【映画】インターセクション/赤ん坊以外は全員悪党【ネタバレ:レビュー】

サスペンス

砂漠で遭難した男女を描くサスペンス映画、Collisionをレビュー及び 評価、感想、解説。

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あらすじ

ハネムーンでモロッコの砂漠にある高級ホテルを予約した新婚夫婦。
アメリカでヘッジファンドに勤めるスコットと、美人で気立ての良いタイラー。一見して裕福で幸福な未来予想図を感じさせる彼らだったが、実態は異なっていた。

タイラーの浮気相手、トラヴィス。
彼は砂漠で夫を殺害するよう、妻から依頼された暗殺者だった。

翌日。観光でレンタカーを乗り回すスコットに、トラヴィスの追跡が始まった。
やがてカーチェイスの果てに、両者は立ち往生していたバスに激突。多数の死亡者を出す惨事となった。

砂漠のど真ん中で遭難した五人の男女。命を懸けたサバイバルが幕を開けた。

ネタバレ概略

ネタバレストーリー
  • 1.
    高級ホテル
    モロッコの砂漠地帯、高級ホテル。
    スイートルームを予約したスコットとタイラーは、ハネムーンを存分に堪能中。
    しかし夜半にタイラーは寝室を忍び出すと、なんとトラヴィスという男と不義を果たす大胆さを見せた。
  • 2.
    計画
    トラヴィスはタイラーにGPS装置を渡し、翌日の行動をおさらいする。
    彼らが目論むのは明らかに、ひと目の無い砂漠での完全犯罪、つまりはスコットの殺害だった。
  • 3.
    カーチェイス
    翌日。スコットの運転するレンタカーは快調に砂漠を走る。
    そこへトラヴィスの車が現れると、激しいヘイト運転を行い始めた。
    止まれば身の危険があると察したスコットは、アクセルを踏む足に力を入れる。
  • 4.
    衝突
    事故は一瞬だ。
    勾配を抜けた先に停車するバスに気付いた時には、もう男を轢きながら突っ込むところだった。
    また後続のトラヴィスも同じく横転しながら激しくクラッシュし、また別の男を轢き殺した。
  • 5.
    無残
    スコットが目覚めると、酷い有様だった。
    バスは完全に廃車状態、そばのセダンでは閉じ込められた男と女、それに赤子。
    セダンの運転手は串刺し状態らしく、うめき声が聞こえる。
  • 6.
    引火
    急ぎセダンの乗客を救出する。後部座席の女性=オードリーと赤子は救えたものの、前席の男はなかなか救えない。
    そこで無事だった中東系の男=イサムは、こっそりとセダンから漏れ出るガソリンに引火した。
  • 7.
    昏睡
    天地逆さまになったSUVから救われるトラヴィス。彼は目覚めず、昏睡状態だった。
  • 8.
    焼死
    イサムの放った火が燃え広がり、セダンの男が更に苦しみ出す。
    一同はなんとか救おうと試みたが、イサムはパイプで彼を殴り、慈悲の死を与えた。
  • 9.
    徒歩
    そこへふいに、徒歩の男=サレイが現れる。彼はバイクが故障したために遭難状態だったと言い、一同に合流することとなった。
  • 10.
    死体
    サレイはバスの天井に括られた袋を開けると、中からは腐りかけの死体が現れる。
    持ち物はインターポールの身分証に、ダイヤモンド。
  • 11.
    修理
    壊れた車のパーツ同士を組み合わせ、砂漠を脱出する作戦を発動する一同。
    冷却装置を直し、タイヤを履き替えていく。
  • 12.
    覚醒
