【映画】ダブル・ミッション 報復の銃弾/ラストシーンで謎の感動【ネタバレ:レビュー】

サスペンス

麻薬と汚職を捜査する刑事を描いたサスペンス映画、The Assassin’s Codeをレビュー及び 評価、感想、解説。

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あらすじ

ある日移送中の麻薬原材料が強奪される事件が起きる。
それを契機にひとりの刑事も行方不明となり、また実行犯と思しき男たちも次々と失踪していく。

新米刑事マイケルが捜査に乗り出すと、一連の陰に大きな権力と、あるひとりのヒットマンの存在が浮き上がって来る。
すべての陰謀を白日に晒すため、若き刑事の物語が始まった。

ネタバレ概略

ネタバレストーリー
  • 1.
    強奪
    警察車両によって移送されるクリスタルメス(覚醒剤)原料、1000リットル。
    しかし周到な計画によって、それらは鮮やかに奪われた。
  • 2.
    志願
    新米刑事のマイケルは、つまらない事件ばかりでなく、やりがいのある困難な事件を希望する。
    しかし責任者のジャックはそれをあしらい、下っ端らしい振る舞いを求めた。
  • 3.
    取引
    強奪犯のデイビッドは、マフィアのカルメンに原料を買うように提案。
    カルメンはこれを受け、夜半にカルメンの店を訪れるように言った。
  • 4.
    汚職
    デイビッドはキッチン刑事と通じており、取引の成立を報告した。
  • 5.
    不払い
    カルメンは前もってヒットマン=シュリヒターを忍ばせており、店を訪れた強奪犯のふたりを殺害した。
  • 6.
    目撃
    湖畔に死体を捨てるカルメンとシュリヒター。その姿を目撃していたのは、デイビッドのあとをつけていたキッチン刑事だった。
    シュリヒターは容赦なく、刑事に向けて引き金を引いた。
  • 7.
    失踪
    キッチンの車が通報され、警察は刑事が失踪したことに気付く。
    手の空く者が居なかったため、ジャックはしばしばマイケルをこの件に指名した。
  • 8.
    陰謀
    弁護士のローラに事情を聞いたマイケルは、麻薬強奪からキッチン失踪までの全てが繋がっていることを確信。
    またその背後に、市で有力な資産家のレオネッティという男の名が挙がる。
  • 9.
    関与
    マイケルは強奪犯とコーエン建設の関係性を見出し、代表のコーエンに聞き込みを行う。
    しかしその夜、レオネッティが差し向けたシュリヒターによってコーエンは殺害される。
  • 10.
    囮捜査
    コーエン死亡によってますます陰謀の陰は濃くなった。
    マイケルは強奪事件を起こしたメンバーのひとりを特定すると、違法薬物売買の罪でその男=ケラーを逮捕する。
  • 11.
    減刑
    マイケルはケラーに減刑というエサと引き換えに、主犯のレイを呼び出すよう求めた。
    呼び出されたレイは、抵抗も空しく逮捕される。
  • 12.
    接点
    レイを尋問するマイケル。裏に控えた大物の名を吐けば消される、と嘆くレイだが、もはや彼に選択肢は無い。
    マイケルはとうとう、レオネッティとカルメン、強奪犯の接点を掴んだ。
  • 13.
    来店
    情報の裏を取るため、まずはカルメンの熱帯魚ショップを偵察するマイケル。
    しかし彼が全てを報告してきた上司のジャックは、実は黒幕と通じていたのだった。レオネッティの身に迫る危機を告げ、大胆な行動を慎むように言うジャック。
  • 14.
    口封じ
    拘置所の中でレイが殺される。危惧したように、裏切り者は生かされなかった。
  • 15.
    間者
    ローラ弁護士事務所の事務女性=サラは、レオネッティと通じていた。
    常日頃ローラの電話口を盗み聞き出来る彼女にとって、情報の横流しは容易いことだった。
  • 16.
    転嫁
    身を守るため、幼馴染のカルメンに麻薬原料の処理を任せるレオネッティ。
    利益総取りに喜んだカルメンは、偽りの友情に固い絆を感じてしまった。
  • 17.
    暗殺
    サラの自宅にシュリヒターが潜入。彼女を口封じで殺害する。
  • 18.
    裏切り
    シュリヒターはカルメンに、自宅の捜査令状を取られることを警告する。
    レオネッティによる裏切りを察知した彼は、現金を持って逃走を図る。
  • 19.
    狙撃
    自宅前で警察隊に包囲されるカルメン。抵抗をやめて捕縛されるその寸前、屋上から放たれた何者かの銃弾が彼を貫いた。
    カルメンもまた、口封じで暗殺される。
  • 20.
    追跡
    カルメンの葬式に現れたレオネッティを見張るマイケルは、そこでドーベルマンを連れたシュリヒターを見つけた。
    ローラからその犬種を聞いていた彼は、この犬の持ち主こそがヒットマンであると確信。
    シュリヒターの車を尾行する。そこは、レオネッティの邸宅近くだった。
  • 21.
    応報
    邸宅に侵入していたシュリヒターは、なんとレオネッティを殺害した。
    予想外に戸惑うマイケル。彼のあとを追うも、殴られたマイケルは昏倒してしまう。
  • 22.
    報告
    目覚めたマイケルは急ぎシュリヒターを手配し、ジャックに連絡する。
    応じたジャックはひとまず、報告も兼ねて自宅に来るように促した。
  • 23.
    誘い
    悪事に加担していたことを独白し、レオネッティの代わりに利益を受け取る悪徳警官となるよう勧めるジャック。
    しかしマイケルはこれを、一も二もなく断った。
  • 24.
    決着
    悪事への加担を拒否したマイケルを消そうとするジャック。
    だがそこにシュリヒターが再び現れ、銃をジャックに向けた。
    そして父に汚名を着せた黒幕を、自らの銃弾で葬るマイケル。
  • 25.
    誤解
    シュリヒターが悪党でなく、悪党をことごとく葬る死神だと知ったマイケル。
    彼を敢えて逃がすと、全ての過去に終止符を打つことが出来た。
    父の汚名を返上したマイケル。新しい一日が始まる。

