【映画】ロスト・アイズ/視力にフォーカス……してるコレ?【ネタバレ:レビュー】

ホラー

視力をテーマに描かれるスリリング映画、Julia’s Eyesをレビュー及び 評価、感想、解説。

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あらすじ

双子の姉、サラの自殺を知ったフリア。彼女は一年前から遺伝的要因で視力を失っており、それを苦に自ら命を絶ったと警察は見た。

だが彼女の死に疑問を持ったフリアは、夫イサクと共にその真相を正すための調査を独自に始めた。やがて彼女の自死の寸前まで行動を共にしていた男の存在が明らかになり、ますます自殺に対しての疑いは深くなっていく。

だがその一方でフリアの周囲に、奇妙に付き纏う何者かの影が現れ始める。まるで彼女が真相に辿り着くのを妨害するようなその何者かは、やがて直接的な行為に走り始め……。

フリア

胸を抑えるフリアとそれを心配する周囲

双子の妹。先天的体質で視力に問題を持っており、ときおり発作で視力を極端に落とすことがある。いずれ盲目となることは、母や姉が同じ症状だったことから間違いないと感じているようだ。

姉のサラの死に疑問を持ち、独自に調査を開始する。やがて彼女の身に、恐るべき影が襲い掛かるとも知らず。

イサク

電気をつけ直すイサク

フリアの夫。サラの自殺に関してはそれほど疑問には思っておらず、妻の暴走を懸念している。

生前のサラとは何かしらの縁があったようである。

視力がテーマ

目隠しをされたフリア

視力や視界といったテーマを扱う作品らしく、明暗の差で見えない部分に恐怖を想像させたり、主観視点で見えない恐怖を共感させる手法が取られている。
序盤の暗闇に対する根源的恐怖を描く手法は中々のもので、ジャパニーズホラーに通ずるものがあった。

一方でフリアが視力を完全に失うまで物語が進むと、急速に展開の描写が陳腐になる。
彼女が視力を失っていることがシーンとほとんどリンクせず、「見えない恐怖」を語るには完全に物足りない仕様だった。

ただ単に目が見えなくなった主人公がオロオロと彷徨うのを我々は傍観するだけで、ここに至るまでの過程で圧倒的に共感を得ていないことが問題の本質だ。
有り体に言えば、彼女の身に何があろうと別段興味の無い状態である。

いっそ視力を失くしてからは完全に主観視点に切り替えて、音響やおぼろげな輪郭のみで描写すべきだったのではないだろうか。そうであれば「見えない恐怖」を我々は彼女とシェアすることが可能だった。

ありきたりな展開や見飽きた手法に、中盤以降は違う意味で視界が暗くなった。

ホラー?スリラー?

ノイズを映す数台のテレビ画面

しばしば使われるテクニックとして、主役と対を為す存在の正体を敢えて明示せずに隠すことで、その脅威や意外性に対する期待や妄想を膨らませる手法がある。
多くの場合その正体が明らかになる時こそストーリーのクライマックスであり、最も視聴者を興奮させる瞬間だ。

本作の冒頭では黒幕の影は一見、超常的存在として描かれる。まるで影の中に生きる闇を映したそれに、初め我々は期待と恐怖を滾らせる。
やがてその正体が徐々に明らかになるにつれ、最初に抱いていた幻想が誇大であったと気付き、実際にはちっぽけでくだらなく、どうしようもない存在に行き当る。

明らかに異能や超常、摩訶不思議を意識させておきながら、土壇場でちゃぶ台をひっくり返すさまに、悪い意味で驚かせられた。
初めから大風呂敷を広げないで貰えれば、こちら側でもそれ相応の期待感をもって挑むことが出来ただろう。

未視聴の方向けに明言しておくと、これは超常ホラー作品ではない。ミステリー系スリラー作品と思っておこう。

緩急

見えないふりをするフリア

展開中の緩急は、ホラーやスリラーでの必須技法だ。張り詰めっぱなしでは観客はやがてそれに慣れてしまうし、緩みっぱなしでは眠気に支配される。
大きな流れの中でも小さなそれでも、波を描くことでメリハリを保つことが可能になる。

本作品でもそれは多少意識されているのだが、とにかく間が悪い。
「さあ、これから」というところで腰を折り、「どうなる?」と思えば腰を折る。
終盤あたりの展開は酷いもので、見ているのが辛いほどの有様だ。

台詞回しや演出の何かしらという部分でなく、もっと根本の脚本や構成自体がおかしいと感じた。

評価

余りにも時間を持て余しているなら視聴してもいいかもしれないが、万人に勧められるとは言い難い映画だった。

★☆☆☆☆
一つ星。
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眼の病気で徐々に視力を失う女性、フリア。ある日、すでに視力を完全に失った双子の姉サラが自殺が、その死に不審なものを感じたフリアは、サラの周辺を調べ始める。フリアの視力は徐々に失われていく。やがてフリアは、自分が姉と同じ道を辿っていることを自覚し、恐怖を増幅させる...。

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