Apple TV+より配信中のドラマ、SEE暗闇の世界シーズン1エピソード3をレビュー及び 評価、感想、解説。
あらすじ
成長した視覚を持つ子供たち、ハニワとコフン。
だがゲザー・バックスが流したメッセージボトルが、遂に人の手に渡ってしまう。
果たして彼らは、魔術師狩りから逃れることが出来るのだろうか。
ネタバレ概略
- 1.凱旋タクマティ・ジュンは貢物を大量に持ち、聖都パヤンへと帰還する。
- 2.責任多くの物資を持ち帰った将軍に民一同は称賛の声を送ったが、ただひとりケイン女王だけは最大の目的であるジャーラマレルを逃したことを糾弾する。
タクマティ・ジュンは自責を認め、自決の機会を乞うた。 - 3.狩猟父ババ・ヴォスと共に狩猟に赴くハニワ。そこで彼女は、誰もが扱えなかった弓矢を用い、見事に七面鳥を捕らえてみせる。
- 4.思想慎重で内向的なコフンと反対に、ハニワの中に強い好奇心と好戦的な一面が見え始める。
彼女は機械や爆弾の知識を本から得たが、父はそれは理解することが出来なかった。 - 5.近親ゲザー・バックスとスーターが成した子が、奇形児として出産されてしまう。
村の血が濃くなりつつあることを懸念した相談役は、祭りで他の村と交流をすることを提案。 - 6.中止ダムに身を投げようとするタクマティ・ジュン。しかし寸前でゲザー・バックスの流したメッセージボトルがケイン女王に届く。
彼女は将軍に恩赦を与え、再びジャーラマレルとその子らを捜索させることにした。 - 7.旅路村人の反発を抑えるため、ババ・ヴォスは自らの主導で他の村の祭りを訪れる。
だが聖域に残してきたはずのハニワとコフンは、こっそりと一行のあとを尾けていた。 - 8.魔術師狩り到着した村では、視覚を持つ魔術師が火あぶりにされていた。
しかし彼らの眼を見たハニワとコフンは、処刑されている人々が無実であることを知る。
残酷な世界に、コフンは耐えられず目を背ける。 - 9.奴隷早朝、村で騒ぎが起こる。奴隷狩りが現れて娘をさらわれたと叫ぶ女性。
コフンも同じく彼らに囚われてしまい、ハニワは両親に急ぎこれを伝える。
同行に驚くババ・ヴォスとマグラだったが、ともかくパリスを加え、コフンの手がかりを探ることにした。 - 10.文字奴隷商人の足跡を追うハニワ。彼女は道すがら、コフンが残したメッセージを見つける。
マグラはそこで、パリスが子供らに箱の中身を渡したことを知ってしまう。 - 11.独白神の骨で出来た塔を見つける一行。そこでババ・ヴォスは、自身に秘められた忌むべき過去を娘に明かす。
彼は単身、息子を取り返すことを約束した。 - 12.鏖殺ババ・ヴォスは奴隷の塔に乗り込む。彼は過去の自分に戻ると、鞘の中身の日本刀を抜き、商人たちを次々に殺していく。
自身の過去を知るウェックと一騎打ちになるババ・ヴォス。 - 13.決着ウェックを葬ったババ・ヴォス。しかし生き残りのひとりを、あとを尾けていたハニワが弓で射殺してしまう。
- 14.決断聖域に戻った一行。マグラは視覚を持つ子供たちが知識欲を抑えられないことを認め、彼らの意思を問うた。
コフンは「村にとどまりたい」と言い、ハニワは「外の世界を見たい」と告げた。 - 15.到達マグラは実の父、ジャーラマレルについての真相を語ろうとする。
だがそこに、タクマティ・ジュンの連れる軍犬の吠え声が遠くで鳴り響いた。
新たな事実

ババ・ヴォスの忌まわしい過去
彼の祖父の代から、奴隷商人の家系であった過去が明らかになる。
人身売買、拷問、処刑などを繰り返した過去を持つババ・ヴォス。以前のエピソードで語られた、清算すべき罪がここで明白になった。
当時の自分を彼自身で恥じている様子があり、息子を救うために過去の自分へ戻ったババ・ヴォスは、嘔吐するほどの嫌悪感を示した。
また過去の自分=抜刀という図式が見え、エピソード1では大鉈だと思われていた武器が、実際には鞘で、中に真っ黒な刀身の日本刀が仕込まれていたことが明らかになった。
抜刀したババ・ヴォスは笑っちゃうぐらい強い。
砂利を撒き散らして足音を探る戦法を使い、独特の地擦りで相手をかき乱し、ひとりずつ首を刈っていく。
- 喉笛掻き切り
- 頭チョンパ
- 喉奥に刀挿入
エグめの残酷処刑を用いるババ・ヴォス。
なるほどこれならば、封印したい忌まわしい過去というのも納得の戦い方になる。
現時点で明白になっていない過去は、ゲザー・バックスの母をパリスと共に火刑に処した部分になる。
どのような経緯があったかは不明だが、単純な勧善懲悪でないことは間違いなさそうだ。
双子の相違性

ハニワとコフンに、相違性が生まれ始める。
好戦的で破壊に興味を惹かれるハニワと、内向的で慎重派のコフン。
単なる双生児という無個性な成り立ちでなく、将来的に彼らの行く末が分岐することを示唆していると思われる。
恐らく知識を得て父の足跡を辿る内に、相容れない部分を互いに見出すことになると予想されるだろう。
双子の争いというと、2重螺旋の恋人やデビル・メイ・クライが思いつく。
同じような容姿と生い立ちであればあるほど、二分する対立構造は燃えるように熱く、また一方で哀しみをたたえることになる。
恐らく画一的な協力関係にある姉弟を描くのではなく、違う道を歩む彼らを見れると思われる。
ジャーラマレルとマグラ

行きずりの関係であったとされていたジャーラマレルとマグラ。
だが彼らの過去に、なんらかの運命的なトリックが仕込まれていたことは想像に難くないだろう。
恐らくそれは謎にされているマグラの出自と、ジャーラマレルが確信していた視力の遺伝に関わると思われる。
しかしエピソード3のラストではタクマティ・ジュン率いる軍が間近に迫っている。
マグラが次回、家族らに真実を伝えることが出来るか否か、という良いところでエピソードは切られた。
総評
奴隷商人を颯爽と血祭りにあげる父上。
恐るべき戦闘能力に、残酷処刑ムーブと、見どころたっぷりな塔のワンシーンだった。
17歳になったハニワとコフン。物語が飛躍的に進行していくのは、ようやくここから、といったところか。
なかなか楽しめて、次回の気になる仕上がりだったように感じる。
また母マグラもお飾りの聖母としてだけでなく、秘められた出自やジャーラマレルとの出会いなど、各々に語るべき見せ場と物語が用意されているのも強いポイントになる。

1-4は以下から。
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