【映画】地球が壊れる前に/嘘?本当?地球崩壊をガチ解説【ネタバレ:レビュー】

ヒューマン

ナショナルジオグラフィック勢作、レオナルド・ディカプリオが2年間を費やして国連平和大使を務める姿を追ったドキュメンタリー映画、BEFORE THE FLOODをレビュー及び評価、感想、解説。



※Flood=洪水、浸水を指す。「地球が水浸しになる前に」が原題。

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あらすじ

レヴェナントの撮影のかたわら、ディカプリオは国連平和大使として世界中の現状を見つめる旅に出る。
温室効果ガスによる地球温暖化。
実際に各国で何が起きているのだろうか。

様々な人と出会い、時に実状を、時にデータを用いて、彼は地球の今を見つめ直す。

ネタバレ概略

ネタバレストーリー
  • 1.
    国連平和大使
    国連にて平和大使としてスピーチを行うディカプリオ。
    しかし彼は体面的なピエロでなく、この日のために2年間を費やして世界中を飛び回っていた。
    映像はここから、彼の2年間を追いかける。
  • 2.
    モルドール
    アメリカアルバータ州の原油採掘地。緑を切り拓いて生み出されたその大地は禍々しく、とても青々とした木々が茂っていた姿など想像も出来ない。
    ここで日夜生み出される様々な悪因を、原油採掘会社からの協力を得ながら考察していく。
  • 3.
    インド
    簡単に温室効果ガスを減らせない理由を手繰るため、ディカプリオはインドへ飛ぶ。ここで出会った環境センター長は、「貧困の連鎖を断ち切らない限り火力発電が無くなる未来は無い」、と言った。
    ディカプリオをアメリカ人代表として、厳しい非難を送る彼女。言い返せるような材料は持ち合わせていなかった。
  • 4.
    原油産業からの圧力
    温室効果ガスが地球温暖化を促進している証拠は無い。
    こう言い切る政治家と、それを支持し、多額の献金を行う原油会社との相関図が示される。
    とてつもなく深い闇への言及だ。
    温室効果ガスを温暖化に結び付ける科学者で、過去にバッシングや人格否定を受けた人物がインタビューに応じる。
  • 5.
    実状
    データで示す温度の上下よりも、長年同じ土地を見てきた者の言葉は勝る。
    北極圏から南の島まで、ディカプリオは様々な人物に近年の変化を問う。多くは氷の軟化や減少、また海面の上昇を答える声のみが挙がった。
    温室効果ガスが要因かはさておき、ともかく世界の温度は上がっている傾向にあることは間違いないようだ。
  • 6.
    有力者
    国務長官から大統領、果ては教皇まで。世界的に顔を知られたディカプリオだからこそ成せた会談で、深く突っ込んだ話を聞き出す。
    彼らの言葉のほとんどは決して楽観的でなく、時に最悪のシナリオを引き起こすことを懸念していた。
  • 7.
    スピーチ
    これはフィクションでなく、実際のストーリー。
    いつも演じる物語の中では大きなきっかけや救いがあるが、現実では脚本を書き換えることで結末を変えられない。
    ディカプリオが世界を見た中で感じたのは明るい未来や希望でなく、暗澹とした不穏の気配だった。
    彼は淡々と、しかし力強く国連で今まで見てきたものに対してスピーチを行う。
    地球が、溢れる前に。

石油採掘地の姿

"モルドール"のようになったアルバータ州のオイルサンド

アルバータ州、オイルサンド。
元々は緑豊かな森林を伐採し、その地下地層から日当たり35万バレルの合成原油を採掘している。

驚くべきはその地獄のような風景だ。画面奥側の緑が以前の姿であり、この荒涼とした大地も同じような木々が埋め尽くしていた。

映像中ではこれを、

モルドールのようだな
(ロード・オブ・ザ・リングで冥王サウロンの統べる地獄のような国)



こうコメントしている。言い得て妙だ。


森林の伐採を経た石油採掘は、二重の温室効果を生む。
それまで木々が吸収していたCO2が消化されず、尚且つ石油燃焼によって新たなCO2を生むからだ。

この一帯では採掘のみが行われ、やや離れた場所にパイプラインを介して油は輸送される。
そこでは抽出と精製が行われており、その過程で新たなガスを大気に放出している。


我々は無意識にガソリンスタンドで給油を行い、無意識に道を走る。だがそうした行動の陰には、このように消費される地球のリソースがあることを知らなければならないだろう。

