【映画】KEY(キー)死体の中の遺留品/鍵の経路とその特性を解明【考察あり:ネタバレ注意】

サスペンス

とある鍵の謎を追い求めるミステリー映画、KEYをレビュー及び 評価、感想、解説、考察。

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あらすじ

LAの検死官マーティンの元に、自殺した精神科医の検死依頼が入った。彼は手順に従って解剖を勧めると、腹部より奇妙な鍵を発見する。

本来、これらは警察へ証拠品として納入すべき品だ。だがマーティンはふとした出来心でこの鍵を自らのものとし、独自に自殺の経緯を調査しようと思い立つ。

二年前に殺された妻。自殺した精神科医。鍵の持ち主の男。

やがてあらゆる謎の螺旋が収束していき、その先にある真実に辿り着くことになる。

マーティン

司法解剖を行うマーティン

検死官。
二年前に妻を殺害されている。既に迷宮入りとされたその事件だが、独自にその真相を未だに追い求めている。

シュー博士の検死過程にて、腹部から鍵を発見。彼の自殺に疑問を持った彼は、警察に打診なしで独自調査を開始する。

クレア

マーティンに話を持ちかけるクレア

シュー博士の娘。マーティンと同じく父の死に疑問を持ち、情報提供を求めた。

ホラー感を出すも、基本はミステリー

闇の深い遺体安置ボックス

作中でマーティンはしばしば悪夢にうなされる。そこでの演出はホラーに寄せられていて、そこそこ恐怖感を煽る仕立てになっている。

だが基本は謎解きミステリーであるという本質のため、これら恐怖演出は最終的に回収されることがない。超常的存在を匂わせておいてその実、結局正体は判然としない残念パターンを辿っているとも言える。

いっそ振り切ってホラージャンルに特化してしまえば、もっと良質なコンテンツに変質出来たのではないだろうかと思うと残念だ。それくらい、不気味に恐怖を煽る部分は良く出来ている。

宗教観

破壊と創造を表した絵画

聖書の引用や宗教観を持ち出せば、一気に物語は「それっぽく」仕上がる。
あくまで「それっぽい」のがポイント。

実際は中身が無くスカスカでも、ときおり意味あり気な引用文を挟んだり、序盤で入手したエビデンスにこっそり福音書の頁数を忍ばせておくだけで雰囲気だけはそれとなく仕上がる。

無論、そこからきっちりシナリオを構築している作品も多々あるが、本作KEYでそれらは上手く機能したとは言い難い。全体的なそれっぽさが延々と続き、天啓を受けたような伏線回収シーンが皆無だからだ。

最終的にエンドロールが流れるのを見て、もやもやしたままの気分の方も多いと感じる。真実の濁し過ぎは構成力の弱さを自ら吐露しているか、或いは意地の悪い謎かけ遊びでしかない。

色調

マーティンを映した黄色味の鮮やかなワンシーン

部分的にとてつもなくvividであったり、一転してwashedであったり。
これらが時系列や視点移動、世界移動なしで急激に行われるので一見して混乱を招くかもしれない。

しかしおおよその部分で悪夢パートはすぐにそれと理解出来る親切仕様なのが救いで、別段これらを統一するほどの必要性は今作ではなかったようだ。

様々な色合いで映す自然の風景などは結構美しく、その点は編集に意匠を凝らしたのだろうか。

評価

謎を多く孕んだミステリー作品。
解析好きにはお勧めかもしれない。

★★☆☆☆
二つ星。
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検屍官マーティンは、自殺した男性の身体から気になる鍵を取り出した。担当刑事がマーティンの元を訪れ、故人の残した鍵のスケッチを見せられる。単独で鍵の調査に乗り出したマーティンだったが、そこへ現れた美女クレア。次第に鍵の持つ謎と呪いから、狂気の世界に巻き込まれてゆく...。




