【映画】プロディッジー/サイコキラーは8歳の息子【ネタバレ:レビュー】

スリラー

輪廻転生でこの世に舞い戻ったサイコキラーを描くスリラー映画、The Prodigyをレビュー及び評価、感想、解説。

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あらすじ

天才少年マイルズ。

圧倒的な知能で周囲を驚かせる彼は、両親の希望もあって秀才の集う学校に通うことになった。
しかし齢も8歳ながら、未だに周囲に馴染めず、友人が出来ないことを母サラは自分のことのように悩んでいた。

ある日彼は、同級生の男の子をパイプレンチで殴打する。
被害者は重傷でこそなかったが、逆にマイルズにはすぐさま学校医による心療診断が行われることになった。
やがてカウンセラーの知人から、サラは恐ろしい事実を聞くことに。


マイルズの中には生まれ変わったシリアルキラー、エドワード・スカルカの魂が宿っている、と。

ネタバレ概略

ネタバレストーリー
  • 1.
    脱走
    オハイオ州、モンゴメリー。郊外の夜道を走る車の前に、突如女性が飛び出す。
    彼女はなんと、右手を切断されていたのだ。
  • 2.
    包囲
    被害女性の通報により、犯人が連続殺人鬼であることが判明。
    ただちに犯人=スカルカの自宅はSWATに包囲され、投降を促される。
    だがサイコキラー・スカルカは、異常行動のためにその場で射殺されることになった。
  • 3.
    出産
    同時期、病院にて。元気な男児=マイルズが誕生していた。
    彼は生後僅かから卓越した頭脳と知性を見せつけ、両親は大いにその将来を期待した。
  • 4.
    異常性
    マイルズ八歳の頃。彼は両親不在の夜に、子守のゾーイを罠にかけて怪我をさせた。
    この頃から、彼にやや昏い情念が見え始める。
  • 5.
    寝言
    マイルズが就寝中、聞きなれない奇妙な言葉を話すのを目撃する母=サラ。
    妙に思った彼女はこれを録音しておき、後日相談することにした。
  • 6.
    暴力
    学校でペア作成のおり、気に入らない結果を受けたマイルズ。
    彼は同級生のダッシュを、パイプレンチで殴りつけるという暴力性を見せる。
  • 7.
    心療
    カウンセラー=ストラッサー曰く、高い知性に反した反社会性が見られると言う。
    サラは録音していたテープを彼女に託した。
  • 8.
    翻訳
    ストラッサーはアーサーという男をサラに紹介する。
    彼はマイルズが寝言で言った言葉は、ハンガリー語の、それもごく少数しか使わない言語だという。しかもマイルズが”良い夢”と言ったその内容は、
    「黙れアバズレめ 目をえぐり出すぞ 死ぬがいい」
  • 9.
    専門
    アーサーの専門は輪廻転生の研究であり、以前にもインドの子供が同じような体験をしたのを見たという。
    つまりマイルズの中には、悪い言葉を使うハンガリーの男が入っている、というのだ。
  • 10.
    半信半疑
    アーサーの理論を盲目的に信じることは出来ないものの、最近の我が子の行動に疑問を感じるのも確か。
    サラは徐々にマイルズの中に、不気味な誰かが入り込んでいることを信じ始める。
  • 11.
    家出
    父=ジョンが愛犬のタルーラを呼ぶと、いつもは従順なはずの犬が出てこない。
    訝しく思った彼は近所をマイルズと共に捜索するが、一向に現れる気配は無かった。
    しかも道中、マイルズは年齢に似つかわしくない言葉で、ジョンを侮辱するような態度を取った。
  • 12.
    腐敗
    家の中を飛び回るハエの群れに気付くサラ。元を辿ると、戸棚の中で首を斬り殺されたタルーラだった。
    犯人は、直感的にマイルズだと悟る彼女。
  • 13.
    催眠
    アーサーに頼ったサラ。催眠療法によって正体を暴き出し、その望みを突き止めるためだ。
  • 14.
    恫喝
    第三者の居ない状態で、マイルズと対面して催眠を始めたアーサー。
    だがマイルズの中に眠る狂気=スカルカは、サラに対して「何も分からなかった」と言うように命じる。
    刃向かえば、「催眠を悪用し、小児虐待を行った変態である」と公言することを示したのだ。
  • 15.
    施設
    父ジョンはマイルズの異常性を苦慮し、施設送りにすることを決める。
  • 16.
    密告
    アーサーは夜中にサラに電話をかけると、催眠中に起きたことを密告する。
    ネットでスカルカの犯罪を調べたサラは、マイルズの中に居るのが彼だと確信した。
  • 17.
    目的
    サラはマイルズの子供部屋から、スカルカの事件の切り抜き記事を発見する。
    その中には最後の被害者として生還したマーガレットの著書も含まれていた。
    遂にスカルカの目的が判明する。それはマーガレット殺害だ。
  • 18.
    ドライブ
    授業中のマイルズを連れ出すジョン。彼はこのまま施設に我が子を預けるつもりだった。
    しかし事態を察したマイルズは、研いだハサミで父の脇腹を突き刺す。
    車両は蛇行し、大木に衝突する。
  • 19.
    重体
    事故の一報を聞いたサラ。昏睡状態のジョンを見て、既に事態は危機的状況であることを悟る。
    彼女はマイルズを連れて、一路マーガレットの家へと向かう。
  • 20.
    逡巡
    銃砲店で買った銃を持ち、マーガレットの家の戸口へ立つサラ。薬で眠らせた息子の代わりに、自分でケリをつけるつもりだった。
    しかし彼女には、なんの罪もない女性を殺せなかった。
  • 21.
    獲物
    だがいつの間にか目覚めたマイルズは、素早い手つきでマーガレットを刺し殺す。
    前世からの望みを果たしたことで、全てが終わったと感じるサラだった。
  • 22.
    消失
    マーガレット家を飛び出したマイルズを追うサラ。元の息子を呼ぶが、反応がおかしい。
    なんとスカルカ曰く、既にマイルズは消滅したというのだ。
    またあらゆるサラの行動は織り込み済みであり、ここへ自分を連れてくるのも必然だったという。
  • 23.
    保護
    怒りに震えるサラは、我が子のカタチをした別の何かへと銃を向ける。
    だが一連を目撃していた付近の住民により、サラは子供を殺そうとする母親として射撃され、そのまま死んでいく。
  • 24.
    二周目
    親を失った子供として、施設に迎えられるマイルズ。
    しかし彼の中に眠るスカルカは、更に多くの事件を引き起こしていくだろう。

