Apple TV+より配信中のドラマ、SEE暗闇の世界シーズン1エピソード4をレビュー及び 評価、感想、解説。
あらすじ
ジャーラマレルについて語ろうと重い口を開くマグラ。
だがその時、遂に聖域へと辿り着いたタクマティ・ジュン率いる、女王の軍兵が。
アルケニー族はこの難局をどう乗り越えるのだろうか。
ネタバレ概要
- 1.包囲聖域に迫ったタクマティ・ジュン。
ゲザー・バックスは声高にババ・ヴォスの一家を魔術師と罵り、助かるためには双子を差し出すほかない、と言った。 - 2.脱出ババ・ヴォスは信頼の厚いアルカとマルタを呼び、パリスと家族を伴って川へと逃げる。
更にそこへ、母から逃げるように告げられたボウ・ライオンが合流する。 - 3.裏切り者コフンは隙を突き、ゲザー・バックスを羽交い絞めにして引きずっていく。
- 4.選択ゲザー・バックスを殺すべきと主張するハニワ。だがコフンは彼を殴り飛ばし、村の一族の元へ帰るように言った。
- 5.無慈悲タクマティ・ジュンはジャーラマレルの子供を差し出すようにアルケニー族へ命令した。
ボウの母親は、慈悲を乞うたために喉を掻き切られ、殺される。 - 6.船ババ・ヴォスは密かに作っていた船で全員を脱出させることに。
- 7.ゲザー・バックスの先導でタクマティ・ジュンは川辺に到達する。
投げ縄部隊が船を包囲しつつあった。 - 8.勧告タクマティ・ジュンは、船の者たちへ降伏を勧める。従わねば、村に戻って皆殺しの宴を繰り広げると添えて。
- 9.戦場川岸のタクマティ・ジュンと、船上のババ・ヴォスの戦いが始まる。
アルカとマタルは投げ縄に引きずり殺され、マグラも脚に負傷を負う。
なんとか逃げ延びたものの、被害は甚大だった。 - 10.一矢ハニワは弓矢を構えると、タクマティ・ジュンのそばに居たゲザー・バックスの胸を射る。
将軍に助けを求めたものの、用済みになった密告者はその場で殺された。 - 11.孤立ケイン女王は臣下に再び兵を戻すよう、強く求められた。
もはや彼女の肩を持つ者は居らず、空虚な権力に縋る女王だけがそこには居た。 - 12.伝言パリスはジャーラマレルから預かった最後の伝言を双子に託す。
そこには、「川を下った先にある、啓蒙の家で王国を築いている」とあった。 - 13.多数決マグラはジャーラマレルの影を追わず、隠れて平穏に生きていくべきだと主張した。
ハニワとコフンはそれに対立し、一同の決でそれを決めることになる。 - 14.不和ボウの一票で左右される状況になる。しかしハニワは彼女が部外者だと言い、分母には含まれないと主張。
不穏な気配にボウは、双子の意見に賛成を示すことにした。 - 15.正義臣下の企みを盗み聞きするケイン女王。彼らは民の意を汲み、女王を暗殺することがパヤンの未来だと結託する。
- 16.意思コフンはボウにとって利の無い賛成票を投じたことを疑問に思い、その真意を訪ねた。
彼女は仮に反対票を投じれば、ハニワが自分を殺す未来すらも予感していた。 - 17.反撃レディー・アンとデューン卿に娯楽の誘いを受けたケイン女王。
彼らは毒蜘蛛で女王を暗殺しようと謀ったが、逆にその場で処刑されてしまう。 - 18.盗人川辺で野営したババ・ヴォスたち。翌朝、全ての武器とマグラの思い出の品が盗まれていることが発覚。
危険を察したババ・ヴォスはすぐに出発すべきと言うが、マグラは必ず取り戻さねばならない大事なものだと固持する。 - 19.視えるその時、木陰の中に奇妙な人影を見たハニワとコフン。
- 20.閉路レディー・アンの不可解な死を巡り、民衆の暴動が激化。
全てに諦観したケイン女王が古びた装置のレバーを閉じると、ダムの放水が止まる。 - 21.瓦解水量を支えきれなくなったダムは、崩壊していく。
聖都パヤンは、その統治者自らの手によって陥落したのだ。
シャドーの正体