単純な”自制”など無意味

牛ふんでかまどの火を工面するインドの少女

二酸化炭素排出量世界三位ながら、インドでは未だ三割、三億人の人々が電気と無縁の生活を送っている。
彼らの大半は牛糞をこねたものをかまどで焼き、日々の調理の火を得ている。

こうした困窮者全てに電力を分配するには、廉価な石炭を使用した火力発電以外には無い。
幸いインドでは多く石炭が埋蔵しているため、自国でリソースをまかなうことが可能になる。


これらは温室効果ガス削減と正反対の動きだが、果たして彼らを非難する権利が我々にあるだろうか?
日々の暮らしを犠牲にしてまで、他国の見も知らぬ人々や、名前も知らない絶滅危惧種を守る必要などあるのだろうか?


インドの科学環境センター所長はディカプリオにこう言った。

アメリカが化石燃料から脱却する姿を見せてください

我々に行動で示してください



世界最大のCO2排出国である、アメリカ。
そこからの使者として世界を巡るディカプリオには、アメリカ人としての厳しい責務を時に問われる。


多くの科学者は簡単に、

太陽光や水力、風力発電を行えばいい

と言う。


だが繰り返すと、日々の生活すらままならない人々にこのような警句は無意味だ。
隣の誰かの未来より、今ある自分の生活を守らなければならないからだ。

コストのかかり効率の悪いクリーンな発電方法よりも、高効率でダーティな方法を選ぶことは明白だ。
またセンター所長が言うには、インドはアメリカよりも大量の資金を既に太陽光発電に投資しているという。


忘れてはならないのが、インドよりも開発の遅れている国は世界中にたくさんあること。
それらの国が今後、化石燃料に頼った発電を行うことは、文字通り火を見るよりも明らかであろう。

脱却を見せた中国

光化学スモッグの噴出する中国

中国が以前、深刻な大気汚染に悩まされていたことは記憶に新しい。
市民はマスクやゴーグルの使用を余儀なくされ、健康面で大きな被害をもたらした。

国民の強い反発によって政府は方針を転換。再生可能エネルギーを主軸に取り入れる方向へ舵を切った。
既に太陽光や風力発電へ多額の資金を投じる中国。アメリカや前述のインドよりも、遥かに注力を見せている。


こうした背景には、民衆の絶え間ないデモや意見交換がある。彼らは実際に生活を大気汚染によって浸食されており、軽々には譲れない問題に展開した。
皮肉なことに”隣の誰か”ではなく、”今の自分たち”を守るために必要だったわけだ。


産業革命の節には、どの国も必ず深刻な大気汚染を経験する。
一躍先進国に踊り出た中国は、過去の苦い経験から環境問題への意識が高い国へと変貌した。

無くなっていく氷

レヴェナントの撮影に挑むディカプリオ

レヴェナントの撮影を行っていたカナダで、ディカプリオは思わぬハプニングに遭う。
暖冬の影響で、一面を覆っていた雪が全て融けてしまったのだ。
クルーは一同、アルゼンチンへと撮影場所を変えざるを得なかった。


このように実際に、世界中の氷や雪は融けている。
それが人間の排出した温室効果ガスによるものか否かはさておき、毎年気温が上昇していることは逃れ得ない事実だ。

キリバス共和国アバイアン島

沈みゆくアバイアン島

この島は水没の危機に瀕している。
洪水で飲料水は度々汚染され、住居すらも維持が困難になりつつある。
政府はフィジーに住居権を購入し、希望する者に移住を許可するという。

故郷すらも奪われる、海面上昇の業。

この国だけではない。
マイアミやカリフォルニアなども、いずれロスト・シティとして教科書の中の存在になると言われている。

カナダ北極圏バフィン島

氷の融けだした北極圏

地元の北極圏ガイド兼、漁師の男はこう語った。

昔は真っ青な固い氷でした
でも今はアイスクリームのようです



氷の塊で出来た北極は、温暖化の影響を真っ先に受けやすい。
長年に渡って氷床を見続けてきた男の言葉には、疑い切れない信憑性があるだろう。


2040年に北極点は、船で横断が可能になるという見通しもある。
氷の消えた北極。もはや言葉で感じるニュアンスすらも、いずれは変わってしまうのだろうか。

有識者との意見交換

俳優として有名なディカプリオらしく、多くの政界人や科学者との意見交換が映像中で行われる。
彼でなければ実現しなかっただろう面会の数々に、不思議な感動がこみ上げた。

