【映画】オール・アイズ・オン・ミー/あの事件知ってる?悲劇のラッパー2Pac【ネタバレ:レビュー】

ヒューマン

伝説のラッパー、2pacの半生を描いたドキュメント映画、All Eyes On Meをレビュー及び評価、感想、解説。

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あらすじ

25歳にして凶弾に倒れた伝説のラッパー、2pac。

彼は美術大に通う生活の傍ら、ある日小銭稼ぎのつもりでバーでラップをしてみせることになった。
彼の才能を高く評価した周囲は、音楽家への道を薦める。

とんとん拍子に決まる契約に、驚くほど売れるレコード。世間は突如現れた新星のようなこの男に惜しみない賞賛を贈る。


しかし身に過ぎた大金は身を滅ぼす。彼は次第に多額の出費を繰り返し、元のレーベルで入る報酬では日々を賄えなくなった。
レーベルを移り、音楽性を時に変え、気に入らないアーティストを曲の中でバッシングした。

気付かぬ内に敵を多く作り過ぎた彼を恨む何者かの魔手が、今忍び寄る。

ネタバレ概略

ネタバレストーリー
  • 1.
    逃走
    ブラックパンサー党のムトゥル・シャクールを父親に持つ2pacは、その後指名手配となった父によって、つけ狙うFBIから逃げ惑う幼少期を送った。
  • 2.
    芸術学校
    ボルチモアの芸術学校で演劇を学んでいた2pacは、のちに終生の友となる女性、ジェイダと出会う。
  • 3.
    西へ
    母の都合でボルチモアを去り、西はカリフォルニア州、オークランドへ引っ越すことになる。
    そこで彼は、アメリカの抱える闇を見たという。
    街頭には麻薬と貧困が溢れ、引っ越し初日に目の前で、家族喧嘩の末の刃傷沙汰を見る。
  • 4.
    ラップ
    金が必要になった彼は小遣い稼ぎでラップを始め、そこで出会ったレイラという女性の薦めでデジタル・アンダーグラウンドのオーディションを受けることに。
  • 5.
    麻薬
    とんとん拍子でツアーに同行することとなった2pacだが、家に帰った時に母が麻薬を買い込んでいるのを目撃してしまう。
  • 6.
    スターへ
    単独でのレコーディングも始まり、更には偶然映画の配役も掴むことに。
    2pacは順調にスターへの階段を駆け上がっていった。
  • 7.
    契約
    大手レーベル、インタースクープ・レコードと契約に至る2pac。
    一方私生活では、母が薬物依存の治療に向き合うこととなった。
  • 8.
    暴力
    父が指名手配犯である彼はFBIに大量の資料を書かれており、また彼自身も政府を”最大の犯罪組織”と呼び、過激な発言とリリックで悪い注目を集めた。
    更にマリン郡では、成功を妬んだ黒人グループと大人数の喧嘩を始めてしまい、付近に居た子供が銃撃の巻き添えになる事件に関わってしまった。
  • 9.
    更生
    母が戻った。麻薬を絶った彼女は、逆に2pacへ警告を送る。
    黒人のリーダーとして目を付けられ始めたことで、今後一層の圧力があるはずだ、と。
  • 10.
    ビギー
    NYでライブを行った2pac。会場には友人のビギー・スモールも来ており、共に音楽観を語る。
    しかし人の人生観に訴えたい2pacとは異なり、あくまでビギーはビジネスライクだった。
  • 11.
    金欠
    派手な生活と弁護料がたたり、資金繰りが苦しくなる。
    この頃からインタースクープ・レコードとの関係は悪化し始めた。
  • 12.