今回新たに明らかとなったのは、森の精霊シャドーの正体が、アルケニー族相談役の娘、ボウ・ライオンであったという事実になる。
彼女の正体など視覚を持つハニワとコフンには見破れない道理もなく、コフンによってこの事実は明かされることになった。
シャドー=ボウを知っていたのは誰か?
目の見えるハニワとコフンは間違いなく知っていただろう。
また、母親もこれに関与していないとは考え辛い。
一方でパリスやババ・ヴォスについては、実際に会話の盗み聞きをされ、その場面で「誰か居た」とすることから、1-2の偵察の時点では判明していないのは確定する。
しかしその後、ババ・ヴォスがゲザー・バックスを恫喝する場面があった。
この場面では過去の確執から推測で脅しをかける手段に出たとされたが、実際にはボウからの耳打ちがあった可能性もあるにはある。
よってある程度、友好的な関係にあったとも取れるだろう。
ボウの立ち位置
1-1で真っ先にババ・ヴォスの味方をしたアルカとマタルとは異なり、ボウのポジションはどちらかと言えばゲザー・バックス寄りだった。
これは母親がババ・ヴォスと対立していたからにほかならない。
魔術師と思しき双子の家族を、タクマティ・ジュンに引き渡す側の人間ということだ。
よって1-4冒頭でババ・ヴォス一向にボウが合流した場面で、意外だと皆が感じていることに繋がる。
さようなら、アルカとマタル

なんだかあんまりだなぁ、と感じてしまうアルカとマタルの犠牲。
およそ見せ場らしき見せ場もなく、するりと死んでしまった彼らの虚しさといったら。
鼻利きというチート能力者のマタルはともかく、ポジション的にかなりおいしいアルカがさっくり殺されてしまうのはいかがなものかと感じる。
出来ればもうちょっと、武蔵坊弁慶のごとく身体を張ったガードぶりが見たかった。
そして悠々と川を泳ぎまわり、刀で敵兵をことごとく排除していくババ・ヴォス。
これには主人公補正がちょっぴり強いと思わされた。
鼻利き絶滅?
1-1で異能力感をムンムンにはべらせた”鼻利き”の存在。
彼らの中でもアユーラに属する者は、特段の感知能力に長けていたと思われる。
そのあまりにも強すぎる効果範囲に、タクマティ・ジュンがボコられるヴィジョンが浮かんだのも今となっては懐かしい。
鼻利きという存在がアルケニー族特有のものであれば、今回将軍によって滅ぼされ、更にはマタルが殺されたため、すでに絶滅種となってしまった。
よってこれ以降、少なくともババ・ヴォスサイドでこの能力を発動することはない。
現在の彼らに残った異能力は、
- 鳥と会話し、予知夢を見るパリス
- アユーラでも感知出来ない隠密力のボウ
- 視覚を持つ双子、ハニワとコフン
これらだ。
ここにババ・ヴォスの異常な戦闘能力を足すと、五名になる。
だがタクマティ・ジュンは、1-1でゲザー・バックスに対し、「ウソを見破る能力者が居る」と告げた。
よって世界人口200万人の中で、この他にも特殊能力を有した人物が居ることは希望が持てる。
割と作品の特色にもなる異能力者の存在なので、出し惜しみせずに色々と出して貰えると楽しみが増える。
ただし、バランスブレイカーは禁物だ。
パヤンの危機が判明

ケイン女王の臣下がしきりに警句を発していた、パヤンの危機が明らかになった。
それは水源不足による飲料や発電の不足ではなく、逆にその過多によって引き起こされる、飽和状態だったのだ。
恐らく設備には非常用の水吐きなどの緊急手段が備わっていただろうが、年月の劣化で使用が困難であったか、或いは視覚を失った者らには気付かれなかったかのいずれかだ。
どちらにせよ今エピソードのラスト、ケイン女王はやけっぱちの自壊を選択した。
放水量が足りないところを逆に止めてしまい、許容量を超えたダムは決壊の危機を迎える。
経年劣化で脆くなった設備は、このあと崩れ去るだろう。
割と”どうすんの”感がスゴい
権威と都を失ったケイン女王。
民も臣下も流されて、彼女には忠臣タクマティ・ジュンしか残っていない。
彼が事実を知った時、どう女王へ接するかは見ものだ。
女王に仕える者か、神に仕える者か。
恐らくロクな再会にはならない予感がする。
この後ケイン女王は単身タクマティ・ジュンを訪ねるつもりだが、割ともう詰んでいるように思える。
配下無しで山野を駆けられるようなタフさは見えないのだ。
クマも出るし。
総評
女王側の方が面白くなってきた感はある。

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