【映画】ステキな金縛り/クスクスホロリのコンビネーション【ネタバレ:レビュー】

コメディ

落ち武者の幽霊を証人に呼ぶコメディ映画、Once in a Blue Moonをレビュー及び 評価、感想、解説。

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あらすじ

とある女性の殺人事件が発生。容疑者として捕らえられた被害者の亭主だったが、彼は容疑を完全否認。事件当日のアリバイを訴えた。

彼の弁護人に選ばれたのは、ポンコツ弁護士宝生ミエ。いくつもの失態であとの無い彼女は、今回の事件をラストチャンスとして絶対に無罪を勝ち取らねばならない。

早速被疑者のアリバイ確認を行う宝生だったが、なんと彼はひと気のない里の旅館で宿泊中に、一晩中落ち武者に跨られ、金縛りにあっていたというのだ。
にわかには信じ難い証言ではあるが、ひとまず古びた旅館を訪れる宝生であったが……。

キャラ立ち

レストランに集まる名優ら

名だたる国内俳優が豪華に登場しており、およそシーンに疎い者であろうと見覚えのある演者が大多数と思われる。ほんのチョイ役でも他作品の主演級が使われており、その大盤振る舞いには驚かせられる。

また彼らの個性的なキャラクター性にも注目だ。一度登場した人物は強烈に焼き付き、「この人、どんな役回りだっけ」と思わせることがない。随所でユーモラスな仕草を見せる彼らに、ファインダーからアウトフレームすることを名残惜しくさえ感じる。

だがやはり格別なのは、落ち武者幽霊の更科六兵衛だろう。喋りや知識がいちいち現代風であったり古式ゆかしくあったり、これがいちいち可笑しくて笑わされる。
彼は全編で喜怒哀楽を全身豊かに表現し、とっくの昔に死んでいるにも関わらず、およそ誰よりも人間らしい。

他にも愛すべきキャラクターは大勢居るが、これを語り尽くすと膨大な文字数になろう。大いに魅力溢れる抜群の人物像づくりに成功していると言えるだろう。

リアリティはゼロ

幽霊を立証する裁判

幽霊の存在の是非は置いておくとして、作中の裁判進行や宝生の仕事ぶりなど、およそ現実では通用しない部分が大半を占める。
これは唯一コメディというジャンルでのみ許される齟齬であり、すなわち本作に現実の刑事裁判における緊張感などを期待することは過ちであるということを示す。
リアルな裁判を楽しみたいならば、LAW&ORDERやSUITSを視聴する方が良い。


だが一方で検察官と弁護人の不要な癒着や、宝生の法に携わるに相応しくない振る舞いなどが一部目についた。
ストーリー構築に敢えて緊張感というファクターを用いない意図があったとは思うが、若干の違和感を拭えない部分でもある。

視聴に際して、”コメディであればどんな無茶苦茶でも構わない”、というスタンスならば杞憂ではあるが。

笑いだけでない

亡き先祖の気配を感じる子孫

コメディ作品の宿命として、「笑い以外の感情も生み出させる」という業がある。
これは物語に起伏を与えるために必要な要素だ。笑えない場面が続けばコメディを名乗れないし、しかし笑いっぱなしでもいつかは疲れてしまう。

非常にちょうどいい感覚で訪れる上記のようなシーンは、よくよく考えたら全く大したことなどないはずなのに、何故か見ていると涙腺に訴えるようなのも事実である。

このように視聴者のエモーションを直前から逆サイドへ思い切り振り回すのはしばしば効果的であり、作中で幾度も使われる。
笑えるし、でもちょっと泣ける。本作を表すにはこのワードがぴったりではないだろうか。

予測不可能な超特急

急逝した検事

作中では全く予期しないことが次から次へと起こる。およそ我々が最初に描いた青写真とは、まるで異なる展開へと突き進んでいくことになるだろう。
あらすじやジャケットである程度の中身が推測出来てしまう凡作とは異なり、この部分でも本作は成功を収めた。

中盤からラストへ向けての暴走列車ぶりには、膝を打つほかない。全く先の見えない急カーブを猛スピードで走り続ける物語に、いつの間にやら引き込まれていることになるだろう。
単純な起承転結に留まらない、熟練の守破離を見せつけられた。

やっぱりこれが好き

誰も居ない法廷にたたずむ宝生

コメディの締め方の王道は、

なんだかんだ笑ったあとに、やっぱり心温まるもの。

この傾向が強い。過程で紆余曲折あろうと、こうした幕引きを好む視聴者は多いのだ。

本作も三谷幸喜節といったところで、ちょっぴり切なくて心が温かいような、そんな終わり方。
荒んだ世界観や凄惨な悲劇の物語に疲れた方には、いいオアシスになるのではないか。

評価

残虐映画好きでも、たまにはこういうのも観たい



最高にリフレッシュ出来る2時間半であった。

★★★★☆
四つ星の優良作。
ステキな金縛り
ステキな金縛り

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