【ドラマ】フォー・オール・マンカインド/1-3【ネタバレ:レビュー】

SF

Apple TV+より配信中のドラマ、For All Mankindシーズン1エピソード3をレビュー及び 評価、感想、解説。

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あらすじ

フォン・ブラウンはニクソンの差し金で罷免を受け、NASAを去った。
ディークは辞職したエドを呼び戻し、アポロ15号のクルーとして再び宇宙飛行士への道を示す。
そしてアポロ12号は発射を開始。11号に続き、再度月面を目指した。

だがソ連の有人飛行船から降り立った女性宇宙飛行士の存在で、事態は大きな変動を見せることになった。

ネタバレ概要

ネタバレストーリー1-3
  • 1.
    大空の愛
    ゴードーとトレイシーの出会いが描かれる。
    彼らはプロペラ機の飛行で知り合った、操縦士同士だった。
  • 2.
    対抗策
    ニクソンはソ連の女性飛行士登用を受け、可及的速やかにNASAへ同じ戦略を取らせるよう通達。
    以前中止された”マーキュリー13計画”のふたりを筆頭に、20名の人材がピックアップされた。
  • 3.
    月の乙女
    ニクソンは”大空の愛”の記事を気に入り、トレイシーを飛行士の代表に仕立てるよう仕向けた。
    ただしそれは極めて体面的な理由であり、ディークは渋い顔をした。
  • 4.
    快諾
    ディークはゴードーとトレイシーを訪ね、飛行士としての訓練をオファーする。
    彼女はこれを快諾し、夫と同じ職場で宇宙飛行士を目指すこととなった。
  • 5.
    苛立ち
    カレンはトレイシーの一報を聞き、長年かけて努力してきた、夫含めた現役の宇宙飛行士らを愚弄する行為だと憤った。
    だが愚痴を聞かされるエドにとっては、あまり関心のあることではなかった。
  • 6.
    期待
    マーキュリー13計画でトップ2だったパティとモリー。
    今計画でやっと宇宙に行けるとやる気に満ち溢れるパティとは裏腹に、モリーには再び計画自体が頓挫する未来が見えていた。
  • 7.
    上々
    ジェット機の飛行テストに挑むトレイシー。
    教官のエドによるアドバイスがあったとはいえ、長いブランクを感じさせない、上々の操縦テクニックを見せつけた。
  • 8.
    方程式
    再突入に関する方程式の筆記テストを実施するマーゴ。
    まるで授業を聞いていないモリーだったが、満点の実力を打ち出してみせた。
  • 9.
    最下位
    基準に満たない者は、定期考査にてどんどん落第させると豪語したディーク。
    しかしトレイシーは、すんでのところで最下位にて滑り込み続ける。
  • 10.
    アウトポスト
    NASA関係者御用達のバー、アウトポスト。女性訓練生の一同は、気晴らしに飲みにくり出した。
    そこでパティとモリーは、男性優位の時代が終わりつつあることを実感し始めていた。
  • 11.
    無様
    モリー、ダニエル、トレイシーは合同で宇宙飛行船の模擬訓練に挑む。
    そこでトレイシーは、明らかに自分の実力が見合っていないことを痛感させられてしまう。
  • 12.
    融通
    実力が満たないにも関わらず、なぜか落第しない自分。
    ショーティによるイメージ戦略に勘付いたトレイシーは、笑い種にされるくらいなら辞退したいと夫に相談するが、それをゴードーは引き留めた。
  • 13.
    月面を捉えた衛星写真に、氷のような存在が発見される。
    仮に月面上に水が存在するとなれば、これまでのリソース問題を一発で払拭出来る、革命的な知らせだった。
    沸き立つNASA一同。
  • 14.
    砂漠
    新たな訓練は、砂漠地帯を20kgの荷物を背負い、30kmの道のりを14時間以内に踏破するという、極めて過酷なものだった。
  • 15.
    トップ
    10時間でゴールへ辿り着くモリー。しかしトップは、それよりも前に到達したパティの方だった。
  • 16.
    負傷
    岩下で足を負傷したエレンを発見するトレイシー。チームワークを見るための試練ではないと念を押されていたが、彼女は看護師時代の技術でエレンを救助した。
    そして肩を貸し、共にゴールを目指すことになる。
  • 17.
    時間切れ
    ディークは14時間を知らせる無線でトレイシーらに呼びかける。
    しかし丁度その時、エレンを担いだトレイシーがゴール地点に到達したのだった。
  • 18.
    女性
    全世界の女性たちから、NASAの訓練生に向けたファンレターが届く。
    世界的に女性の地位向上を呼び掛ける声は強まり、大きな時代のうねりを創り出していく。
  • 19.
    警句
    ディークはトレイシーを呼び出し、言外に圧力が働いており、彼女を落第させられない事実を告げる。
    その上で次の課題が命を落としかねないことを警告し、自ら辞退してほしいと頼み込んだ。
  • 20.
    続行
    挑戦したい、という自らの想いに気付いたトレイシーは、ディークの頼みを断る。
    彼女は月着陸船の試練に挑む。
  • 21.
    ベッドフレーム
    月着陸船を模した訓練機、通称ベッドフレーム。
    ニール・アームストロングすらも数年前に死にかけた危険な訓練であることを告げるエド。
  • 22.
    黒煙
    休日に車を走らせるゴードー。その時空軍基地から上がった黒煙に奇妙な胸騒ぎをおぼえた彼は、急ぎ妻の訓練場へ向かうことに。
  • 23.
    爆散
    消防の行われる現場。ゴードーは妻の名を叫ぶ。
    そこで煙の中から無事に現れたトレイシーは、パティがベッドフレームの操作を誤り、墜落させてしまったことを告げた。