    目を醒ますトラヴィス。タイラーは慌てて殺人計画の口裏を合わせようと目論むが、実は全てスコットに筒抜けだったことが発覚する。
    彼は金を払い、トラヴィスを上手く使って妻の裏を掻いていたというのだ。
  • 13.
    実子
    タイラーに同情したオードリーは、自身の身の上を話す。
    彼女の抱く子供は実子でなく、恩人の子供だという。別れた妻に奪われた親権を、実力でもって取り返し、今は彼の元に届ける最中なのだという。
  • 14.
    意趣返し
    タイラーは自分に懸けられる殺人教唆の罪を、夫が持っている秘密口座の脱税と引き換えにしようと目論む。
  • 15.
    死屍累々
    修理が完了した車両で出発しようとした一同だが、そこでかねてより危険視されていたイサムの凶暴性が発現する。
    彼は隠し持っていた拳銃でトラヴィスを殺害、その後サレイがこれまた隠していた銃によって、彼自身も殺されることになった。
  • 16.
    正体
    サレイは死体袋の中身から判明したイサムの正体を全員に明かす。
    彼は殺人とダイヤ密輸でモロッコ警察に囚われていた罪人であり、護送中に起きた事故を好機として逃げ出そうと画策していたのだった。
  • 17.
    出立
    もはや全員が法的に危うい立場となった。同じ場所に居ることは危険なため、応急処置を施した車でその場を去ることに。
  • 18.
    発露
    通りかかったライダーグループによって、凄惨な事件現場が発見される。
    彼らはモロッコ警察にこれを通報した。
  • 19.
    協力
    同じ車に乗り続けると怪しまれるため、途中の街で替えの車を手配するサレイ。
    その時後部座席では、タイラーとオードリーが何やら秘密の話をしているようだった。
  • 20.
    乗換
    新しいセダンを受け取る一同。しかしタイラーは、何故か一行から離れてどこかへ消えていく。
    既に愛も情も尽かしたスコットにとって、彼女がどうしようと興味すら湧かなかった。
  • 21.
    先行
    ホテルまで送り届けられたスコット。サレイに礼を言うと、彼らは別れることに。
    だがそこで告げられたのは、既に妻が部屋に戻っており、金庫の中身を開けているという事実だった。
  • 22.
    工作
    部屋に戻ると、切られたパスポートに充電ケーブル。アメリカへの帰国を封じることで、自身の罪を逃れる算段だろう。
    怒りに震えるスコットは、タイラーが乗ったタクシーのあとを追う。
  • 23.
    再集結
    エッサウィラへ向かうサレイ、オードリー、タイラー、スコット。
    事故で結ばれた奇妙な縁が、再びモロッコの街に集おうとしていた。
  • 24.
    奇襲
    赤ん坊の父親、シリルへ連絡を入れるオードリー。
    暗い路地へサレイを誘い込むと、シリルは彼を殴り倒し、隠し持ったイサムのダイヤモンドを奪い取った。
  • 25.
    伏兵
    子供を抱え、オードリーと並んで歩くシリル。しかし突如向かいから現れたタイラーは、彼を容赦なく撃ち殺した。
    オードリーは示し合わせた通り、この場所へ彼を誘い出したのだった。
  • 26.
    復讐
    追ってきたサレイにより、ダイヤも赤子も奪われるオードリー。
    赤ん坊の母と恋人同士だったサレイは、全て計画済みで砂漠の事故現場に近寄ったことを告白する。
    オードリーを殺さず、司法に委ねたサレイ。
  • 27.
    愛憎
    遂にタイラーへ辿り着いたスコット。彼はゆっくりとナイフを彼女の腹に押し込むと、群衆に紛れて街を去っていった。

