王道ホラー映画三作目、INSIDIOUS chapter3をレビュー及び 評価、感想、解説。
あらすじ
時は一作目より遡り、エリーズ存命の頃。クインという少女が彼女の元を訪ねる場面から始まる。
クインは亡き母との交霊を望み、エリーズの噂を聞いてやってきた。
この頃のエリーズは霊能力を駆使することに消極的であり、初めはそれを拒んだ。
彼女には、それを使うことを躊躇わせる理由があった。

ある日クインは事故に遭う。
一命を取り留めた彼女だが、両足を骨折しており、しばらくの間外出は困難になった。
ベッドでぼうっ、と過ごす日々の中で彼女は、ある日部屋の中に何者かの気配を感じた。
その影は次第に濃さを増し、彼女の身の回りで不可解な現象が多発し始める。
やがてそれは亡き母の霊でないか、とクインは考え出した。
時を同じくしてエリーズの身にも、悪夢や予感めいたものが降りかかる。
一度は辞めた交霊術だが、クインのために再びそれを行使する日が近いことを彼女は感じていた。
ふたりが次に交錯する時、一体何が起きるのだろうか。
霊能者エリーズふたたび

一作目では大活躍、次作でも霊魂となってジョシュらを導いてくれたエリーズが再び帰って来た。
彼女がまだ存命であった頃の心霊事件をクローズアップした今作では、その後の良きパートナーとなるスペックス&タッカーとの出会いが描かれている。
インシディアスシリーズにおけるお笑い枠兼、助手でもある彼らの若き日の姿に、ホラー映画ながらクスリ、とさせられるだろう。
またエリーズの過去についても言及した今作では、彼女が一旦は霊能力を行使しなくなった理由と、再びそれを人の為に振るうようになったいきさつが描写される。
謎の悪霊

出現時にはコールタールのような足跡を残すこの気味の悪い悪霊は、壁や天井を縦横無尽に歩き回り、クインを昼夜問わず苦しめ続ける。
前作や前々作では豊富な種類の霊魂が次々に現れるのがインシディアスの特徴だったが、今作では主にこの「息の出来ない男」がメインで登場し続ける。
この悪霊がなかなかどうして不気味さをうまく演出しており、その存在感では黒衣の花嫁とまではいかぬが、忘れ難いようなビジュアルを醸し出している。
彼の謎を解くことが、闘いの決着への足掛かりになるだろう。
キャラ立ち

老練なエリーズが「C’mon Bxxch」と言うのは確かにアツいシーンではあったが、妙な違和感も感じた。
インシディアスの過去二作はあくまで「霊現象」という恐怖自体にフォーカスしたつくりだったのだが、このチャプター3では「エリーズと愉快な仲間たち」というパッケージに固執しているのではないかと感じたのだ。
ホラー作品でキャラ立ちし過ぎた登場人物は、往々に死の定めから遠い存在になる(エリーズの場合は死が確定しているが。)
これが行き過ぎれば登場キャラクターの安否を懸念する必要は喪失し、ひいては主人公補正を持った絶対無敵の除霊ヒロインがばったばったと悪霊を浄滅させるのをただ眺める映画になる。
今作で妙な違和感を感じたのは、エリーズの不要なまでのキャラ立ちだった。そこにスペックス&タッカーが増々存在感を増すとなれば、もはやホラーよりも喜劇色のほうが強くなる。
個人的にはエリーズ再登場は取りやめ、キャラクター性を前面に推すのも控えた方がより恐怖感を保てたのでないかと思った。
恐怖演出

王道の大音量SE+ビックリ演出という仕掛けは変わっていない。
効果的であることに間違いはないので驚きもするだろうが、流石に三作目となると食傷気味と言わざるを得ない感はある。
またラストシーンでの「アレ」に関しては、どうにもストーリー的に辻褄の合わない登場である上に、若干の嫌がらせでもあるように感じた。
次作への引きを毎回行っていたので恒例と言えばそうだが、しかしこの段階でアレが出て来るのはやや釈然としない。
評価
前二作を見続けているなら視聴はお勧め。しかし単独で評価するなら、凡作と判断するだろう。
次作に期待。

一作目はコチラ。
二作目はコチラ。
四作目はコチラ。
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