【映画】マシニスト/妄想の暗喩する意味合いを解明【考察あり:ネタバレ注意】

スリラー

不眠症の男に訪れる不可思議な体験を描いたサスペンス映画、The MACHINISTをレビュー及び 評価、感想、解説、考察。

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あらすじ

これはトレバーが海に死体を投げ込むまでを描いたストーリーだ。


機械工(マシニスト)のトレバーは、不眠を患ってもう一年。日に日に身体はやせ細り、目の下には色濃いくまが浮き上がっている。

彼はある日不注意で、同僚のミラーの事故のきっかけを作ってしまう。ミラーは命こそ取り留めたものの腕を一本落とす大事故となり、そのまま退職することとなった。

トレバーは事故のきっかけの要因のひとつとなった、アイバンという機械工の存在を主張。しかし周囲は彼の存在自体を否定し、トレバーに向けて白い目を向けた。

だがやがてトレバーの周囲でおかしな現象や、アイバンのつきまとう姿が現れ出す。
彼は真相を確かめるべく、アイバンを捕らえようと躍起になるのだった。

トレバー

呆けるトレバー

機械工。不眠に悩んでおり、一年近く眠っていない。
また周囲が心配するほどの痩せっぷりで、「体調は悪くない」と自称するが疑わしいものだ。

仕事上がりの娼婦通いと空港のカフェが日課で、彼の心の拠り所となっている。

アイバン

窓越しに話しかけるアイバン

謎の男。トレバーと同じ職場の機械工のはずだが、彼の存在を工場内の同僚たちは否定する。

赤のポンティアックを乗り回し、トレバーの行く先々で彼を見張っている。
一連の騒動の裏で手を引いている節がありそうだ。

BGM効果

運転するトレバー

若い年代の人は気付かないかもしれないが、音楽の趣向と使用タイミングが完全に1970~1980年代の映画仕様。驚くほど古臭いオールドスタイルに、古くからの映画ファンは懐かしさをおぼえるのでないか。

使用意図としては些か読めないものがあるが、決してミスマッチには感じない。映像自体は最新の技術で加工されているので、「古そうで古くない」雰囲気を感じられるだろう。

また同時にシーンチェンジの使い方も当時のやり方がよく見られる。時代背景がそこそこ昔のようなので、これを意識させるためのからくりなのかもしれない。

ジクソーのピース集め

アトラクションのルート666へ向かう子供

無作為な事実のピースをひとつひとつ集めるたびに、徐々に真実は見えてくる。
中でもこの「ルート666」の中での出来事は象徴的で、多くのヒントがこのアトラクションには埋め込まれている。

他にも多くの欠片を作中では探すことが出来るので、注意して眺めるのも楽しみのひとつだ。

ピースが揃うたびにトレバーは疲弊し、摩耗していく。全ての全容が見えた時に、彼はどんな「ルート」を辿るのだろうか。

狂気の沙汰

眠りに襲われるトレバー

追い詰められたトレバーは徐々に心の均衡を崩す。理性的に物事を考えることが出来ず、短気で怒りやすい性格へと変貌する。一年も寝ていなければ、当然だろう。

これを俳優のクリスチャン・ベールは非常に上手く演じた。序盤の穏やかな物腰から終盤に至るまでで、トレバーの人格や人相はすっかり違うものへと変貌している。

彼の役にかける情熱と真摯さは、この浮き出た背骨を見れば一目瞭然だ。

評価

不穏でミステリアスな雰囲気を好む方にはたいへんお勧めの作品である。
彼の過去を是非紐解いてみてほしい。

★★★★☆
四つ星の優良作。
マシニスト (字幕版)
マシニスト (字幕版)




以下、考察及びネタバレ注意。






贖罪

エンディングで示されたがこの物語は、少年をひき逃げで殺したトレバーが、自責の念から不眠に陥ったことを描いている。

分岐

AとBの分岐路

ルート666で最後の分岐点が示していたのは、

左 地獄
右 天国


であった。

作中でいくつもこの分岐は姿を変えては現れ、その度にトレバーは左のルートを選択し続ける。

やがて最後の選択に至った彼は、そこでようやく「自首」という天国へのルートを選択することが出来た。もしも空港への道を選んでいれば、眠れない日々は終わらなかっただろう。

666はすべてを映す

ルート666の不気味な人形

この興味深いアトラクションの看板は、真ん中の数字だけが後から付け足されていた。
これはルート66で事故を起こしたトレバーが、お馴染みの死の数字である666へと無意識に改変したことによる。

またアトラクション内部の人形も過去を語っている。

墓に祈りを捧げるシスター

亡くなった少年、ニコラスのことを指す。

有罪で縛り首になる男

自身へのイメージ。本当はこうであるべきと、トレバーは願っていることになる。

核兵器で滅びた町

自身の心の情景。事故現場から立ち去ったことで、彼の心は壊れてしまった。

モーテル

スティービーのところへ通い詰めて、暗い気分を発散させようとしている自分。
shadyは後ろ暗さや、怪しさを意味する。

飛び出し、事故

これはそのままの意味だ。


この遊園地に来たことは当然全て妄想であり、過去に自分が母親に連れられて楽しかったという最良の記憶を、ニコラス、マリアへ当てはめることで、これをもって贖罪としたいという願いの表れた演出だった。

彼が必要以上にマリアと親しくなる描写があるのも、全ては許された自分をイメージしたいという願望によるものだ。

洗浄

執拗に手を洗うトレバー

多くのシーンでトレバーは手を洗浄する。仕事上がりだけでなく、あらゆる場面で過剰なまでに手を洗う彼は、しかもそれを漂白剤や粉末洗浄剤を併用する念入りっぷりだ。

これはもちろんニコラスを殺害した罪を洗い流したいという示唆であり、多くの作品では洗浄という行為によって罪の贖罪を暗喩していることは周知だろう。

終わりに

「罪から逃げるな」という教訓も含んだ本作。
願わくば、そもそも罪とは無縁な人生を歩みたいものだ。

マシニスト (字幕版)
マシニスト (字幕版)

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