【映画】デッド・サイレンス/死を呼ぶ腹話術人形ビリー【ネタバレ:レビュー】

ホラー

腹話術人形を巡って繰り広げられるホラー映画、DEAD SILENCEをレビュー及び 評価、感想、解説。

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あらすじ

ある日差出人不明の奇妙な荷を受け取るジェイミーとリサ。箱の中身は不気味な人形であり、ビリーという名が授けられていた。
ジェイミーはこの人形が不吉なものであるということを、確信めいた思いを巡らさらざるを得なかった。

悪い予感は的中し、リサはその晩舌を切り取られるという怪死を遂げた。
不幸なことにジェイミーは最有力の容疑者として警察からマークされる。

彼は自信に着せられた濡れ衣を晴らし、妻の死の真相を知るために「メアリー・ショウ」という謎の腹話術師を調べ始める。
この呪われた腹話術師は子供の怪談遊びに現れる怪人で、叫んだものの舌を切り取るという。

奇妙な符合は続く。彼の故郷であるレイヴンズ・フェアとメアリー・ショウの間には、密接な関係があったのだ。
真相に近付くにつれて、腹話術師にまつわるおぞましい呪いの事実が浮上し始める……。

高速展開

看板に映された桟橋

テンポは素晴らしく良く、無駄なシーンを可能な限り排している。
尚且つその過程で起きたことを簡潔に分かりやすく描写する術に長けており、特にそれがシーンチェンジの部分でひときわ異彩を放っているのが窺えた。
ともすれば冗長でダラダラした展開になりやすいホラーだが、本作にはそういった心配は無用だ。

一方で恐怖シーンになると適切なピッチダウンを行い、しっかりと間を持たせることも忘れていない。細部で速度感をコントロールすることで、我々にとって最も良い映像体験を提供することを意識しているのだろう。

こうしたユーザービリティを最優先に考える姿勢はとてつもなく好印象だ。
映画を自己表現のみに私用する歪んだ制作者らとは異なり、デッド・サイレンスの制作チームはそれを受け取る側を最も近く、そして最優先にしている。

サービス精神溢れた作品提供に、敬意を示したい。

視線

横目で見つめるビリー人形

ビリーの瞳に注目頂きたい。

人形を不気味たらしめる最大の要因は、やはり眼のリアルさに尽きる。まるで人間の眼球をそのままくり抜いたような精巧なふたつの球体が、ぎょろりと左右に揺れ動くたびに不快感をおぼえる方も少なくないだろう。


元来、視線とはそもそも不吉の証だ。視覚を有するすべての生物は、視線によって攻撃態勢を示したり、逆にそれを警戒する習性がある。
サバンナでシマウマを見つめるライオンが、肉を喰らう衝動以外で縞模様を眺めるだろうか。
否、視線とは相手を襲撃する前段階の合図であり、最終通告でもある。

貴方が猫や犬と仲良く出来ないのは、彼らの瞳を真正面から見つめているからだ。
人間と近い距離感の生き物にも、この習性は受け継がれている。

また本能から遠ざかった人間のあいだですら、それは未だに理性の裏側に潜む。人と視線を合わせることを拒む者や、通りすがりに目が合った者を威嚇する輩。
こういった一見して不可解な行動はその実、本能的には正解を指す一連でもある。


作中でもビリーの目玉がぐるり、と動くと、それは不吉の起こる前触れになる。
彼の最終通告を受けて生き残る者が、果たして何人いるのだろうか。

CG使用

梁から手を出す悪霊
どことなく、今はもう失われた、古き良きJPホラーの名残を感じるようなシーン。



今作で残念な部分は、目立つシーン、例えば人形に憑りついた悪霊が飛び出す場面だ。
この手の注目が集まりやすい部分にCGを使用してしまうと、極度にチープさが増す。
特にホラーで顕著なこの効果は、よろしくない演出の代表格だ。

もちろん遠景や群衆、車などはこの限りではない。CGは安全面に於いては最大限のリターンが見込めることもあり、特に運転や危険なアクションシーンでの使用は推奨されるべきだろう。

だがこと怪物や、悪霊というメイン要素に至ってもCGで描写してしまうのは問題だ。
いかに場面の勢いや表現の幅が広がりを見せるにしろ、やはりコアなファクターはプラクティカル・エフェクトで構成すべきである。


上記画像のような「手」だけでも、十二分な恐怖は実現出来る。
貞子3Dのような三流コメディにならないためにも、コンピュータ上でない技術を追求することはホラー界隈にとっては喫緊の課題である。

謎解きアリ

父の異変に気付く息子

ジェームズ・ワンといえば映画SAWシリーズを手がけた有名監督であり、本作も彼の率いるチームによるプレゼントになっている。

特にラストシーンで点と点を繋げる独特のフラッシュバック演出で、数々の伏線を一気に回収する演出は今作にも踏襲されている。

爽快感と驚きに富んだ謎解きの終わる時、改めてこのチームの腕の良さに気が付くだろう。

評価

上級ホラー作品。
ジェームズ・ワン節が好きなら必見、そうでなくともホラーファンならばお勧めである。

★★★★☆
四つ星の優良作。
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差出人不明の腹話術人形が届けられた直後、舌を切られ惨殺されたジェイミーの妻。彼らの故郷に伝わる古い言い伝えは腹話術人形の詩だった。妻の死の真相を知るため故郷レイブンズ・フェアへ戻ったジェイミーだが、舌を切り取られる猟奇殺人事件が次々に起こりはじめる!埋めても戻ってくる腹話術人形、101本の人形を埋めた墓地、廃墟となった...



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