イーロン・マスク

イーロン・マスクと対談するディカプリオ

世界的企業として自動車界に一躍踊り出た「テスラ社」のCEO、イーロン・マスク。
彼の見るビジョンに、自動車にとどまらない燃料電池の使用方法が語られた。

ソーラーパネルとバッテリーパックを用いて、送電線を引くのも困難な地域に電力を復旧させたい、と彼は言う。
村の共用スペースに充電池を配備するのだ。携帯電話、蛍光灯、飲料水ポンプ。

彼らが化石燃料に頼り森林を伐採する前に、こちらからより利便性の高いシステムを提供する。
単一でも構築の可能な太陽光発電システムは、それに最も適している。


驚くことに、彼の見立てでは、

ギガ・ファクトリー(バッテリーパック製造工場)が100棟あれば、全世界の電力網を持続的に維持可能である

とした。

もちろんテスラ社だけでギガ・ファクトリーをそれほど建造するのは不可能なので、政府主導が必須であるとはしたが。
とはいえこの案は、かなり現実的且つ具体的だ。

さわりを喚いて口角泡飛ばすだけの自然主義者と異なり、彼の言には築いた実績と権威性が込められているからだ。

バラク・オバマ

オバマ元大統領と対談するディカプリオ

米国、元大統領オバマ。彼が現役の頃に撮影されたフィルムである。

冒頭でディカプリオは自身をこう語る。

国連は僕の本心を知らない

僕は将来を悲観している

これは人選ミスだ(平和大使を指して)



彼は人類の未来を悲観的に見ている。

恐らく誰もが気候変動や大気汚染には耳を貸さず、きっと自滅する未来が来る。
自分はそれをただ、じっと見守るしか出来ない。



こうした背景の中で、ディカプリオがオバマに問うた質問は非常に興味深いものだった。

あなたは 極秘とされる情報にもアクセス出来ます

その上で あなたが恐れる未来とは?



オバマは逡巡ののち、こう返した。

国家安全保障問題を案じなくてはならない

世界が緊迫した状況になった時

それを乗り越える力が 果たして我々にあるのか?



この言葉の意味として、深刻な温暖化や大気汚染の果てに、人類同士の諍いや争いが待っていることを暗示している。


例えば”水”だ。

干ばつや汚染によって水が減りつつあるのはご存知だろうか?
既にメキシコでは水を争って大規模な殺傷事件が起きており、この先良質な水源は争いの火種になると予想されている。

また食料事情も同じことだ。
農作物が日照りで思うような収穫量を得られない場合、食事を巡った争奪戦が起きることとなる。


つまり我々を最終的に殺すのは自然の力でなく、あくまで我々自身であるということになる。

フランシスコ・ローマ法王

フランシスコ法王と対談するディカプリオ

ヴァチカンのトップであるフランシスコ法王は、環境保護について何度も意見を述べている。
こうした発言は教皇としては前代未聞であり、それまでの静観を決めていたヴァチカンの体制を大きく変えたと言えるだろう。

フランシスコ法王は非常に現況に危機感を抱いている。
昨今話題になったパリ協定に関しても充分な内容でなく、更なる邁進を目指すべきとした。

パリ議定書の空虚さ

多くの国々に支持を受け、たいへんな話題性を確立したパリ協定。
しかし本映像中では、この協定に関して「空虚さ」を指摘している。


ひとつに、明確な罰則が設けられなかったことが挙がる。

炭素税”という排出ガスに税金を設ける仕組みは以前から提唱されている。
代わりに市民税などを引き下げ、全体的な税収のベースを不変とすることで、国民から反発を買わずに排出ガスを減らす効果を期待される。

だが議定書ではこうした仕組みには触れず、単に「排出ガスを減らすことを合意」とした。
守れなかった場合に下される沙汰は、単に他国の白い目だけだ。

この中身の薄いシナリオを、ディカプリオやフランシスコ法王は懸念した。
つまりこれは最初の1ステップであり、単純にこの協定が結ばれただけで世界を変えるような力は無い、と。


またアメリカの協定脱退は記憶に新しい。
縛りを排した空虚な協定で、世界は変わらない。

How dare you !