以下、考察及びネタバレ注意。






鍵の謎

鍵を見つめるマーティン

では鍵の謎について解説してみる。

ヨハネ黙示録9章1節

天使がラッパを吹くと星が地上へ下りた
深い穴を開く鍵がその星に与えられた

冒頭の引用文だ。

照らし合わせると、

星=人


天使が鍵を授けたのは人、それも原初の者と考えられるだろう。これは快楽の園で左の挿絵から示唆される。
するとアダムとイヴ、若しくは人類最初の殺人被害者と加害者であるカインとアベルを指すと思われる。

鍵の特性上後者が有力か。

鍵=そのまま本作の鍵


これはそのままの意味。

深い穴=墓穴、つまり死


鍵に刻まれた詩編について神父に問うた時に解は出ている。143章3節、ダビデの迷える魂について綴ったこの章で、悪魔が魂を奪おうと狙っていること。
更にマーティンの見た悪夢で安置中の遺体が呼びかけたように、暗い穴とは墓穴そのものを指す。

鍵の特性

持つ者を狂わせ、鍵への執着心を増させる。また鍵の存在を知った者にもそれは同様だ。
鍵屋はもちろんのこと、神職である神父さえもこの魔力に憑りつかれそうになった。

結果的に鍵の持ち主は非業の死を遂げることが運命付けられている。
歴代の鍵の所有者として推測されるのが、

アベル → カイン → ~~不明~~ → ランドール → サマンサ → バド → ランドール → シュー博士 → マーティン → クレア → マーティン → ワートン刑事


恐らくこのような経路で鍵は伝わった。
マーティンはクレア殺害時にはこのルールに気が付いており、最終的に鍵を手にしたワートン刑事を笑ったのもこのためだ。

鍵を手放す際に死を免れたとしても、バドのように自死を迫られる特性も併せ持つ。

この後マーティンが獄死し、ワートン刑事もなんらかの非業の死を遂げることは間違いないだろう。

黙示録のラッパ吹き

ヨハネ黙示録に戻ると、冒頭で9章1節しか引用されておらず、その他の部分に関して明記はない。


では黙示録のラッパ吹きをご存知だろうか?これは世界の終わりに向けて七人の天使がラッパを鳴らすというもので、実は9章では第五のラッパ吹きを描いたものになっているのだ。

本作KEYでは第七のラッパ吹きまでをも想定した壮大なつくりとは思えないので、恐らくはこの第五のラッパ吹きだけを焦点としたストーリーであることをまで絞れる。

第五のラッパ吹きの特性は以下だ。

「第五の天使がラッパを吹いた。すると、一つの星が地上へ落ちてくるのが見えた。

この星に、底なしの淵に通じる穴を開く鍵が与えられ、それが底なしの淵の穴を開くと、大きなかまどから出るような煙が穴から立ち上り、太陽も空も穴からの煙のために暗くなった。

そして、煙の中から、いなごの群れが地上へ出て来た。このいなごには、地に住むさそりが持っているような力が与えられた。

いなごは、地の草やどんな青物も、またどんな木も損なってはならないが、ただ、額に神の刻印を押されていない人には害を加えてもよい、と言い渡された。
殺してはいけないが、五か月の間、苦しめることは許されたのである。

いなごの与える苦痛は、さそりが人を刺したときの苦痛のようであった。この人々は、その期間、死にたいと思っても死ぬことができず、切に死を望んでも、死の方が逃げていく。


12節までは書かずに省いたが、これがおおよその旨を記している。
大仰になったが、要するに意味しているのは鍵によって開けられるのは「底なしの淵=死」であるということ。
物質的な扉や宝箱などは存在しないのだ。

終わりに

なかなか真実の奥を理解し辛く、またそれが出来たとしても独自解釈や意表をつく捻り、物語の奥深さに欠けている。
もう少し練った構築ならば視聴者の興味を惹けただろうに。

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検屍官マーティンは、自殺した男性の身体から気になる鍵を取り出した。担当刑事がマーティンの元を訪れ、故人の残した鍵のスケッチを見せられる。単独で鍵の調査に乗り出したマーティンだったが、そこへ現れた美女クレア。次第に鍵の持つ謎と呪いから、狂気の世界に巻き込まれてゆく...。

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