【映画】ヘルガール/ぶん投げシナリオを解読【考察あり:ネタバレ注意】

ホラー

湖畔のロッジで地獄少女が暴れ回るホラー映画、HELLGIRLをレビュー及び評価、感想、解説 、考察。

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あらすじ

インチキながらも除霊番組でテレビショーの枠を持つリンジーたち一行。
彼らはある湖畔の避暑地で除霊を依頼される。報酬は2万ドルと破格だ。

いつものように定点カメラの映像に編集を加えて作業完了、と思いきや、初日からメンバーのニッキーが失踪。彼女はやがて死体となって発見された。

失踪人として1万ドルの懸賞金を懸けられた少女、チャリティー。
無愛想で、怪しい依頼人。
蠱惑的な謎の女性、ローラ。

全てが符合する時、恐ろしい事件が幕を開ける。

ネタバレ概略

ネタバレストーリー
  • 1.
    霊能番組
    インチキながらも、霊能番組の30作目を収録しに湖畔のキャビンを訪れるクルー一同。
    同時に依頼人からは破格の2万ドルという報酬で、炭鉱の幽霊を除霊することを請け負う。
  • 2.
    謎の女
    一日目は休暇のようなもので、パーティを楽しんで夜を終えることに。
    演者のリーダー格タイラーは、ローラという謎の美熟女に誘いを受ける。
  • 3.
    怪童
    夜間外を見回っていたプロデューサーは、悪霊の少女に囚われ、一瞬にして殺される。
  • 4.
    素材
    映像編集でインチキ番組を作っている一同は、いつものように素材となる隠しカメラを至る部分に取り付け、夜間の出来事を収録しておく。
    もちろん、これまでの29作品では怪奇現象など起きたことがなかった。
  • 5.
    水底
    二日目、クルーのひとりが惨殺体となってプールの底から発見される。
    いつもと異なる展開に、一同は本腰を入れて悪の権化を調べ始める。
    また一連の陰に、キャビン周辺でたびたび目撃されるローラが怪しまれることに。
  • 6.
    隠蔽
    ネットの情報をクラッキング中、依頼人によるwebページ削除の痕跡を発見する一同。
    湖畔のキャビンでは多数の殺人が何件も遠い昔から起きており、土地の時価価値を保つ為の隠蔽工作と思われた。
    しかし払ったコストに見合う対価があるかといえば、その不人気な休暇地はそれほどの土地には思えなかった。
  • 7.
    少女
    懸賞金もかけられている、少女チャリティー。彼女の痕跡を辿ることが真相への近道と思われた。
  • 8.
    覚醒
    リンジーはたびたび霊能者役として出演していたが、この湖畔に立ち寄ってから様子がおかしくなる。
    彼女は突如憑依状態のようになり、キャビンを飛び出して走り出す。
  • 9.
    地下坑道
    一同がリンジーのあとを追いかけると、そこには地下に隠された地下坑道があった。
    依頼人が除霊を望んだ炭鉱がそこにあることを知った一同。
    通報した警察からはひとりの警官しか寄越されず、既に署の全員がこの地の事件を諦めていることを告げられる。
    一同は夜を待って坑道へと突入した。
  • 10.
    死体
    坑道には幽霊は居なかった。代わりに見つけたのは、大量の死体の山。
    恐るべき陰謀の影を感じた一同は、依頼人へ猜疑の目を向ける。
  • 11.
    誘惑
    炭鉱の入り口を見張っていたタイラーは、そこに現れたローラに再び誘惑される。
  • 12.
    崩壊
    脱出した一同は、悪霊チャリティーとローラによって次々に屠られる。
    しかし微妙にローラと少女の思惑は異なっているようだ。
  • 13.
    家族
    リンジーを除き、他のメンバーは皆居なくなる。
    彼女は奇妙な結びつきをローラに感じ、彼女が自分の母であることを告げられる。
    そして悪霊チャリティーは、リンジーの妹だった。
  • 14.
    過去
    悪魔である父=依頼人に子を産みつけられ、自害した遥か過去を語るローラ。
    死体から七年後に生まれたローラとチャリティーは、悪魔の子供であるという。
    しかし出生時から悪の一面を色濃く受け継いだチャリティーは、危険を察したローラの霊によって殺された。
  • 15.
    悪霊化
    悪魔の子であるチャリティーは、死後、より強力な悪霊として復活。
    父の命令をこなしながら、湖畔を訪れる人々を次々に殺害していた。
  • 16.
    目的
    ローラの目的は悪魔である夫の殺害。リンジーはそれに協力することとした。
    悪魔を殺すには、感情を揺さぶらせた時が好機となるらしい。
  • 17.
    悪魔の子
    父はリンジーに自分の子を産ませることで、更に濃い血の子を為そうと目論んでいた。
    危機の寸前でリンジーは自害、計画を壊された悪魔は怒りに震える。
  • 18.
    好機
    チャンスと見たローラは、悪魔を殺害しようと試みる。更に霊として復活したリンジー、母と姉の声に耳を傾けたチャリティーが加勢。
    三人の母娘が、悪の父親を協力して滅することに成功。
  • 19.
    永遠
    霊と化した三人は、人間の装いでこれからも湖畔に生きていくことになった。

