不気味な球をめぐる怪奇を描いたSFホラー作品、THE DEVICEをレビュー及び 評価、感想、解説。
あらすじ
アビー、カルヴィン、レベッカの三人は別荘地で休暇を過ごしていた。
ふとした折にアビーは、林のそばで奇妙な黒い球を発見する。周囲には何かの残骸らしきものが見られ、どうやら飛行物体の墜落現場のようだ。
嫌がるレベッカをよそにカルヴィンとアビーは球を別荘に持ち込み、それを調べ出す。
やがてカルヴィンは黒球への異常な執着を見せ始め、それと同時に別荘で奇怪な現象が起き始める。
カルヴィン

アビーの婚約者。黒い球を見つけてからというものの、毎夜のように地下室でそれを調べることを日課にし始める。まるで狂気じみたそれに、アビーとレベッカは不安と恐怖を感じ出す。
アビー

レベッカの姉。妹とはしばらく疎遠で、他の親類とも距離を置いている。人との付き合い方に難があるようだ。
亡くなった母の遺骨を散骨するために別荘を訪れた。
レベッカ

アビーの妹。過去に誘拐された事件の際、妊娠と中絶を経験している。その時のトラウマを払拭するため、カウンセラーの勧めで誘拐現場の別荘へ再び赴くこととした。
ホラー色強め

パッケージやタイトルで周知のように宇宙人の登場する作品だが、どちらかと言えばホラーの方面にベクトルは傾いている。
アビーは度々悪夢を見るようになり、その中で未確認生命体とのコンタクトシーンが何度も描かれる。宇宙人の造形自体はそこそこの出来で、ホラーで押すための不気味さと気色の悪さを兼ね備えている。
だが肝心のSF方面での演出は非常に悪い。アビーが黒い球を発見する際に、「墜落現場かも」と周囲の残骸を見回すシーンが最たるもので、あまりにも手抜きが目立った。
宇宙船の墜落した残骸を描くのに、薄い金属板が4~5枚落ちているだけというのは酷すぎる。
例え結果的にチープに見えてしまっても、時間をかけて映像を作ろうという努力は必要だ。もっとワンシーンに情熱をもって接しなければ、SFファンはあっという間に冷めてしまうだろう。
邦題の罪
ザ・メッセージ 地球侵略という罪深いタイトルは忘れて、THE DEVICEという本題でこの映画は見よう。
メッセージも地球侵略も、この映画ではほとんど当てはまらないワードになる。
展開のスピード

あらゆるシナリオ展開が遅い。おそらく球によって徐々に破滅していく彼らを描きたかったのだろうが、余りにももたもたとした展開の遅さに画面の暗さもあいまって、ついつい睡魔が襲うのを避けられない。
またメイン視点となるアビーが壊滅的に呑み込みが悪く、状況への適応力に欠けている。ヒステリックで知恵が足らず、人に当たっては現実を認められない彼女にとてつもないフラストレーションを感じるだろう。
全ては球のせい、とするにしてもかなり厳しいレベルであった。
気の短い方は視聴をお勧めしない。
評価
学生の自主制作レベルでも楽しめる方にはお勧め出来ると思う。
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