主役はトレイシー

フライトに行く過去のトレイシーとゴードー

1-2ラストでソ連の女性宇宙飛行士が月面に着陸する場面を、目を輝かせていたトレイシー。
彼女がニクソンの指名によって訓練生に選出されることから1-3は始まる。

およそ夫を通さねば宇宙飛行士とは無縁、更にはジェット機はおろか、プロペラ機すらも数年間運行させていないトレイシー。
彼女が今エピソードのキーになるのは、いささか驚かせられた。


最有力のモリーやパティに比べ、明らかに劣るトレイシー。
政治的な意図に彼女が気付いた時、明確な嫌悪感を示したのは印象的だった。

ニクソンはうわべでは女性の権利を主張する一方で、実質は体面的な要素しか見ていない。
つまり彼女は性別と容姿をイメージとして扱われてしまった、いわば最も酷い性差別被害者になる。

夫のゴードーはこれまた、なんというか鈍い男なのでこうした水面下に気付かない。
1-2で行われた彼の浮気シーンが、この場面でジャブのように効いてくる。

またカレンの反発も印象に残る。
彼女は実績に乏しいトレイシーの登用が、現役宇宙飛行士らへの侮辱だと受け取った。
またここでも、夫のエドは無頓着で鈍い一面を見せる。

女性初の宇宙飛行士は?

ワレンチナ・テレシコワ紹介

ワレンチナ・テレシコワというソ連の女性が、人類史上初の女性宇宙飛行士となる。
現実では月面着陸を果たした中には女性は含まれていない。


ソ連(ロシア)が女性飛行士の登用に意欲的であった一面は史実から見えてくる。

というよりも性別で区切らずに能力値だけを比較する手法ならば、単純に分母は二倍になる。
効率的で極めて理にかなった手段を選んだだけ、というのが実情なのではないだろうか。

不愉快な男女均等への反発

怒るトレイシー

作中のトレイシーがニクソンの思惑を全て汲み取ったとは考え辛いものの、少なくともディークとの面談を経て、なんらかの圧力によって自分が不本意に落第を逃れていることは理解した。


実際、彼女はとうに及第点を逃している。

ディークは長官や大統領による命令によって、自らは落第させることが出来ない。
しかし彼女のスキルは宇宙飛行士として壊滅的に危険をはらんでいる。今のまま訓練を続ければ、やがて命すらも危ういだろう、と。

その結末がラストシーンの黒煙であり、正直、彼女は死んでしまったと思った。

現代雇用システムへの暗喩

今エピソードの意匠はここにある。
現代の雇用問題を写実したような構成になっているのだ。


女性の雇用について、現代の世界中の企業は見直しを求められている。

欧州はそのトップクラスであり、すでに男女が互いに偏見を持たない仕組みが完成しつつある。
逆に中東やアジアは遅れ気味で、日本もそれは同じである。

一方のアメリカだが、実は”強い女性”をイメージとして打ち出しながらも、案外米国内の女性には被差別がいまだにある。
それは郊外ではより強く、地域差がかなり大きいという。


こうした前提の払拭として、企業には、

  • 一定数以上の女性管理職の登用
  • 男女で乖離の無い給与
  • 性別による不都合な人事の撤廃



こうした動きを求められる。

これらは政府がプロトタイプを真っ先に求められ、それがすなわち女性大臣入閣などに現れる。


しかし皮肉なことに、作中のトレイシーのような被害者を生み出すこともしばしばあるのだ。

能力値が満たないにも関わらず、イメージ戦略として起用される



根拠のない劣等をあおる差別と反対の、見合わない優等をまつりあげられる差別になる。
自分の実力不足を認識していながら、それ以上の評価を不本意に押し付けられるのは屈辱だろう。


年代も事実もまるで異なる作中の中に、現代との共通点をうまくオーバーレイさせる見事なシナリオ構築だった。

今後の展開は?

爆散するベッドフレーム

かなり気になる今後の展開。
パティの安否はもちろん、訓練計画の続行はいかに?


アポロ1号の悲惨な事故では、三名の犠牲者を生み出した。
その後フォン・ブラウンによる主導のもとで、命をなによりも最優先するシステムが構築されていた。

だが彼の辞職まもなく起きたこの事故。
パティの生死が大きく展開に関わることは想像に難くない。
仮に彼女が死亡した場合、これまでと同様の”月の乙女計画”は進行しないと思われる。


しかしニクソンは簡単にこれを中止はさせないだろう。
ソ連に先んじられたことを苦々しく思う大統領は、必ず女性宇宙飛行士を選抜しろと迫る。

このあたり、ディークとジーンがどうやって権力に対抗していくかが見ものになる。
あまり造反が過ぎれば、ブラウン博士と同じ轍を踏むことは明白だろう。
ニクソンは手段を問わず、自分の気に入らない人物を更迭することは示されているのだから。

総評

もうソ連に勝てるビジョンが見えない



世界がマルクス主義に染まる日も近い、のか?

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1-4は以下から。

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