    シュグ・ナイト
    デス・ロウ・レコード代表のシュグ・ナイトは、2pacに目をかけており頻繁に声をかけていた。
    彼は大金を積んで心を揺さぶると、デス・ロウへと誘う。
  • 13.
    銃撃事件
    夜間に黒人が二人掛かりの白人に暴行を受けているのを見た2pacは、咄嗟に拳銃を数発撃ち、その場を逃走した。
    しかし暴行を行っていたのは実は非番の警察官であり、図らずも大きな事件として報道されることとなった。
  • 14.
    起訴
    またある夜、部屋に居た女性がでっち上げた強姦容疑によって2pacは起訴される。
    また同時起訴されたナイジェルの手下は個人的な恨みから、2pacをスタジオビルのエントランスで銃撃した。
    身ぐるみ剥がされ、合計5発もの銃弾を浴びることとなった。
  • 15.
    有罪
    奇跡的に生き延びた2pac。しかし先の裁判で有罪を言い渡された彼には、18か月~4年もの刑が言い渡される。
  • 16.
    誤解
    刑務所でビギー・スモールの曲を聴いていた2pacは、ビギーこそが自分を撃つように命じた黒幕であると感じていた。
    疑心暗鬼に陥った彼には、信じるべき人物は分からない。
  • 17.
    派閥
    同刑務所内に収監されていた父ムトゥル。
    ある日彼が、対立する黒人グループの男を刺し殺すのを2pacは目撃してしまう。
  • 18.
    デス・ロウへ
    獄中の2pacへ面会に来たシュグ・ナイト。彼は味方の減りつつある彼の少ない理解者であり、今もなお契約を求めた。
    2pacはもちろん、これを受ける。そうして彼は、デス・ロウ・レコード入りを果たす。
  • 19.
    ドクター・ドレー
    釈放後、デス・ロウ・レコードの共同設立者であるドレーとの出会いを果たす2pac。
    作り出した「カリフォルニア・ラヴ」は異例のヒットを飛ばした。
  • 20.
    黒い男
    業界内でウワサされる通り、シュグ・ナイトの手腕は恐ろしかった。
    暴力と強烈な規律によって、何人もの仲間が無下に扱われるのを目撃した。
  • 21.
    対立
    この頃、東海岸のレーベルである”バッド・ボーイ・レコード”からデス・ロウ・レコードの関係者への懸賞金が出ているというウワサが流れる。
    バッド・ボーイには例のビギー・スモールやパフ・ダディが在籍しており、2pacは明確に彼らを目の仇にした。
  • 22.
    独立
    デス・ロウ・レコードとの契約を終える決心をした2pacだったが、シュグ・ナイトは簡単にはそれを許さない。折衷案として彼は、”デス・ロウ・イースト”という部門を作ることにした。
    西をシュグが、東を2pacが率いる形になる。
    対等なパートナシップを結ぶという条件に、2pacは了承した。
  • 23.
    内紛
    ラジオ出演したスヌープ・ドッグが、デス・ロウ在籍にも関わらず対立相手のビギーとパフ・ダディを擁護したことで、味方内から不満が噴出する。
    2pacも同じく、スヌープを腰抜け扱いした。
  • 24.
    乱戦
    ベガスの興行中に、カジノで以前いざこざを起こした相手を見つけるデス・ロウ・レコード一味。
    カジノの中は、一瞬にして乱戦騒ぎとなった。
  • 25.
    最期
    シュグの運転する車に乗った2pac。
    交差点で赤信号待ちをしている最中、隣の車から放たれた銃弾を受ける。
    6日後、彼は永遠にこの世を去ることになった。

