【映画】コンスタンティン/ガブリエルの思惑を徹底解明【考察あり:ネタバレ注意】

アクション

キアヌ・リーブス主演のダークアクション映画、Constantineをレビュー及び 評価、感想、解説、考察。

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あらすじ

地獄の魔王サタンの息子であるマモンは、その日世界の均衡を破るために禁忌を犯した。
彼は人間のスカベンジャーに「運命の槍」を掘らせると、その肉体を奪い取り、密かに計画を進行し始める。

運命の槍を掘り出した男


ところ変わって、ジョン・コンスタンティンの生業は悪魔祓い。と言っても彼のそれ・・は、厳格な神父の用いる儀式めいた神聖な趣とは少し異なる。
少々、いやたいへん荒っぽいと言って過言でない彼の手順は、しかしその界隈では折り紙付きであり、また頼られてもいる。

そんなジョンは、マモンの現世干渉の気配をいち早く察知。普段と異なる様相を呈し出した人間界に、恐るべき魔手が迫りつつあることを感じ出していた。

無敵の男、コンスタンティンの名にかけて。今、ジョンの最後の闘いが始まる。

ジョン

煙草に火を点けるジョン

エクソシスト。儀式で清められた銃器や、銀製の装飾品などを武器に悪魔と闘う。
多くの悪魔や悪魔側ハーフブリードから恨みをかっており、彼の生死に興味を持つ者は多い。

ヘビースモーカーで、肺は既に真っ黒。およそ30才で死ぬだろうと医者に宣告されている。
蝕まれた身体に絶望するも、それでも煙草はやめようとしない。

死後は地獄堕ちが確定しているようで、サタンが直々に迎えに来ると宣言済みだ。仮に地獄へ行けば、想像を絶する苦しみの螺旋を永久とも思える時間与え続けられるだろう。

アンジェラ

涙を浮かべるアンジェラ

女性刑事。双子の妹イザベルの自殺に疑問を持ち、真の死因を調べる内にジョンと関わりを持った。

多くの市民と同じように天界や悪魔についての知識はゼロであったが、イザベルの死を調べ続ける過程で悪魔の不評を買い、自身の命をも狙われ出す。

アクションと祈祷

メリケンサックをはめた手で祈りを捧げるジョン

メリケンサックに聖書。実にアンバランスで、爽快な組み合わせだ。

無敵の男コンスタンティンは、祈りの言葉だけを武器にしない。あらゆる怪しげな武具をビーマンから調達すると、惜しげもなく悪魔の手先どもに向けてぶっ放す。

「ヘルシング」のアンデルセン神父や「デビルメイクライ」のダンテにイメージとしては近い。

上質なCGと練り上げられたアクションで、ストレスフリーな戦闘シーンを楽しめるだろう。
また多くのシーンではCGがふんだんに使われているが、恐怖映画の類ではないので萎えるような気分にはならないと思われる。

凝った世界観と背景

翼を広げるガブリエル

設定へのこだわりはかなり強めだ。
天国、地獄、そして人界。これらの天秤と、そこに属する勢力図をストーリーの中で自然に悟らせる努力が窺える。

多くの熱心な信仰者や、また中二病患者にとって血を沸かせる固有名詞である、

ルシファー
ガブリエル


などの登場人物が現れるのもポイントだ。キリスト教に疎い方でも、これらの名前程度は耳にしたことが一度はあるだろう。

地獄の情景や天界の意思についてはやや独特だが、基本的宗教観については概ね現実のものと乖離は無い。
かと言ってガチガチの教訓ストーリーモノでもなく、エンターテイメントに寄せたアクションが軸なのでキリスト教に疎くても楽しめることは保障されている。


こういった設定を活かして、もう一作制作予定とプレスリリース後に発表はあったのだが、残念ながら現在まで続報は入っていない。

ありきたりなヒーロー像はナシ

エレベーターで出会うジョンとアンジェラ

90年代ジャンプヒーローのような聖人君子ぶりをジョンに求めてはならない。

彼は口が悪く短気で、愛想も悪く他人に厳しい。
そもそも神職を勤めるのも極めて利己的な目的のためであり、自らの保身のためにこの騒動へ挑んだ。


こういった単純なヒーロー像を排する動きはアメリカ作品ではしばしば見られ、戦争を題材としたものや純粋なアクション映画では多々見られる表現になる。
また限りなくそれに近い「スパイダーマン」や「エックスメン」ですら、彼らの悩み、狼狽え、時に道を誤るさまを描いている。

こうした側面を併せ持つことで主役はより「人間らしさ」へ寄り添うことを可能とし、より強い共感を勝ち取ることが出来る。
絶対正義の主人公が悪魔を吹き飛ばす勧善懲悪ストーリーが観たいならば、他を当たる方が賢明だろう。

評価

上級アクション映画、その名に相応しい。
爽快感を求める方にはお勧めの一作だ。

★★★★☆
四つ星の優良作。
Amazon.co.jp: コンスタンティン (字幕版)を観る | Prime Video
天国と地獄のエージェント。あなたはその戦いを、知らない方がいい。 Rating R-15 (C) 2005 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.




