【映画】いぬやしき/メカヲタ歓喜。ハイレベルCGの超次元バトル【ネタバレ:レビュー】

SF

冴えない中年男と高校生の闘いを描くSFアクション映画、いぬやしきをレビュー及び 評価、感想、解説。

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あらすじ

ある晩公園に未確認飛行物体が墜落。中年の男犬屋敷と、獅子神という高校生が巻き込まれる。まばゆい光と衝撃に、彼らの命は脆くも散ったと思われた。

犬屋敷が次に目を醒ますと、そこには変わりの無い公園の姿があった。全ては夢か幻かと思われたのも束の間、彼の身体に異変が起こる。

腕から銃口が生え、そこから朝食で飲んだ味噌汁を噴き出す。

一夜にしてサイボーグの身体となった犬屋敷。彼は異変に戸惑いながらも、次第にその未知のテクノロジーを困っている人々のために振るうようになった。

だがその一方。同じくサイボーグの身体を手にした獅子神の選択は、彼とは全く異なるものであった。

機械化

ロボットになった自分に驚く犬屋敷

死にかけた、或いは死亡した犬屋敷と獅子神はサイボーグの肉体を手に入れる。

作中ではこの部分を深掘りされることがなかったので、原作からこの部分の概要を抜粋してみよう。

宇宙人の搭乗物が落下
事態の露見を恐れた宇宙人による、一帯の修復作業が行われる
軍事用パーツしか搭載されていなかったため、犬屋敷と獅子神には戦闘能力の付与されたボディが与えられる。


これがことのあらましになる。作中でこれを明言しないのは、未確認生物というイメージと彼らの思惑を同時に両立することが困難であったからだろう。


彼らが事態を公にならぬよう隠蔽したのは、いわゆる「動物園仮説」或いは、「保護区仮説」と呼ばれる、地球外生命体に共通していると考えられている仮説によるものと考えられる。

動物園仮説とは?
高度次元生命体は下位生命体に対して、彼らの生存圏で存在を認知されたり、その技術を分け与えたりすることを禁じている。
これはひとえに彼らの自発的なテクノロジーの発達であったり、文明発展に著しい影響を及ぼすからに他ならない。



ここで言う下位生命体とは我々人類のことであり、高度次元生命体とは宇宙人のことである。

事故の痕跡を消して犬屋敷と獅子神をサイボーグ化させるというシナリオは、荒唐無稽なようでいて、そこまで素っ頓狂な話でもないとは感じる。

アクションシーン

背中から展開するロケットエンジン

中盤までは思ったよりもド派手な戦闘シーンは描かれず、それよりも日常へのフォーカス部分の方が多くを占めている。これは同じシチュエーションから全く別の方向を向いた犬屋敷と獅子神の背景を描くために必要であった。

しかし戦闘以外でも彼らのメカニカルな部分は機動する。特筆すべくは背中のユニットで推進力を得て空を飛ぶシーンであり、精巧な部品のディテールや駆動のスムーズさに、機械好きは心を奪われるのではないか。
腕の銃身や背中のユニットは、かなり力を入れて作りこんでいるのが見える。これはCGの利点を上手く使った例と言えるだろう。

一転して終盤では犬屋敷と獅子神の闘いを満遍なく描くことになる。完全に人外のサイボーグバトルと化した頂上決戦は、一定の見ごたえアリ。

警鐘?

獅子神から電話を受けるキャスター

殺人の容疑者家族として連日非難の的にされ、遂には自害を図った獅子神の母親。彼女の死をもって獅子神は比類なきモンスターへの道を歩み始め、遂には全日本人を殺害することを目的とした。

現実でも事件の加害者や被害者の家族という最も辛い立場にある者たちが、加熱した報道やインターネット上での罵倒に耐え切れず、精神を病んだり、或いは死を選んだりする。
特に国土の狭い日本では個人の特定が容易と言われ、数少ない痕跡からあっという間にプライバシーが丸裸になることも少なくない。

作中で、掲示板に無神経な書き込みで罵倒をしたり、メディアに情報を流した者を獅子神は次々に罰していく。さながらインターネット自警団の役割を果たす彼だが、一様に示すのは死罪という極刑のみになる。


だが本作の描かれ方を見た時に、これが背景に秘められたメッセージというよりは、単に身近なインターネットやSNSを利用した共感の喚起に見える。
そもそもストーリーの根幹が単なるサイボーグ対決であり、そこにいかに自然に至らせるかを苦心した結果、この前段が存在しているようにしか思えないのだ。

評価

圧巻のCG技術。
一方でストーリーは根幹が薄っぺらく、特筆すべきメッセージ性にも欠ける。



SFアクション好きにはオススメだろう。

★★★☆☆
三ツ星の良作。
いぬやしき
いぬやしき

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