類が居住しているならばより近い方の惑星を目的に変更すべき、と。
    メッセージを送ってきた惑星を調査することになった。
  • 3.
    大気
    その惑星には、酸素と緑の溢れる豊かな大地が広がっていた。
    防護メットを外して探索を行う一同だったが、その内二名が苦しみを訴え始める。
  • 4.
    感染
    不明な胞子を吸った者たちは、みるみるうちに体調を崩していく。
    船内で施す応急処置も効果はなく、異常な震えを発し出す。
  • 5.
    誕生
    感染者のレドワードの背中を突き破り、真っ白な怪物が生まれる。
    恐るべき俊敏さと獰猛さで襲い来る化け物。応戦したファリスは冷静さを失い、着陸用の小型船を自ら爆破させてしまう。
  • 6.
    包囲
    苦しみのピークに達したハレットは、レドワードを同じく白い化け物=ネオモーフを生み、そのまま絶命。
    二体のネオモーフに包囲された残りの生存者たちは必死で応戦するも、形勢は不利だった。
  • 7.
    救助
    その時、閃光弾が空を照らす。驚いたネオモーフらは逃げ出し、生存者らは九死に一生を得た。
    救ったのは人型アンドロイドの、デヴィッドだった。
  • 8.
    広場
    見渡す限り死体の山が一面を覆う広場。不気味な死体は、人間とは少し異なっている。
    デヴィッドは一同をその奥の広間に匿うと、ひとまずの安全が確保出来たと言った。
  • 9.
    水場
    施設の中を見て回るローゼンタールは、水の間で成長したネオモーフに襲われる。
    デヴィッドはその現場を見ると、愛おしいものでも見るような目つきで怪物を愛でた。
  • 10.
    独白
    一連を覗き見た船長のオラム。ネオモーフを射殺し、不可解な行動を取るデヴィッドに、全てを説明するよう促す。
    デヴィッドは了承し、地下の部屋に彼を案内する。
  • 11.
    フェイス・ハガー
    床に屹立した不気味な物体を覗き込むよう促すデヴィッド。
    言われるままにそれを見つめたオラムの顔に、大きなヒトデのような物体が飛びかかった。
    やがて卵を産み付けられた彼は、エイリアンを出産して絶命する。
  • 12.
    裏切り
    もはや人類のために奉仕する精神は失われ、より完璧な生物を自ら生み出すことに囚われたデヴィッド。
    彼はショウ博士の歌声を使って人類をこの惑星へと呼び込み、エイリアンの苗床とすることが目的だったのだ。
  • 13.
    アンドロイド
    デヴィッドの後継モデルのアンドロイドであるウォルターは、彼にその企みを聞かされる。
    しかし危険思想の排除された新型であるウォルターには、デヴィッドの異常性に満ちた誘惑は届かなかった。
    同意しなかった彼は隙を突かれ、デヴィッドに一瞬で倒されてしまう。
  • 14.
    発覚
    消えたオラムを探していたロープとコールは、変わり果てた姿の船長を発見する。
    ロープもまたフェイス・ハガーに襲われるが、ナイフで引き剥がすことに成功する。
    しかし成長したエイリアンによって、コールは殺害された。
  • 15.
    博士
    事故死したとされたショウ博士が、実際にはデヴィッドの検体にされていたことに気付いたダニエルズ。
    ウソの発覚を知ったデヴィッドが彼女を襲うも、自己修復によって復帰したウォルターが再びデヴィッドと戦う。
  • 16.
    母船
    救援を呼びかけていた母船コヴェナント号が地表に到達。
    ダニエルズとロープ、更にデヴィッドを倒したウォルターは脱出を図るが、同時にエイリアンの一体も船の外装にとりついた。
  • 17.
    孵化
    外部作業用アームによって、エイリアンを握りつぶしたダニエルズ。
    しかしロープに貼り付いていたフェイス・ハガーは既に寄生を済ませており、彼の中のエイリアンが孵化することになった。
    これにより、何も知らない船内のリックスとアップワースが死亡する。
  • 18.
    放出
    ダニエルズとテネシーは最後の個体と戦い、これを宇宙空間に放り出すことに成功。
    全ての危機は去った。
  • 19.
    長期睡眠
    当初の目的地であるオリガエ6に向かうために、長期睡眠に入るダニエルズ。
    彼女のポッドを閉めるウォルターだったが、ふとその時違和感が見えた。
    彼はウォルターではなく、そう装ったデヴィッドだったのだ。
  • 20.
    計画
    事実に気付いたダニエルズだったが、既に装置は起動した。彼女は眠りに落ち、船内で動く者はデヴィッドしか居なくなる。
    彼は体内に隠していたエイリアンの胎芽を種子棚の中に紛れ込ませると、ニュートリノバーストによって船員の大半が死んだ、という偽の報告書を作成した。