以下、考察及びネタバレ注意。






天使ガブリエル

ジョンに試練を課すガブリエル

作中でハーフブリードという設定だったが、本来のガブリエルはミカエルと並んで二大天使と呼ばれ、一部では大天使という呼称もある。いわば神に最も近い存在である。

目的

ガブリエルは人間に試練を与えるため、マモンに運命の槍を持たせ、アンジェラを呼び込んだ。
だがそもそも人間が試練を受けるという手段によってガブリエルは、どんな役得という目的を得ることが出来るのか?


本来、天使は「伝令」とも呼ばれる。つまりは神の意思を人間たちへ広く伝え、また彼らがもっと神について深く知るように促すことを役割としている。
各天使間で微妙な役目の違いはあるようだが、概ね全ての神の使いたちはこれを旨としている。

であればこれは、事態を差し向けた者が二択に分かれる。

神による指示

全ての差し金は自身によるものであり、結局は神によるワンサイドゲームであったという説。

ジョンやアンジェラ、ガブリエルにサタン。これらは傀儡でしかなく、盤上の駒だ。
しばしば皮肉として、全能神は冷淡で気分屋として描かれるが、今作でも同じであったというパターン。

仮にマモンが現世に君臨しようと、それはそれで面白い采配と感じていたのかもしれない。

ガブリエル独断

こっちの説の方が根拠は強い。
ガブリエルは禁忌とされる自我を芽生えさせ、独断専行にて人類の人間性底上げをはかった。サタンとの邂逅はまさしくその代償を描写している。

代償

業火で羽を失ったガブリエルは、ジョンに「人間に堕ちた」と評される。

これはかつて自我を持ち神に逆らい、その身を地よりも深く落としたルシファーの前例から持ち出されている。

ルシファーとは、

光をもたらす者



という意味を持つ天使の名であり、地獄の王として君臨する前のサタンの呼称である。

作中でガブリエルがサタンに対して呼びかけたのは、こういった背景を元にしている。

さて代償についてだが、神は自身の命を正しく伝えない、若しくは自我によって奔放な振る舞いを見せる天使には罰を与える。
それは堕天であり、すなわち天界への立ち入り禁止を意味する。

一見するとサタンの力によって羽をもがれたガブリエルだが、実際のところは神罰による影響と見られる。ということで前項では、後段の部分の方が根拠として強くなるということになるのだ。

それでも笑う

コンバットライフルを自身に撃つよう求めるガブリエル

「撃ち殺せたのに、しなかった!」ガブリエルは大層喜ぶ。

地に落ちて人の身になっても、未だ人間たちの成長を望んでいるガブリエルに奇妙な感覚をおぼえるだろうか。

この裏には「自己犠牲」の尊さが隠れている。
自害による地獄行きの運命を覆したジョン。このことから、如何に自己犠牲のパワーが偉大かを感じたと思う。

キリスト教では概ね最上の奉仕を自己犠牲と定めており、これを選べる人間には最大級の賛辞が送られる。ジョンが天国行きの切符を手にしたのはこういうからくりが潜んでいた。

ではガブリエルにはどうか?

人間の躍進だけを目的に、独断とはいえ神の意思を代行した
その過程で堕天したことは「試練」であり、これを乗り越えることを神は望んでいるに違いない
この先辛く険しい道のりを人間として過ごすことは、一種の尊い自己犠牲である


こういった思惑がある。ガブリエルもまた、自己犠牲への道を歩むことを喜んで受け入れる肚づもりなのだろう。

例えあの場でジョンが引き金を引いていたとしても、それは彼の成長への試練として立ちはだかったという大義があり、死ぬこともまた自己犠牲のひとつだ。
つまりガブリエルにとってもまた、結果がいずれであろうと構わなかったという意思が見える。

終わりに

独自解釈や練られた設定の面白さが目を引く作品だった。
続編も何とかリリースしてもらいたいものだ。

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