ジュラッシックパークシリーズ5作目、Jurassic World: Fallen Kingdomをレビュー及び 評価、感想、解説。
あらすじ
前作ジュラシック・ワールドで海底に沈んだインドミナス・レックスのDNAが回収された。
私財を投じてこの恐竜の蔓延る島に潜水艇を派遣したある人物は、ある目的にこのサンプルを使用しようと画策している。
目論見は大当たりで、一部の傭兵を失ったものの、見事にDNAは依頼主の手に渡った。

一方、ヌブラル島の恐竜たちは別の問題に直面していた。
以前は休火山だった島の山が再び活性化し、頻繁に噴火を繰り返すようになった。
このまま活火山活動が続けば、いずれ島全体を飲み込むだろう。
そうなれば生き残った古代の竜たちは、あのメキシコ沖に隕石が飛来した過去をなぞることになる。
三年前に人の手から放棄されたこのワンダーランドは、再度注目の的になりつつあった。
大きくニュースで取り上げられ、「恐竜を救うべきか、自然の御心に従うべきか」という論争真っ只中の議会は大きく揺れている。
恐竜保護団体を運営するクレアは、議員らにかけ合い、恐竜たちの絶滅を防ごうと苦心している最中だ。
彼女は以前の経験とコネを活かし、政府に資金援助と全面的な保護許可を求める。
だが議会はこれを一蹴。曰く、「神の意思に沿う」

すげなく取り払われたその嘆願をクレアは諦めず、今度はある財閥に持ち込んだ。
そこはベンジャミン・ロックウッド邸。
彼はかつてジュラシック・パークを創設したジョン・ハモンドの元パートナーだった男だ。
ロックウッドはこれを快諾し、クレアは強力なバックアップを取り付けた。
ロックウッドの腹心であるイーライ・ミルズはサポートの条件として、ある特別なヴェロキラプトルの捕獲を依頼してきた。
ヴェロキラプトルの専門家。クレアの脳裏に真っ先に浮かんだ男。
今は田舎で以前とは違う暮らしを楽しんでいる元恋人、オーウェンの姿だった。
オーウェン・グレイディ

元ジュラシック・ワールド監視人。
今はのどかな田舎で、恐竜とは縁の無い生活を選んでいる。
かつてのヴェロキラプトル飼育の経験を見込まれ、捕獲の協力をクレアに申し込まれる。
一度は突っぱねた彼だが、懐かしい記憶が再び闘志に火をつけた。
元軍人でもあり、射撃や運動能力に優れている。
クレア・ディアリング

オーウェンの元恋人兼、元上司。
現在は恐竜保護団体のトップを務めている。
恐竜を絶滅から救うことに腐心しており、その行動力と意志力でロックウッド財団の協力を取り付けることに成功した。
なんだかんだと、オーウェンとは腐れ縁のようだ。
流石の演出

CG技術は流石の一言。
恐竜や噴煙のリアル感は見る者を圧倒するだろう。
こういった、「とにかく走れ!」のシーンには、どこかインディジョーンズの面影を感じてしまう。
本作では監督ではないにせよ、スピルバーグ節炸裂といったところか。
アクションはスピード感に溢れる小気味良さが特徴的で、逆に精密さを求めるようなシーンではハラハラ感をうまく表現している。
緩急を用いた良い起伏だと思う。
噴火までの猶予の少ない逼迫した状況下であるため、今回は島内をじっくり散策する場面はほぼ無い。
緑溢れる大自然を堪能するのは過去作へ求めた方が良さそうだ。
物語の半分は本土で展開される。
恐竜たちのその後に関しては、自身の目で確かめてみるといいだろう。
拝金主義と行き過ぎたテクノロジーへの警鐘

ある日突然、「恐竜」というビジネスが現実に現れたとすれば、ちょうどこの物語のような筋書きになるのではないか。
そんなメッセージを暗に受け取った。
恐ろしい竜を見世物にし、戦わせ、不要になれば切り捨てる。
そしてその、生命を冒涜するような行いにはいずれ、つけを支払うことになる。
過去作でさんざ教訓を与えられてきた人類だが、第二第三のあくどいビジネスマンは必ずいつか出現する。
同じ轍を何度も何度も踏みながら。
これは恐竜に限った話ではないのかもしれない。
いずれ科学が我々の想像を凌駕するような領域まで達したとき、一体どのようなものが産まれてくるのか。
過ちはフィルムの中だけにとどめてもらいたい。
ストーリーはやや消化不良感

たいへんな騒ぎや感動的な出来事もさまざま起こったが、何やら収集のつかない事態が巻き起こりそうな予感を残したままで、銀幕は下りた。
結局全編にわたり、人類の愚かしさをこき下ろし続けた構成になってしまったのだ。
次作の勢作予定もあるらしいので、そこで決着をつけることになるのだろうか。
評価
過去作には劣るも、見ごたえ十分ではある。
世代問わず楽しめる一作だったように感じる。

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