国連でスピーチを行ったグレタ

本作品には収録されていないが、先日国連に向けて痛烈なメッセージを発したグレタ・トゥーンベリがこの映像集と深い関わりを感じさせる。

スウェーデンからヨットで馳せ参じた彼女は、「How dare you !」というフレーズで一躍時の人となった。


スウェーデンでは、国家主導で環境対策を行っている。元々国民の大半が再生可能エネルギーに対して積極的な国民性もあり、すぐさまこれらは浸透した。

更にデンマーク、ドイツ、スペインなども積極的にクリーンなエネルギーを取り入れており、欧州では大半の国家で環境を案じた政策を取っている。


しかしグレタには、一様に賛同の声が上がっているわけではない。
アメリカ現大統領トランプや、ロシア大統領プーチンは冷ややかな対応を取った。

またネットを中心に、一般層からも彼女には批判的な声が多い。
ヨット航海のパフォーマンスや、パブリックな場での強い言葉が最たる例になる。
彼女は自然主義派の傀儡」とする声もあり、プロパガンダの先駆として送り込まれたという見方もあるほどだ。


こうした背景には、悪いことに彼女の生まれが、幸福度ランキング上位常連のスウェーデンであることが起因しているだろう。
前述したように発展途上国では、温室効果よりも目先の生活が優先になる。彼らの窮状と温暖化を天秤にかけるには、裕福な国柄はマイナス要因にしかならない。

また発言に見合う行動を提示し切れていない部分もある。
本作品のディカプリオのように、あらゆる苦境を自ら見続け、多くの有識者と会談を重ねない内には問題の一側面しか見えてこないだろう。


How dare you !

強い言葉でなじろうと、背景の薄い者の声は決して刺さらない。
作中ラストでディカプリオが発したとしたらば、ここまで物議を醸すこともなかっただろう。

レオナルド・ディカプリオ

ディカプリオを非難するキャスター

だがディカプリオ自身も、初めから環境派として世間に受け入れられたわけではない。
国連平和大使任命時も、メディアからは厳しい意見を受けている。


若い頃にも辛酸を舐めた。

彼の最初の代表作「タイタニック」では、甘いマスクのせいもあって”ビジュアルだけの二流俳優”と揶揄されることも少なくなかった。
そんな折、25歳の時に彼は、「アースデイ」という環境保護の集会に招かれる。

やがてクリントン大統領と会合を果たした彼は、求心力を獲得。そこで出演したテレビショーにて、

電球を交換しよう

という呼びかけを行う。
発熱で温暖化を促進する白熱電球から、よりクリーンでスマートな蛍光灯への転換を促したのだ。




だが、目論見は失敗する。
もはや地球は、電球の交換程度で収まりの利くほどヤワな状態にはなかったのだ。


恐らくこうした経験を経て、ディカプリオは地球の将来に悲観的になっていったと思われる。

  • 変わらない環境
  • 耳を貸さない人々
  • 石油産業界からの圧力



20年近く環境運動を続けたディカプリオ。
彼が諦観したとして、もう責められる者など居ないだろう。

温室効果ガスで温暖化、はウソなのか?

温暖化ヒートマップを眺める研究者とディカプリオ

国務長官や元大統領、果ては法王にヤラセ番組を頼むことは不可能だ。
よって映像中で語られる彼らの言葉は(表向きであっても)真意と捉えて問題は無いはずだ。

またディカプリオが実際に訪れた地域では紛れもない現況が示される。水没の危機や、氷河の崩壊は確かに間近に迫ってはいる。


だが手放しに作品の全ての意見を取り込むことは出来ない。

なぜなら結局映像中で明確に、

温室効果ガス増大=温暖化の原因



という証拠は示されない。

全ては状況証拠でしかなく、過去の気温データとCO2排出量の比例関係を示すものでしかない。
つまり単純に、「地球のサイクルで温暖化している」というシナリオを否定出来ていないのだ。