恐怖演出

赤いドレスのチャリティー

メインは凶悪なゴーストのチャリティー。
人肉を喰らい、強靭なパワーを見せつける。
神出鬼没で実体をワープさせては、あらゆる暗闇から生存者をつけ狙う存在だ。


字に起こすと様々な可能性を夢見させるが、実際に映像中で彼女に恐怖を感じることは無いだろう。
というか、この映画で怖いと思う場面はたぶんひとつも無い

演出、設定、シナリオ、演技。
あらゆる要素が恐怖の及第点を大きく下回る。
なにをどうしたらこんなに酷い出来になるのか、逆に疑問を感じるだろう。


要因のひとつとして、延々とおふざけが止まらないテレビクルーたちがある。
彼らは死の足音が聞こえ出した段階でも、陽気な軽口と軽率な行動が止まらない。

一般的に、ホラー映画の被害者は頭の良くない行動をしばしば求められる。
彼らがあまりにも切れ者だと、ゴーストや悪魔の歯牙が届き得ないことがあるからだ。
こうした一種の不文律はホラーファンには黙認すべき事柄であり、そこに言及しすぎるのは野暮だ。


しかし本作では、その度合いがあまりにも度を越した。
死の際でも延々と緊張感を見せない彼らに、ある種の自殺願望すら見出すほどに。

行動の大半に整合性が無い

夜に坑道へ入る一同

朝方、謎の坑道を発見するテレビクルー一行。
彼らは何故か夜を待ち、暗い穴倉へ入っていくのだった……



夜を待つ意味がわからない。


このように理解不能で整合性を欠く行動が多く見られる。

この裏には、スケジュールの調整というメタな都合だったり、撮りたいシーンに合わせてシナリオを描くという逆説的な技法が垣間見える。

細かい行動にも、このような意図の見えない場面がある。

  • 突然母の鎖骨に指を突っ込むリンジー
  • 酒瓶でパンチされるタイラー
  • 一人で来てすぐに殺される女刑事



ツッコミ出すとキリが無い。
一応これらはある場面を展開させたり強調させるために用いられているものの、突飛すぎて違和感が拭えない。
不自然でないように仕掛けるべきだった。

最大の難点:今なにしてるの?

家族三人

クライマックスシーンにおいて最大にして最悪の特徴が、

今何が起きているのか、監督以外に理解出来ない

恐らく演者自身も、自分が演じる役柄がどういう意図でその行動を起こしているのか理解していなかったのでは?

とまあ、完全に視聴者は置いてけぼりになる。
こうなっては感じるべき感情すら見えない。そもそも誰が悪者で、誰を応援すればいいのかも不明だ。


とりあえず父親を葬った家族は幸せそうだし、母の苦労も報われたようだ。
健康を気にして禁煙する必要も無さそうだし、チャリティーはスキップしている。
湖畔のブラック・アイド・ファミリーと化した彼らの幸福を祈ろう。



後段で一応、展開の意味を考察。

評価

観る者を地獄(時間浪費)へ落とすホラー映画



よそに面白いホラー作品はたくさんある。

★☆☆☆☆
一つ星。
Amazon.co.jp: ヘルガール(字幕版)を観る | Prime Video
邪悪な怨念により犠牲者が多発!孤独な少女に秘められた過去とは...。撮影で山奥を訪れた男女6人が、ある日を境に次々と無残な遺体となり発見される。残された者たちはこの地に彷徨う少女の霊を成仏させるため、真実を導き事件解決に奔走する衝撃のホラー・スリラー!!




以下、考察及びネタバレ注意。






人物の謎

依頼人:黒幕

黒幕の依頼人

2万ドルで炭鉱の失恋幽霊を除霊するよう頼んで来た依頼人が黒幕。

彼は悪魔そのものであると思われる。
交配した女性に悪魔の子を宿らせ、7年後に地上に呼び出すことを目的としている。

160年前、ローラにリンジーとチャリティーを悪魔の子として宿らせた。
冒頭でリンジーに興味を示したのはその為。

チャリティーを利用して被害者を選定しているが、娘ながら制御の利かない一面を疎ましく思っている。

リンジーと子を為すことで悪魔の血の濃い後継者を生み出そうと画策するも、家族全員に返り討ちに遭う。

チャリティー:悪霊

公園で座るチャリティー

自害したローラの胎内から7年後に生まれた悪魔の子。

姉であるリンジーよりも凶悪であり、幽霊と化した母の手により殺害される。
しかし死亡後は更に凶暴になり、ブラック・アイド・キッズ化した。

父の手伝いをする一方、無作為な殺人と捕食を繰り返す。
最後には父の思いを盗み聞きし、姉と母に加わって実父を殺害した。


得意技は心臓抜き。「クセになってんだ」

リンジー:善良な悪魔の子

ランニングするリンジー

インチキ霊能クルーの演者ながら、実際には霊能力を隠していた。
正体は悪魔がローラに孕ませた悪魔の子であり、善の心を持っている。

160年前に出生したが、現在までの記憶が消えている。これは恐らく母ローラによる記憶操作と思われる。

父に悪魔を宿らされるのを防ぐため、悪霊と化すことを決断。自害する。
最後にはブラック・アイド・ファミリーとなり幸せに暮らした。

ローラ:悪魔の妻

魅力を漂わせるローラ

160年前に悪魔を宿らされた、売春婦。自らの運命を呪い、銃弾で自害した。

死亡後に骸から産み落とされた双子の姉妹を想い、悪霊として復活。
以後は悪魔による犠牲者たちを、子が生まれないように殺して回っていた。

チャリティーの悪なる意思に気付き、自らの手で殺害。しかしチャリティーは更なる悪意を持って現世に甦り、凶悪な悪霊を生む結果になった。

全ての根源である、悪魔の夫を殺すことを目的としている。

終わりに

悪魔の子が死ぬと悪霊化、という変則的な法則のおかげで煩雑さが爆発的に増えている。
ややこしい設定を用いずに、単にチャリティーが暴れ回る古典ホラーで充分だった。

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