出だしは好調

叫ぶサイコキラー

連続猟奇殺人鬼、スカルカ。

彼は「女性の手」に異常な執着を持ち、誘拐した女性の手を生きたまま切断し、その後に殺すことに悦びを見出している。
地下牢の様子から見るに、片手ずつ、それも長い期間をかけた犯行を旨としているようだ。
絶望に落ちた女性を眺めることで、大きなカタルシスを得ていたのだろうか。


冒頭で10人目にして最後の被害者となった、マーガレット。
彼女が片手を失いながらも、自力で脱出したことで物語は大きく動き出した。

このあとの展開が、かなり期待を持たせる足運びになった。

スカルカの家を包囲するSWATチーム。監視装置で異変に気付く殺人鬼。
両者相対するその瞬間、なんと全裸で玄関先に踊り出るスカルカの姿が。

後ろ手に持った”何か”を素早く振るう殺人鬼。歴戦のSWATも、恐れるようにこれを掃射した。

彼が最期に握っていたのは、誰かの”手”だった。




こんな展開、ワクワクしないはずがない。
サイコキラー愛好家としては、転生したマイルズがどんな悪辣行為を見せつけてくれるかと大いに期待せざるを得ない。

驚くほどマイルドに

工作をするマイルズ

最高のスタートダッシュを切った冒頭に反して、それ以降のマイルズは控えめな男の子になってしまう。
飼い犬の首を切ったり父親の脇腹を刺したり、或いは心療医を性暴行で訴えると脅迫してみたりと色々やるが、どうもパンチが利かない。