最初からクライマックス

砂漠の衝突事故

砂漠のカーチェイスからの、大事故。冒頭でいきなり起きたデカい事件で一気にスクリーンへ釘付けにする手法だ。
ホテルで密会したタイラーとトラヴィスから一般的なクライムサスペンスへ流れると見せかけてからの、この流れ。見事な裏切りだった。

事故による損壊やそれに伴う死傷者の様子などはかなりリアリティ志向で、本当に衝突事故が起きたかのような現実味を帯びている。
車内で串刺しになったドライバーなどは、痛ましさが生々しい。


この一件での死亡者は4名。必然的に、当事者同士の関係性を見失わせるトリックが働いたことになる。我々は少ない証拠から人間関係を紐解き、また生存者たちのウソを見破らねばならない。
単純な砂漠でのサバイバルとはまた異なる、ミステリー要素も盛り込まれているのだ。

サレイの修理技術がスゴい

ラジエーターに生卵を入れるサレハ
破れたラジエーターに卵を流して応急処置を行うワンシーン



修理屋を自称するサレハだけあって、手近な部品を用いた応急テクニックが光る。
特に卵を流し込んで破れたラジエーターを使えるようにする場面では、目が飛び出るほど驚いた。
まさかそんな方法があるとは。

他にもホイールナットを引っ叩いて外したり寝る前にスパークプラグを外しておいたりと、抜け目なく強かな知識を見せつける。
これにはクルマ好きにもニッコリの内容だ。

登場人物全員悪人

撃たれるトラヴィス

揃いも揃って全員悪人。これは死亡した者たちも含んでいる。
一番まともそうなのがサレイだが、彼とて聖人君子と呼ぶにはほど遠いだろう。

タイラー

驚くタイラー

悪女代表。

飼い殺されたくない」という共感し難い理由で夫の殺害を目論む。
そもそも結婚しなければいいのだが、やはりスコットの資産は魅力的だったのだろう。いわゆる結婚詐欺師になる。

冒頭から右肩上がりの順調なペースで視聴者のヘイトを稼ぎ、クライマックスシーンではとうとうその本懐を果たした。
登場が長かったぶん、得たカタルシスは大きい。


エッサウィラでオードリーと待ち合わせ、ダイヤ総取りのためにシリルを殺そうと共謀した。
後部座席でのヒソヒソ話感が、なんともいえないワルさを醸し出していた。

スコット

得意顔のスコット

脱税投資家。

隠し財産の存在を知られたため、放っておけば良かったもののタイラーを追うことに。
ナチュラルに人をやりこめて優越感を見出すタイプの、いわゆるマウント取りである本性を妻に指摘された。
とはいえ、殺されるほどの罪には思えないが。

結構な被害者感はあったものの、最後には重犯罪者へと転落。

トラヴィス

気を失うトラヴィス

眠り男。

彼は悪人というよりも、ちょっと足りない・・・・男だ。
不倫相手の家でベッドインしている証拠を握られ、引くに引けないところまで踏み込まされた。
絶望的な板挟みにもかかわらず、あまり深い思慮をしなかったのが失敗だった。

指示されていないカーチェイスをノリノリで始めたのが運の尽き。
いかにもアメリカの若者感溢れる、「テンション上がっちゃった」で身を滅ぼした彼。

オードリー

風に吹かれるオードリー

裏切り女子。

愛するシリルの子供を奪還、元妻オデットを半殺し。
ところがダイヤに目が眩んだため、タイラーとの山分け作戦のために殺人を共謀。

愛って儚い。

イサム

銃を構えるイサム

ゴリゴリのワル。

ダイヤ密輸、刑事殺害。拷問により残りのダイヤの在り処を吐いた。
クルマが修理し終わった際には恐らく全員を殺害する腹づもりだっただろう。

彼がエッサウィラに隠した残りのダイヤは発見されていないままだ。

サレイ

睨むサレイ

復讐の鬼。

オデットを半殺しにしたシリルとオードリーを追跡。
一見して正当な仕返しに見えるが、実態は天を騙った私的制裁。
またこっそりダイヤを懐に入れたのもポイントだ。

ラストで目くばせする彼とスコットは印象的だった。

刑事たち

事故寸前の刑事

悪徳刑事たち。

インターポール所属の刑事とされたが、ご存知、銭型警部のような形態は現実では用いられない。
捜査は主に当事者国家に委ねられており、従って本作でイサムを追っていたのはモロッコ警察である。

このモロッコ、たびたび刑務所内の劣悪環境が報道される。中には過剰な尋問を受けたことを暴露する者もおり、そうした現実への風刺がフラッシュバックで浮かんだイサム拷問のシーンである。

作中のこの刑事ら、純粋な捜査目的でダイヤを追っていたとは考え辛い。
過剰な暴力をもって残りの在り処を吐かせる姿からも、着服を目論んでいたことは想像に難くないだろう。
よって彼らもまた悪人だ。

エンタメ特化感

高級ブランドの紙バッグ

ラストシーンから分かるように、ロジカルな感想でなく、感情にダイレクトに訴える演出を好んでいる。
道中で与え続けたフラストレーションを一気に解放させることで、「なんとなくスッキリ」を思わせたのだ。

非常に明快で分かりやすくシンプルな一方、冒頭で示したミステリー感に対して用意した展開が物足りないのも事実。
やや強引でも、登場人物全員を紐付けてしまっても良かったようには感じた。

スコット・タイラー・トラヴィス
サレイ・オードリー
イサム・刑事ら



隠れた人間関係をあらすじなどでは匂わせておきながら、実質はこの3グループで完全に分割されていた。彼らを結びつけるのは事故のみで、運命力を感じるような構成でないのは確かだ。
トラヴィスやアユブを使うことで、もう少しフィクションならではの展開を所望したかった。

評価

ミステリアスに見せて、実は爽快感が最大のウリ



ストレス発散には丁度いい、万人向けの一作だろう。

★★★★☆
四つ星の優良作。
インターセクション(字幕版)
インターセクション(字幕版)

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