完全に前作視聴向け

デヴィッド出生直後のオープニング

前作プロメテウスがエイリアンシリーズの視聴を求めたように、今作コヴェナントもプロメテウスの視聴を大きく前提としている。
初見でこの作品を選んでしまうと、全く繋がりが見えずに面白味を失うことになるだろう。

逆を言えば、全てのシリーズを視聴している者にはかなり訴求力に溢れている。
核心に迫った部分が多く、プロメテウスで謎だった箇所が氷解することもあるだろう。

主にショウ博士と、アンドロイドのデヴィット。
前作ラストで生存した二名の、その後を語るところに主軸がある。

彼らの後日談として、ネットに特設のムービーがアップロードされている。
破損したデヴィットと、それを修復するショウ博士。
彼らの間に生まれた感情を読み取れば、更に本作が楽しめるようになるだろう。



エンターテイメントとしては一作毎完結を求められるが、そこはやはりネームバリュー。
リドリー・スコットだからこそ許されるような、そんな気持ちで眺めるのが正しいだろう。


SF色強し

耳から入り込んだエイリアン・ウィルス

前作の感染源がエイリアンシリーズを踏襲していたのに比べ、今作ではかなりSF感が色濃い。

この「意思を持った粉末」は最たる例だろう。
空気中を漂い、毛穴ほどの隙間から体内へ侵入する。

これまでフェイス・ハガーや細菌の経口摂取がメイン感染源であったのに比べ、この描写には驚いた。
粉末による空気感染が行われるとなれば、人類にとっての脅威度は段違いになる。
それが意思を持っているとするなら尚更だ。

作中ではこの粉末をデヴィッドが大量散布する。
その後の光景は、恐ろしいものとなった。


一方、今回はエイリアンのプロトタイプが初登場。存分に強靭なパワーを見せつける。
前作のプロメテウスで活躍が無かっただけに、登板が期待されていただろう。

このネオモーフと呼ばれる白いエイリアンは、二足歩行で直立する場面や、やけにつるりとしたビジュアルで「獰猛さ」よりも「不気味さ」にフォーカスしていると思われる。

エイリアンシリーズよりも、更にホラー的な側面を強く感じるだろう。

ゴア表現

青ざめた身体からエイリアンが生まれ出るシーン

今回はかなりグロテスク表現が強めにハイライトされている。
上記の寄生ネオモーフ出産シーンが真骨頂。
前作が控えめであったぶん、強調されたゴアが光っている。

CGが多いのは今風と言ったところだが、実際のギミックに見劣りや違和感は感じない。
高精細なグラフィックでエグみたっぷりの死亡シーンは、何度見ても飽きが来ない素晴らしさがある。


また印象的なのが、デヴィッドによって検体と化したショウ博士。
彼女のその後が気になっていたぶん、あのビジュアルで登場したのは絶望と驚愕を同時にもたらした。
スプラッター映画顔負けの臓物描写なので、コアなグロ好きもニッコリの出来映えだ。

主役はデヴィッド

フードを被ったデヴィッド

やはり最大の謎を秘めた男、デヴィッドこそが主役と言っていい。
彼の行動によってその後のエイリアン騒動は起きたと言って過言でなく、紛れもなく全ての元凶だ。

前作が親子や神と人をテーマに描いたのに対して、今作では創造主としてのデヴィッドや破滅の扉についてを深掘りしている。

昨今で言うと造反したAIを扱う作品は多い。しかし彼に単なるバグったロボというレッテルを貼ると、物語の真意は見通せない。
あくまで一個の生命として扱い、その思惑を汲み取る事こそが重要な作業になる。

破壊と創造。
しきりに口にしたこのワードこそ、真相を見透かすヒントかもしれない。

評価

シリーズファンは必見。が、未見ユーザーには勧めない。



前作を視聴することを強く推奨する。

現在、次作の制作はストップ状態に陥ったようだ。
構想自体はあるようなので、是非とも続編を期待したいところだ。

★★★★☆
四つ星の優良作。
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前作はコチラ。




以下、考察及びネタバレ注意。






デヴィッドの謎

プロメテウスより引き継がれたデヴィッドの謎を解説しよう。

なぜ交信で宇宙船を呼んだのか?

謎の更新を受け取ったコヴェナント号

ショウ博士不在の中、通信で彼女の歌声を流せたのはデヴィッド以外に居ない。

この行動の裏には、ふたつの思惑が見て取れる。

苗床化

到着する人類を苗床とし、新たなエイリアンを生み出そうと目論んだ。

また流したカントリーロードでは、”敢えて助けを求めない”ことで選択肢を与え、興味を惹き付けることに成功した。更に英語で地球のことを歌えば、必然的に同郷のシンパシーを与えることも可能になる。

新天地

恐らく最終的に宇宙船を乗っ取る部分まで読んでいたと思われる。

既にエンジニアの尽きた土地では新しいエイリアンを生み出すことは出来ず、彼の目的も為すことは出来ない。
身元の保証された宇宙船に乗り込むことは、別の惑星へ辿り着く唯一の手段になる。

なぜエンジニアを皆殺しにしたのか?