それもそのはずで、この年齢の演者に過激なシリアルキラーをやらせようなど、どだい無理な話だ。
前述の”心療医を脅迫シーン”においては、汚い言葉を言わされる彼に、制作側によるハラスメントじみたものを感じずにはいられない。
この年の子供に「Cock in mouth.」なんて言わせるものではない。


この年齢時の事件はあくまで1エピソードとして抑えて、成人に近い役者へバトンタッチすべきだった。
それなら無茶苦茶な卑劣漢ぶりを発揮しようと、誰も文句などつけようもない。

もちろんそうしたシナリオを好まなかったのは、年齢に反したセンセーショナルぶりにかこつけた、話題性の獲得のためだろう。
しかし過激性と世間の物議を天秤にかけた厭らしい計算によって、逆にシナリオの品位を落とす結果になったと言っていいだろう。


もっとストーリーでぶつかって来い。

異常性のくだりがしつこい

サイコキラーの犠牲になった人々
知能が高いが、反して社会性に欠ける



サイコパスの特徴を見せ始めるマイルズを描く部分が大半を占める本作。
このくだりがかなり長ったらしく、またしつこい。
スリラー/ホラーを観たい観客が、何を求めているか知るべきだ。

我々は目前に直面する緊張感を求めているのであって、”緊張感を生むかもしれない”、という間接表現だけで腹は膨れないということを。

大きく見誤ったこの手違いのおかげで、単に目つきと寝付きの悪い子供が画面を徘徊するシーンに尺を取られ過ぎている。


何度も言うが、スカルカのキャラは非常に良く作りこまれている。
生前の彼の犯行にもっとフォーカスしてくれれば、退屈な”緊張準備段階”を味わうこともなかっただろう。

BGM

邦画のような酷いBGM選択が随所で気になる。
せっかく演者が熱演しているのに、このチープな音楽によって一気に場面が白けた空気感を纏っているのだ。

拾った無料素材を適当にアテたのでないかと錯覚するほど、場違いなメロディーライン。
こんな手法でシーンを描く者が、まだ映画業界に居たのかと驚かせられる。

モノクロにしたら、数十年前のフィルムと偽っても違和感は無いだろう。

悪霊憑依ホラーと変わらない

前世からの復讐を果たしたマイルズ

輪廻転生がマイルズ豹変の原因ではあるものの、結局やっていることが悪魔に身体を乗っ取られた子供と変わりないのが問題だ。

おかしな言葉を話し、教わっていない工作技術を見せ、残酷に刃物を振るう。



ラテン語で神を呪う言葉を吐く男児や、浴びせられた聖水に仰け反って苦しむ女児。
この手のホラーと結局相違ない。祓うのに神父が出るか、催眠術師が出るかの違いだけだ。


繰り返しになるが、やはりスカルカを主役とした二部構成がベストに思える。
彼の人物像をしっかり組み上げて、その類似点をマイルズで示すことで、単純な悪魔憑依パニックと差別化を図れたはずだ。

評価

スカルカ単体で撮って欲しかった映画。



容易な話題性というポピュリズムに尻尾を振ったのが過ち。

★★☆☆☆
二つ星。
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母親 (テイラー・シリング) は8歳の息子の不穏な行動を心配し、何か不思議な力が働いているのかもしれないと考える。ジャクソン・ロバート・スコット (「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」)やピーター・ムーニー (「Burden of Truth」)、コルム・フィオール (「マイティ・ソー」)など豪華キャストが集...

コメント

  1. よこ より:

    全くの同感で笑ってしまいました。
    いつも睨む坊ちゃん、謎の行動だらけのご両親。
    ツッコミ疲れて見るエンドロール。
    面白くない映画を見るのが面白くなってきました。