おおよそ温室効果ガス否定派の意見は以下になる。

  • 人間の力で地球の環境を変えるなど不可能だ
  • 例年の気温は上がっておらず、むしろ下がっている
  • 過去に地球は大氷河期や灼熱の時期を経験しており、単なるサイクルだ



いずれの説も、完全に否定することは出来ないだろう。
現時点では互いに”悪魔の証明”の域を出ておらず、原告被告の立場も曖昧にある。


映像自体はフラット寄りでなく、完全に肯定派の目線で作成されている。
つまり無条件で鵜呑みにするのは危険だ。
視聴者なりの解釈で、いずれかの説を信用することが求められる。


ただしこの二極化した意見の裏側に、単純な科学的見地の相違以外の要素が含まれていることを知らなければならない。

暗躍する化石燃料業界

石油業界の暗躍を窺わせる図式

多くの原油商品を取り扱う企業は政界に顔が利く。
政治献金や票の誘導に大きな権力を持つこれらを蔑ろにしては、ケツを持たれていた政治家は慌てふためくハメになる。

そこで彼らはあの手この手で世論を誘導する。そのひとつが前述の「温室効果ガスと温暖化に直接の関係は無い」という意見になる。
時に科学者を脅迫し、新聞の社説で痛烈な批判を送る。また時には、スキャンダルで失墜を狙うこともある。

こうした化石燃料業界の暗躍によって、我々の意見は二極化の煽りを受けている。
名前は出せないが、日本でも馴染みのある企業が映像中では示唆された。


知らなければならないのが、こうした科学的見地以外の要因になる。
このような不純物を排した上で、フラットな視点に立った時に自分が信じるものが何なのかを見極める必要があるだろう。

なにをすべきか?

半分のバーガーでプリウス42マイルぶんのメタンガス排出を防止できるという図

肯定派にとって悩みどころは、「今、なにをすればいいのか?」という疑問になる。

もちろん環境意識の高い議員に投票することは求められるし、排出ガスの多いクルマは買い替えるべきだろう。


しかし映像中で示された最も簡易な方法として、

牛肉の摂取を”少し”控える



これが挙がった。


牛肉の摂取と温室効果ガスがどう関与するのか?
それにはCO2以外の温室効果ガスに目を向けることから始まる。

主に温室効果ガスの種類として、

  1. 二酸化炭素
  2. メタンガス
  3. 一酸化二窒素
  4. フロン



これらがある。

温室効果ガス配分表
by 気象庁



この中でメタンに注目したい。

メタン分子1個 × 二酸化炭素分子23個



驚くことに、これほどの温室効果に差があるのだ。


では牛肉の話に戻ろう。
牛の生育過程で、メタンは大量に排出される。
げっぷ、おなら、排泄物などから生まれるメタンによって、加速度的に温室効果が高まるのだ。


我々の全てが、ベジタリアンやビーガンになる必要は無い。
週に何度か食べていた牛肉を、ほんの少し鶏肉や豚肉に変えるだけでいい。
たったそれだけの積み重ねで、メタンガスの放出は圧倒的に減ることになるのだ。


デモを行ってその場限りのカタルシスを得たり、否定派をやり込めてマウントを取ることに意味は無い。
粛々と日々の中で、自分が出来る範囲を無理なくこなすだけでいいのだ。

宇宙科学から見る、地球の未来

宇宙の図

結論から言うと現宇宙に存在するものは全て、

冷たく暗い、孤独な存在

へと向かっている。


これを説明するにはやや専門知識が必要だ。

ダークエネルギー=遠ざける力
×
ダーマクター=引き寄せる力



宇宙ではこのふたつの現在観測不可能なパワーによって、遠ざけられたり引き寄せられたりしている。
そしてポイントとなるのが、

ダークエネルギー総量>ダークマター総量



この図式になる。

つまり現宇宙に存在するものは全て、互いに少しずつ遠ざかりつつあるのだ。

月と地球の距離が、毎年僅かに遠ざかっているという話を聞いたことがあるかもしれない。
これはその問題の一側面だ。

あらゆる物体がそれぞれ遠ざかりつつあれば、いずれ冷たく孤独な未来が訪れる。
空に星は無く、太陽も見えず、銀河は霧散し、独りぼっちの冷たい惑星。


これは蛇足だが、 現宇宙の組成物は全て「」への変換を目指しているのではないか?という説がある。
宇宙には鉄以外の物質は存在しなくなる、という理論になる。



さて上記が地球温暖化とどう関わるか、という話に戻る。

要約すると、現宇宙は人間にとって都合の良い方向には向かっていない、ということだ。

地球のあるべき姿

地球の図

地球のあるべき姿、と聞いてどんなイメージを持っただろうか?