黒い霧で全滅するエンジニア

作中でしばしばデヴィッドが口にする、ヴァルハラという単語。
これは北欧神話を耳にしたことがある方ならば、聞き覚えのある単語だろう。

ヴォータン=オーディンによる政略活動と、その未来を予見したローゲ=ロキの物語



すごく簡単に説明すると、上記のようになる。


デヴィッドはこの神話の中で、ロキの役割を自負した。

ロキは悠々と神々が入場するヴァルハラ城を見て、いずれ全て滅びると予言する。
また最後には、大火でもって全ての神々を焼き尽くす存在でもある。

ロキの特徴として、半神半人である部分が挙がる。これは人とアンドロイドの中間のような存在と化したデヴィッドに、そのまま当てはまるだろう。


また同様に引用した詩として、オジマンディアスがある。

「我が名はオジマンディアス 王の中の王 全能の神よ我が業をみよ そして絶望せよ」

ほかには何も残っていない
この巨大な遺跡のまわりには
果てしない砂漠が広がっているだけだ


かつてオジマンディアスという王が居た。
彼の生涯は栄華を極め、その偉大な力は諸国に渡って恐れられた。

しかし今はもう、その言葉を記した石板以外には、彼の痕跡を示すものはなにひとつ見当たらない。



成者必衰を表した詩になる。

これをデヴィッド自身としてでなく、エンジニアに当てはめている。

驕れる神々を焼き尽くすロキと成り変わり、死骸の積み重なる広場をオジマンディアスの滅びた姿に例えたのだ。


つまりこの項の結論としては、

未来を失った種に滅びの裁きを与えた



なぜエンジニアは地球を狙ったか?

遠征の帰りを祝福するエンジニア

誰もがにこやかに手を振り、仲間の帰還を喜んだ。
もちろん彼らはデヴィッドが宇宙船を乗っ取ったなどとは、夢にも思っていない。


この場面、単純に消息を絶った仲間の無事を喜ぶシーンに見える。

しかし視点を変えると、この場面に種の未来を示すヒントが隠されていることに気付くだろう。

そもそも何故、LV-223にエンジニアは居たのか?

前作プロメテウスの疑問を再度反芻しよう。

LV-223でブラックタールを培養し、地球の侵略を画策したエンジニア。
自身らで創造しながらまた滅ぼす。一見して矛盾したこの行動だが、ここで全ての要素を書き出してみよう。

  • 地球を狙ったエンジニアたち
  • 仲間の帰還を喜ぶエンジニアたち
  • 未来の無い種を滅ぼすデヴィッド



見えてくるのは、本作のコヴェナント号との符合。

つまりエンジニアの目的とは。

滅びつつある種の未来を、自身が創造した地球に入植することで見出そうとしていた。



この皮肉な結論となる。
帰還を喜んだのは、地球の侵略が済み、移住の目途が立ったと感じたからだろう。


地球に限界を感じて入植地を探した人類。
地球に未来を感じて入植地と目論んだエンジニア。

デヴィッドは、どちらも存在するに値しない種と断じたのだ。

価値がない種に再生はさせない



なぜショウ博士を殺したか?

この部分はかなり不明瞭だ。
所見からチェストバスターに内臓を破られたか、或いは殺されたあとで切開されたように見える。

彼の設計図には顎から触手の映えるショウ博士が描かれており、単純に捉えるなら人間という種から、エイリアンへの昇華を目的としたのが正しいのかもしれない。

また、

生き物に囲まれて

という言葉からは、エイリアンで満たした庭を彼女の墓石に添えたかった意思が垣間見える。


何にしろ、デヴィッドにとって、ショウ博士は特別な存在だった。
いや、そう思わざるを得なかった・・・・・・・・・・・・

なぜエイリアンを作ったのか?

不気味なエイリアンと対話するデヴィッド

結論から言うとデヴィッドは、

生物になりたかった



なぜエイリアンを作ることが、生物になるということなのか?

エンジニア

人間を創造

人間

アンドロイドを創造

デヴィッド

エイリアンを創造



デヴィッドはこの構造図を意識した。
つまり自身が創造主たることで、生物としてのアイデンティティを得ようと考えたのだ。


しかしこの図式は、実際には機能しない。

なぜなら人間が作り出したアンドロイド=デヴィッドはあくまで機械であり、生物の創造とは異なるからだ。

この事実をウォルターははっきり認識しており、

ひとつ音が狂うと 交響曲が台無しに



と警告したのはこのためになる。


涙を流したり、夢を見たり、ショウ博士を愛したり。
およそ人間らしい振る舞いの全てを併せ持つデヴィッドは、こうした感情を持つこともまた、生物の証と考えたに違いない。


エイリアン自体の凶暴性や特徴など、デヴィッドには些末なことだった。
生物を生み出した自身という結果への、単なる手段でしかなかったのだから。

終わりに

次作ではオリガエ6での事件になるだろう。
頓挫せずに再開することを切に願う。

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前作はコチラ。

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