【映画】ラ・ヨローナ ~泣く女~/メキシコの伝説的幽霊が映像化【ネタバレ:レビュー】

ホラー

死霊館シリーズスピンオフとなるホラー映画、The Curse of La Lloronaをレビュー及び 評価、感想、解説。

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あらすじ

児童保護局でケースワーカーを務めるアンナは、ある日トーマスとカルロスの兄弟を保護した。彼らは母パトリシアより軟禁状態を強いられており、事態は深刻な児童虐待かに見えた。

しかしパトリシアは容疑を否認。全ては息子らを守るために行ったことであり、どうか彼らを閉じ込めておいてほしい、と。

その晩、病院に保護されていたはずのトーマスとカルロスは、遺体で見つかった。彼らは川辺で水に浸かり、溺死していたのだ。
事実を知ったパトリシアは悲観でなく、激昂を見せる。曰く、「アンナのせいで息子たちが殺された」

常軌を逸した彼女の取り乱し方に怪訝なものを覚えるアンナだったが、その日以来ふたりの子供たちと共に、自宅で異常な現象に怯えることになり……。

泣く女

金網の向こうで泣く女

メキシコでは知らぬ者が居ないほどの有名な怪談であるという、「泣く女」の伝説。
作中でそれらはあらましを語られるので、全く聞いたことのない方でも安心の設定。

この怪談に対して思い入れの少ない日本人だと、あまり琴線に触れるものが少ないように感じる。これが南米人だとまた、異なるものなのだろうか。

容姿はインシディアスシリーズで有名になった「黒衣の花嫁」によく似た装いであり、色違いの2Pカラー感が拭えない。特筆するような突飛な部分も無いので、それほど印象深いゴーストであるとは言い難いだろう。

また序盤でこそラ・ヨローナの「泣く女」という特性はある程度発揮されるものの、中盤以降ではそうしたイメージは徐々に薄れていく。ラストに至ってはもう単なる悪霊にしか見えず、そのアイデンティティはエンドロールまでは保たれなかった。

ホラーの花形と言える敵役の魅力だが、本作では少し弱めと言わざるを得ないだろう。

怪談の概要

あるところに、四人家族の幸せな家庭がありました。

しかしある日、亭主は不貞を働き妻子を裏切ったのです。これに気をやった妻は、主人の最も大切なものを奪うことで復讐をしてやろうと考え付きます。
それは、大事な大事な子供たちでした。

ふたりの子供を川で溺死させると、妻はさめざめと泣きます。正気を取り戻した彼女は、あとを追うように自らも命を絶ちました。

以来、子を失った悲しみに暮れる女の幽霊が目撃されるようになったのです。

概ねこのような内容になる。

実際の目撃情報

現在でもメキシコ国内ではラ・ヨローナの目撃談はあとを絶たない。
自前のビデオカメラで撮影された幽霊の姿らしきものがYouTubeに投稿されているので、こちらを見るのも興味深いだろう。



死霊館シリーズスピンオフという立ち位置

別作品にも出演したペレス神父

この神父に見覚えがあるだろうか。

彼はペレス神父。
「アナベル 死霊館の人形」でアナベル人形を預かったばかりに、その日の内にボコボコの病院送りにされた不憫な聖職者だ。

本作は時系列で言うとアナベル事件の後になり、彼はフラッシュバックで苦い過去を思い出すことになる。



死霊館シリーズというとウォーレン夫妻の活躍するホラー作品だが、どうやらスピンオフのシリーズには彼らは名前こそ出れど、実際に出陣することはないようだ。
作中で彼らに助力を願うような節も見せるものの、結局今回は呪術師のラファエルの力を借りることになる。

しかしスピンオフの定義について論ずるつもりはないが、単純に世界観が同じというだけで、それほど「死霊館」との繋がりが見えないのも事実。
スピンオフとは同作品の別登場人物や、事件の裏側にスポットライトを当てるのが本来の楽しみ方であると思う。
よって同世界であろうと全く関与の無いことを取り扱えば、さほどの魅力は感じないのが実状。

そろそろやり過ぎると、ネームバリューで箔をつけているだけなのが透けてしまうという杞憂が。

恐怖度

カーテンから飛び出すラ・ヨローナ

序盤から中盤の、ヴェールを被ったラ・ヨローナは非常に良い味を出している。昼間にも関わらず、その恐怖感はなかなかのものであった。
隠された素顔に対するイマジネーションが恐怖とのシナジーを発生させ、「見えない方が怖い」を素晴らしく体現している。

だが反面、ヴェールを脱いだ彼女はどうか。
正直ガッカリするかもしれない。
割とありきたりな白粉メイクに、取ってつけたような血涙。なんだか前半で抱いた自身のイメージを、自ら裏切らされているような罪悪感に苛まれる。

もっと強烈なビジュアルを搭載するか、或いは最後までヴェールを脱がない方が断然良い結果になっただろう。

物理!?

最終対決

クライマックスシーンはちょっとだけ面白い。

呪術やまじないより、やっぱり物理攻撃が最強だぜ!



なんともアメリカンな最終手段だ。こういう振り切った決着は久しく見ていなかったので、案外新鮮味があった。

しかし一方、ラファエルがじゃらじゃらと用意した呪術道具や、アンナがもぎ取ったキーアイテムなどは大した働きを見せない。伏線回収タイプの結末でないので、爽快感に欠けたのは間違いない。
今回プロデューサーとして参戦したジェームズ・ワンの気風は全体に漂っていたものの、SAWやデッドサイレンスのようなアハ体験には至れなかった。

大味なのは最終決着場面にとどまらず、中盤以降の物語のダレにもそれは影響している。もっとシーンチェンジをコンパクトに行って、飽きさせないための仕組みが必要だったと感じる。

評価

駄作ではないが、とびぬけた秀作とも言えない。



ホラーファン、死霊館シリーズファンならばオススメだろう。

★★★☆☆
三ツ星の良作。
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1970年代のロサンゼルス。不可解な死を遂げた子供の母親が、不吉な警告を発する。しかし、それを無視したソーシャルワーカーのアンナと彼女の子供たちは、ほどなくしてある女の”泣き声”を聞いてしまう―。その日を境に数々の恐ろしい現象に襲われることとなった家族は、教会に助けを求めるが、そこで語られたのは、呪われたすすり泣く女”...



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