王道直球犯罪捜査ストーリー

警部に話を聞くマイケル

小細工ナシの、古き良き犯罪捜査サスペンス。
血気にはやる生意気な刑事が、身の丈以上に大きな陰謀に立ち向かう物語になっている。
いかにも古臭くて見覚えのある、使い古しの設定ではある。

しかし不思議と悪くない。
風呂敷を広げ過ぎず、とはいえ陳腐過ぎない、絶妙なさじ加減の事件規模。
この感覚が抜群に上手かった。
キャラクターがやけにクセ強だったりもせず、落ち着いた空気感も清々しい。


ただ古典的なバディシステムを採用しなかったのには疑問もある。
特に父のくだりは古い仲間との共闘でより鮮明になると思われるので、老練な刑事を組ませることに疑問の余地は無い。
くどくても、もう少しドラマティックに演出してしまっても良かったとは思う。

とはいえ、全体的な雰囲気は好みだった。
派手派手しいトーンを嫌った、一種のアンティーク感が作中には溢れている。

ピーター・ストーメアがひたすらカッコいい

過去を語るシュリヒター

作中でマイケルのライバルとして描かれたシュリヒター。これを演じるピーター・ストーメアがカッコよすぎるのだ。
ただし別段、殺人のシーンにそれは現れない。彼の良さは立ち居振る舞いや言葉など、演技というよりは根っこに染みついた人間性そのものに思える。

特に上記独白シーンは至高。
渋い低音ボイスで語る昔話は、祖父の凄惨な過去とは知りつつも、どこか枕元で聞くおとぎ話のようで、不思議な優しさと眠気に包まれる。

またその優しさがあるからこそ、

私のために クーラントを弾いてほしい



この言葉が不気味に映えた。なんたる妙技か。

全殺し

銃を構えるシュリヒター
ぼくのかんがえた さいきょうのドイツ人ヒットマン



これを地でいくシュリヒターには、立ちはだかる脅威など何もない。

ジャケで対比されるマイケルと彼だが、実質的には対峙するシーンはほぼなく、また互いを執拗に追い詰めるような関係性でもない。映画、逃亡者のような図式ではないのだ。

シュリヒターは強すぎるあまり、作中でキズひとつ負わなければ、走ることすらない。
正直この面は、神格化すら見えた。
例え敵役であるにせよ、もう少し見応えのある危機的シーンを用いるべきだったろう。


彼の行動理念は結局、悪への私的制裁を課す代行者であった。
これらは先祖の罪滅ぼしと彼は言うが、天に成り代わった人誅を下す者は、すべからくどこか心の闇を抱えているし、そう描かれるべきだ。

だが独白によってルーツを語る以上の材料は言及されないため、これらは不明になった。
彼をもっと魅力的に描く為には、更に尺を割いても過去を匂わせるピースをばら撒くべきだったろう。

タイトルは誇張

原題は「The Assassin’s Code

殺し屋のコード。特に回収要素もなく、それらしきイメージの関連もない。
シュリヒター推しなのは分かるが、ちょっと誇大気味であるのは否めない。


邦題は「ダブル・ミッション 報復の銃弾

ミッションはシングル。父親の仇を討つという使命は、作中ラストまでマイケルは意識していない。
また報復という私的な感情で発砲はしていない。汚職警官を否定したように、あれは職務だ。


ということで、原題邦題共にミスマッチ感は拭えない。
内容と同じく、もう少し控えめな意匠が好みだった。

ラストシーン

父の遺影を飾られた警察署

全然大した思い入れはなかったのに、ラストのこの演出はヤラれた。
男はこういうのに弱い。

汚職警官として、公示すらされなかった殉職



胸につかえたものが全て融解した瞬間だった。
結末としてこういう演出を用いるあたり、かなり分かってる。
涙腺が危ういワンカットになった。

ジャックの思惑は?

彼を単なる悪党と割り切れないのは、わざわざマイケルの父に懸けられた疑惑を払拭してから死亡した事実だ。
だが彼がマイケルに真相を伝えてから死んだのは、単に物語上の都合だけでない。
彼なりの思惑を短いクライマックスシーンに詰め込んだのはかなり好印象だった。

ヒントになったのは、

もう疲れた



このひと言だ。

レオネッティ失脚や諸々を狙った末に、自分が破滅する未来も見えていたと思われる。
恐らくジャックの父を殺した慚愧は、想像以上に彼を苦しめた。
体面上抗って見せたものの、死によって安らぎを得ることを無意識に望んでいたのだろう。


結果的に作中で死亡したのは、悪の片棒を担いだ者だけだった。これはかなり異色の配置になる。

評価

張り切り過ぎない古典刑事ドラマ。あとヒットマンがカッコいい。



驚くようなトリックもなければ、結末も味気ない。
なのに不思議と満足感がこみ上げる妙な一作。

★★★★☆
四つ星の優良作。
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アメリカ、クリーブランド。新米刑事マイケルは、警察が押収した麻薬の原料、約1000リットルが強奪される事件を任される。

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