2pacとは



最も有名と思われる彼の曲をピックアップしてみた。ヒップホップに疎い方でも、この曲ならばどこかで耳にしたことがある、という人は多いのでは。


2pacこと、トゥパック・シャクールはビリー・ガーランドとアフェニ・シャクルールの間に1971年に誕生したアフリカ系アメリカ人。


幼少期はNY州ブロンクスで育ち、晩年ではLAをホームグラウンドとしていた。

当時、西海岸と東海岸の音楽性は大きく違いをみせており、また所属する地域外のラッパーを見下す風潮にあった。(演出としての面も含んだが)

そういう意味では2pacはどちらの地域にも顔の利く男だった。実際に西海岸で活動しながらもNYへ遠征した折には、地元民から熱い歓迎を何度も受けている。曰く「おかえり!」と。


歯に衣着せぬ歌詞と、女性蔑視と思われる内容に一部の評論家からは大変な批評を受けることになる。しかし彼は「これがリアルなストリートの現状だ」とそれを曲げることはなかった。


後年、警官銃撃の有罪判決を受けて服役した際には、確執のあった母に向けた曲「Dear mama」をリリースし、今までに見せなかった彼の一面を受け、ファンは大層驚いた。


凶弾に倒れる

笑顔の2pac

亡くなる要因のひとつになったと思われるノトーリアス・B.I.G.(Biggie smalls)との確執だが、彼らは元々親しい間柄であった。

作中でも描かれているが、敵を作り過ぎて疑心暗鬼に陥った2pacの逆恨みを受け、ビギーは困惑したことだろう。


当作品で言及されていないが、ビギーもまたこの後に銃弾に倒れることになる。これは2pacの仲間による復讐と言われているが、真相は謎のままだ。


偉大なアーティストを一度に二人も失った業界は、この悲しい事件に胸を痛める。

その後、所属地域や音楽性の違いを曲にしたとて、実際に手を出して怪我をさせたり、殺めてしまうのはナンセンスだという共通の認識が広まった。

彼らの死を礎に、ヒップホップという文化の健全化が成されたといってもいい。

誰が2pacを殺したのか?

諸説あるものの、対立するバッド・ボーイ・レコードのビギーやパフ・ダディが関わっていたことが通説になる。
20年経っても未だ犯人は挙がっていない。

原因としては直接の実行者である容疑者が、抗争で死亡していることがある。
事実関係を洗えない以上、黒幕を辿るのは難しい。


またビギー・スモールがこの後死亡したのも大きい。
仮に彼による指示だとしたら、やはり黒幕を辿るのは難しい。


余談だが、ビギー銃撃の教唆をした最有力は2pacと同乗していたシュグ・ナイトとされる。
こちらも証拠は挙がらず、やはり解決には至っていない。
彼は現在、後年のひき逃げ事件で服役中である。

関係性を知るファンにはニヤリな展開

手を組むスヌープ・ドッグ

スヌープ・ドッグの争いを好まない姿勢を短いエピソードで挟んできたのには、ニヤリとさせられた。
彼は映像中の一件で、2pacと仲違いしたまま永遠の別れを迎えることになった。これを今でもスヌープは悔いているという。


この他にもDr.ドレーがスッ、とデス・ロウを移籍する話や、デモテープを聞いた2pacが「こいつらヤベェな、Outlaws!」と称賛するシーンがある。


詳しくない視聴者にはなんのことやらだろうが、こういった細かいエピソードはコアなヘッズの心を確実に掴みにいっている。

親友は女優のジェイダ・ピンケット=スミス

ウィル・スミスとジェイダ

ウィル・スミスの妻として有名な彼女だが、実は学生時代に2pacと同級生だった。
作中では彼女とのソウル・メイトぶりが描かれており、男女の関係を超えた友情を見せる。


彼が銃撃された当時は、二度目ということもあり生還を信じて疑わなかったそうだ。
その後彼の母が会いに来た時の顔を見て、2pacがもうこの世に居ないことを悟ったそうだ。

映画としての盛り上がりには欠ける

報道陣に取り囲まれる2pac

ドキュメンタリーテイストの宿命でもあるが、物語の緩急に欠けてしまった感が否めない。
ビッグマネーを掴む瞬間へ至るまでの過程や、銃撃されるシーンへの尺の配分がもう少しあっても良かったのではないかと思われた。


また2pacについて予備知識がある層へも、そうでない層へも訴求力に欠けるシナリオ構築に思う。

もっと振り切ってマニアックな人間関係の描写やレコーディング風景をたっぷりにするか、或いは無知識層向けに各シーンをもっと噛み砕いた親切な設計でも良かったのではないかと感じる。

コアなファンには既知の事実を映像化したものである以上、リアルタイムやその後追い世代向けの振り返りムービーの枠を抜け出していない。

全く彼を知らない世代に関しては関心を持つのかも少し疑問である。

評価

ヒッピホップを少しかじったことのある方にはお勧めの一作。

しかしコアなファン向けのマニアックな新事実等は見受けられない。
また全く彼を知らない方には、手放しでお勧めは出来ないと感じた。


色々不満点も書いたが、15年来のブラックミュージックファンである筆者にも充分楽しめた作品であった。

★★★☆☆
三つ星の良作。
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NYのスラムで生まれ育った2PAC。ブラック・パンサー党員の母に連れられ、住まいを転々とし、17歳の時カリフォルニアに移り住む。その頃、母親はドラッグ中毒で家庭は酷い有様と化していた。そんな彼はラッパーとなる夢を追い続け、2PACの名でソロデビューを果たし、着々とその名を上げていく。 だがある日、レコーディング・スタジ...

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