Apple TV+より配信中のドラマ、SEE暗闇の世界シーズン1エピソード2をレビュー及び 評価、感想、解説。
あらすじ
聖域へ逃げ延びたアルケニー族。
そこへジャーラマレルを名乗る男が現れ、双子に”ハニワ”と”コフン”という名前を授ける。
更に彼は、子供たちの12歳の誕生日に、ある箱を渡してほしいとババ・ヴォスへ頼み……。
ネタバレ概略
- 1.野生森の中を子供らを抱きながら散歩するババ・ヴォス。
そこへ野生の熊が現れ、彼らを襲う。 - 2.ジャーラマレル弓矢を放ち、彼らを助けたのはなんと、アルケニー族を聖域に導いたジャーラマレルだった。
ババ・ヴォスは「子供たちを取り返しに来たのか?」と尋ねるが、彼には使命があり、そのまま父として育てて欲しいと頼んで来た。 - 3.命名双子に”ハニワ”と”コフン”という名前を授け、更にジャーラマレルはある鍵をババ・ヴォスへ託す。
子供たちが12歳になった時、箱の中身を渡してほしい、と頼んで彼は去っていった。 - 4.シャドーゲザー・バックスはババ・ヴォスへの復讐心を捨て切れず、叔母のスーターと共にシャドーの元を訪ねる。
気配の見えない精霊である彼女に、パリスが魔術師である証拠を掴んでほしい、と頼んだ。 - 5.本洞穴からジャーラマレルの隠した箱を見つけ出したババ・ヴォス。
中には本が入れられており、パリスはそれを知識の宝庫だと言った。
だがそんな彼らを、密かにシャドーが覗いている。 - 6.嘘シャドーはスーターとゲザー・バックスに偵察の答えを返す。
だが彼女は見たものを告げずに、当たり障りのない日常だけを記した。 - 7.メッセージゲザー・バックスは村の所在地を記したメッセージボトルを流すことを思い付く。ケイン女王へ密告が届くように、彼は毎日これを続けることにした。
- 8.警告過去に因縁を持つことから、ゲザー・バックスとスーターに疑念を抱くババ・ヴォス。
彼は小細工で自分たち家族を貶めようとする者が居たらば、血と恐怖でもって償わせる、と言外にゲザー・バックスを脅した。 - 9.伝令タクマティ・ジュンは西の探索に手間取る。成果の出ない闘いに、彼はケイン女王へと遣いを出すことにした。
- 10.偽造軍からの伝令が聖都パヤンの女王に届く。しかし臣下の読んだそれが偽造であることを見抜いたケイン女王は、関与した三人の配下を処刑する。
- 11.視覚成長したハニワとコフン。マグラとババ・ヴォスは子供らに視覚があることを知り、パリスに相談することに。
公にすべきだと主張するパリスに対し、魔術師として露見することを恐れた両親は、12歳まではひた隠しにすべきだと言った。 - 12.約束の日12歳の誕生日を迎えるハニワとコフン。しかしマグラは箱の中身を彼らに与えることを拒否した。
救世主として死ぬよりも、皆と同じようにただ生きて欲しいと母は願う。 - 13.独断両親に黙ってパリスは箱を掘り出すと、双子に本を与える。
また彼らの実の父がババ・ヴォスでなく、ジャーラマレルという男だとも知らせた。
困惑するハニワとコフンだが、彼らは真実のため、本をこっそりと読むことに決める。 - 14.漂着ゲザー・バックスの流し続けたボトルが、遂に人の手に渡ることになった。
新たに判明した事実

ババ・ヴォスの過去
血と恐怖の男であったというババ・ヴォス。
彼はその頃にゲザー・バックスの母=スーターの姉妹をパリスと共に糾弾し、火刑に処している。
これを恨んだゲザー・バックスが、タクマティ・ジュンに密告を行っていた、という背景が見える。
またパリスから言わせると、その頃のババ・ヴォスには償うべき悪行があったらしい。
未だ明かされていないこれらが、今後の展開に関わることは必携だろう。
ケイン女王とジャーラマレルの関係
異端者を追う統治者、という関係だけでなく、かつてふたりが愛し合っていたという背景が明らかになる。
恍惚をもって祈りを捧げるケイン女王の祈りに、ジャーラマレルが介添人として付き添っていたのだ。
またケイン女王は、ジャーラマレルとその子らが聖都パヤンに出頭したあかつきには、視覚という存在を認め、神を崇拝することを捨てると独白する。
この事実は信仰の篤いパヤン住民にとって認められないことであり、彼らの来たるべき不和を予感させることになった。
シャドーとパリス

鼻利きでもその姿を見通せない、森の精霊シャドー。
だがその正体は、人間が模したものであると示唆される。
彼女にはパリスとなんらかの接点があり、恩義を感じる間柄であるように見える。
これによりスーターの託した偵察は正しく報告されず、パリスが魔術師であるという決定的な証拠は掴まれることがなかった。
その後シャドーの姿は描かれないものの、今後パリスとの過去を遡及する展開があることは間違いないだろう。
ジャーラマレル

冒頭でババ・ヴォスとハニワ、コフンを救ったジャーラマレル。
彼は弓矢を使うことからも、視覚を有していることがはっきりと示された。
なんらかの使命に則って行動しているらしく、いずれ双子が行くべき場所を示し、彼は去った。
恐らく人類に視覚をもたらすための何某かを行っていると思われる。
彼が視覚を得たのは後天的であるような示唆がエピソード1ではされていた。
ただの調理場の奴隷であった彼が、いかにして視覚を得たか。
このあたりが将来的に大きなタスクとなり得るだろう。
ロストテクノロジー
ケイン女王は処刑の際、吊るした鎖に高圧電流を流してこれを行う。
彼女が失われた技術を享受している場面は前エピソードでもレコードなどで示されたが、ここで確定的なものになった。
彼らは意図して電気を操り、ダムという設備を利用している。
臣下がしきりに心配している水量の増減については、飲み水だけでなく、水力発電の可否に関わるものと考えられる。
ハニワとコフンという名前

ジャーラマレルが授けた双子の名前。
これは「埴輪(はにわ)」と「古墳(コフン)」という日本由来の古代遺産を明確に指しており、このネーミングへの想いが現れている。
すなわち彼ら自身をして、
と考えていることになる。
むろんアルケニー族にはそのような意味合いなど知る由もないが、ジャーラマレルが日本の文化について一定の造詣がある可能性はある。
このあたりが今後の展開に関わるかは不明なものの、英語圏ユーザーなどに比べ、今回の設定は日本人にとっては優位性の高いヒントになった。
ハニワとコフンというネーミングから感じ取る意味合いは、日本国民ならば馴染み深く、海外圏では耳にしたことすらも無い、というほどの乖離があるからだ。
ドラマ「ハンニバル」などでも懐石料理をテーマとしたサブタイトルがつけられていたりと、日本文化をスパイスとして含む映像作品はかなり増えてきた。
そういう意味ではこのSEEも、日本人ユーザーがとっつきやすい部類に含まれるのかもしれない。
ちなみに男の子がコフン、女の子がハニワになる。
総評
駆け足でハニワとコフンの成長を描いたエピソード2。
準備段階としての意味合いが強く、過去の因縁を示すほか、大きく進展する物語はなかった。
冒頭で視聴者の心を掴むには、ややインパクトの薄い回となったのは否めない。
なお無料エピソードはここまでで、エピソード3からは定期購読が必須になる。

エピソード3は以下から。
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