  • 青々とした水の惑星
  • 木々の茂る豊かな大地
  • 生命の営みが絶えない奇跡の星



こうした想いを持つかもしれない。

しかし宇宙の星々に倣えば、これらは全て誤りだ。
地球のあるべき姿とは生命の星でなく、荒涼とした地獄の風景なのだ

金星の地表

上記は金星の地表。
太陽に最も近いこの惑星は、「地獄の再現」としばしば呼ばれる。

灼熱の大地に硫酸の雲が陰り、高い大気圧で物体は凄まじい風化を受ける。
およそ人の住めないようなこの惑星だが、地球との共通点は驚くほど多い。

  • 重力がほぼ同じ
  • 太古には似たようなCO2の大気を持っていた
  • オゾン層を有する



かつての人々は、金星を大層美しい美の星と想像していた。
空に悠々と光るさまを、神格化したり天使の使いと考えたのだ。

しかし実際に観測すると、その考えは過ちであったことが発覚する。
恐るべき地獄を体現したかのような真の姿に、我々の幻想は打ち砕かれた。


地球からひとつ隣の惑星がこの様相を呈しているという事実。
現に宇宙には、到底生命の生きていけない星がほぼ100%を占めている。


つまり現宇宙の目指す姿とは、多様性溢れる生命の誕生ではない。
その逆だ。
あらゆる物質の破滅と崩壊。命を許さない地獄の顕現こそが、我々に課された未来である。

”間借り”の延長

諸手に記した世界地図

前段で悲観を並べたが、筆者は別段、破滅主義者ではない。


言いたいことはすなわち、

我々は途方もない確率でたまたま地球に間借りさせて貰った奇跡のような存在であり、地球自体には人類を生かすメリットも意思も無い。
そこで混沌の方向へ大きく舵を取っている現宇宙に対して、同じ舵を切ることが果たして正しいだろうか?



抗わなければ、ただ滅びるだけだ。
なぜなら地球は、我々を助けてはくれない。

つまるところ地球温暖化対策とは、人類が生き延びるために必要なのだ。
地球にとっては気温が暑かろうが寒かろうが、特に何の不都合も生まれない。
ただ粛々と存在し続けるだけだ。


この極めて利己的な意思を隠してはならない。
地球のため」だの「自然を守る」だのと、上っ面の良いおためごかしを言い続ければ、いつまでも人心には刺さらないだろう。

無関心こそ悪

倒れる人に無関心な人々

温室効果ガスによる温暖化に肯定しようと否定しようと、結局氷は融けて海面は上がり続ける。
思想はどうあれ、本映像でその証言や証拠は得られた。

大事なのは対策だ。
現状で温室効果ガスによる温暖化否定派は、特段の対応策を練っているように見えない。
なるようになれ、で済めばいいが、既に被害は生まれているのだ。

つまり温室効果を否定しようとも、海面上昇や氷河消失の事実に向き合う姿勢を問われる。

「CO2を減らしたくない、ならばなにをする?」

こうした歩み寄りも肯定派には求められるだろう。
頭ごなしに互いを否定し続けることで、何もかもが遅々として進まない要因になっている。


しかし最も罪深いのは、こうした問題への無関心を決め込む者たちだ。
同じ惑星に居を構える我々には、否定なり肯定なりの姿勢を必ず問われなくてはならない。
どういう思惑を持つにせよ、これは喫緊の課題だ。

自分だけは知らない、というスタンスは許されない。


評価

地球住民にマストな問題を示した一作



温暖化へのスタンスがニュートラルでなかったにしろ、必見の課題であることに変わりはない。

★★★★☆
四つ星の優良作。
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アカデミー賞®で受賞歴があるレオナルド・ディカプリオとフィッシャー・スティーヴンス監督がタッグを組んだドキュメンタリー。気候変動によって世界の各地で起きている劇的な変化の興味深い真相を追求しながら、個人として社会として取りうる印象的なメッセージを贈る。

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