【映画】イミテーション・ゲーム/暗号機エニグマを解読した天才の半生【ネタバレ:レビュー】

ヒューマン

実在の数学者アラン・チューリングを描いた実話ベース映画、The Imitation Gameをレビュー及び 評価、感想、解説。

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あらすじ

1939年、英国と独国は戦争状態へ突入。

海軍中佐デニストンは、ドイツの無線暗号”エニグマ”を解読すべく、国内屈指の数学者を招集。その中には自薦で応募した、チューリングの姿もあった。

エニグマの解読は喫緊の課題だ。ドイツによって日々戦死者や損害を生み出している英国には、これを解読して有利な展開を引き込まねばいずれは苦境に立たされる。

しかし毎夜0:00時にきっかり暗号キーを変更するエニグマは、実質的に18時間程度の猶予で解かねばならない問題だ。
しかもその組み合わせパターンはなんと、

159,000,000,000,000,000,000通り



という膨大なシナリオに基づく。


そこでチューリングはこれを人力でなく、自作の世界初コンピュータに解かせようと試みるのだが……。

アラン・チューリング

面接を受けるアラン

ケンブリッジ大学の特別研究員。数学の天才と目されている。

人付き合いに難あり。冗談や皮肉といった言葉の裏を読む能力が絶望的に貧しく、その孤高な成り立ちを自らもある程度は把握している。

チューリング・マシンという現在のコンピュータの基盤となるシステムを構築した人物であり、彼の死までに起きた機密事項が英国政府により50年越しに解禁されたことで、本作の制作に至った。

ジョーン・クラーク

試験に遅刻したジョーン

チューリングによる公募テストの志願者。のちの、彼の妻でもある。

テストでは最も優秀な成績を出し、解読チームへと抜擢される。
彼女との出会いにより、エニグマ解読への大いなる躍進を遂げたといえるだろう。

チューリング・マシン

チューリング・マシーンの盾になるアラン

この大きく無骨なマシンは、エニグマ解読のために10万ポンドもの資金を投入して開発された。大量のアルファベットとローターが一体となり、暗号のパターンを試す仕掛けとなっている。

チューリングはこのシステムがいずれ、エニグマだけでなくあらゆる暗号を解く未来を予期していた。事実これらは後年、スリム化と電子回路の組み合わせなどを経て、我々の手元で最高の働きをする欠かせないマシンへと変貌を遂げた。

エニグマを解読し、コンピュータの基盤を作った彼だが、その人となりについては近年まで国家機密として封じられていた。この英雄についての事実の多くは軍事的エピソードを含み、またそれら全てが賛美される綺麗ごとで構成されていなかったからだろう。


冒頭で前置くように、彼への非難や倫理観を問う疑問符は一度胸にしまっておこう。
まずは事実を知ることが大切だ。

変人

同量から奇異の眼差しで見られるアラン

歴史上の多くの偉人がそうであるように、チューリングもまた奇天烈な人柄が目立つ。彼のこうした生まれつき持つ、大衆に溶け込めない性格が災いし、学生自体のエピソードでは陰湿ないじめの場面も見られる。


だが優れた天才といえど、個人の力量には限界もある。

彼は暗号解読にあたり、自分以外をおおかた無能と決めつける。頭脳でエニグマへ挑む仲間たちと異なり、彼だけはマシンの勢作に熱を上げているのだ。
こうした協調性を欠く動きは、チームワークを乱す。
現実でも同じことが言えるが、手を組んで同一の課題に挑む以上は、互いに歩み寄る姿勢を忘れてはならない。


チューリングもある時期まで、この理に気付かない。彼に共同作業の重要性を説いたのはジョーンだった。
彼女の言葉を受けて、彼の人を見下す目線が変わりつつあるさまが見れるだろう。

錯綜する陰謀

MI6の情報収集能力を見せつけるミンギス

これは単純な謎解きゲームではない。戦時下における命懸けのミッションだ。
よってチューリングを取り巻く環境にはデニストン海軍中佐や、MI6のミンギスなどが背後に存在している。

こうした人物は基本的に同陣営の味方ではあるものの、時として厄介な敵にもなり得る。
また噂ではスパイの存在も目され、一筋縄ではきかぬことを見せつけるだろう。


単一のテーマだけでなく、交錯する策謀といったスリリングな一面も有した本作。飽きの来そうな数学理論に特化せず、スパイスとして投入されたこれらに好感が持てる。
外地で起こる血生臭いものだけでなく、内地でも静かな戦争は起きていたということだろう。

死の際

かつての頭脳をもはや振るえなくなったアラン

41歳の若さで逝去したチューリング。彼の早すぎる死の謎を追うことも、本作の題材である。
偉大な業績を果たした彼の身に、どんな苦難が待ち受けていたのか。英雄はいつも、報われるものではないのか?

早過ぎる非業の死を遂げた英雄の逸話は、世界中に多く見られる。

ガロア・坂本龍馬・モーツァルトなど



太く短い蝋燭を燃やした彼らが、後世に遺した恩寵は計り知れない。
彼らの偉業をいつまでも記憶に保つことが、喪に服す代わりになることを祈ろう。

評価

史実を顧みることの大事さを伝える作品



コンピュータの成り立ちだけでなく、ジェンダーやセクシャルマイノリティ問題といった分野にも大きな警鐘を与える本作。

優れた教材としての一面が光る。

★★★☆☆
三ツ星の良作。
イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(字幕版)
イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(字幕版)

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