【映画】ウェア 破滅/ラストシーンの意味あり気カットを解説【考察あり:ネタバレ注意】

ホラー

狼男が引き起こすスプラッターパニック映画、WERをレビュー及び 評価、感想、解説、考察。

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あらすじ

ある夜、キャンプを楽しんでいた三人の親子が襲撃される事件が起こる。

父親は惨死、息子は身体の半分以上を喰い尽くされていた。唯一生き残った重症の母親の証言に、警察各所は耳を疑う。

捕まった殺人容疑者とそれを報道するキャスター

タラン・グウィネック。

現場付近に居を構えるその長身で毛むくじゃらの男が逮捕されたことに、多くの者が驚きを隠せなかった。
およそ人間の所業とは思い難いような死体の有様に、誰もが大型の肉食獣の仕業と思い込んでいたからだ。

しかし唯一生き残った被害者の証言から警察はタランを犯人と判断。逮捕、執行に踏み切った。


弁護士キャサリン・ムーアはこの件を担当。
物証や動機に乏しい当件を不当逮捕と考え、タランの無実を証明しようと奮起する。


だが、このグウィネックの一族に秘められた恐るべき秘密についてまだこの時、誰しもが全くの無知であったのだ。

キャサリン

弁護士として張り切るキャサリン

タランの担当弁護士。
フランス在住のアメリカ人で、両親ともに人権派弁護士であり、その思想を強く受け継いでいるようだ。


タランが無実であることを信じて奮闘するが、ある一件でそれを見直さざるを得なくなる。

タラン

口枷をはめられたタラン

一家殺人事件の容疑者。
背が高く、大きな手と毛むくじゃらの痩身。生き残った被害者の語る人物像と一致したため、警察は彼を逮捕に至った。


逮捕時には抵抗するそぶりも無く、また拘留中も大人しいように見える。
しかし警察は彼の取り扱いに非常にナーバスな一面を見せ、足輪、口輪、手錠を用いた過剰なまでの拘束を行っている。

ギャビン

眉をひそめるギャビン

医学、動物学に精通したキャサリンの友人。共にタラン無実の材料を集め回ることになる。


どうやら彼女とは以前に男女の関係だったらしく、ギャビンだけはまだその時の思いを引きずっているようである。

エリック

酒を呑むエリック

キャサリンのパートナー。情報通らしく、様々な分野から使えるネタを引っ張って来るのが得意なようだ。

ギャビンの存在がキャサリンの仕事の阻害になると考え、警句を送った。

狼男

体毛が生えて背が盛り上がるタラン

タイトル通りこれは狼男の話であり、また察しのようにタランの正体がそれだ。


今作では有名なおとぎ話のそれとは違い、満月が出たからといって体毛が大幅に増えて口腔の形状すらも狼になるわけでなく、あくまで凶暴性の増幅と、尋常でない怪力が特徴になる。

これは作中でタランの秘密が呪術や魔法の類でなく、遺伝子レベルに起因する病がもたらしたものであるからに他ならない。


クリーピーな怪物の登場を期待していたなら興を削がれるだろうが、しかし彼の異常性を示すには充分な演出が盛り込まれている。

人智を超えた腕力で、次々に人間を紙のようにずたずたにする狼男。
外観の変化こそ乏しいが、それを表現するにはうまくいった方であると感じた。

ゴア表現

安置所の遺体を見るキャサリンとギャビン

多くの被害者が圧倒的な腕力でもって殺害されており、その損壊は目を覆いたくなるものばかりだ。毟り取られ、捩じ切られ、食い尽くされる。


遺体の表現は非常にリアリティに溢れており、しっかりと直写でも粗の目立たない仕様だった。
筋線維まで成功に作りこまれているさまに、制作の強いこだわりを感じる。

また一部の被害者は子供であるため、感受性が強かったりそれらが苦手な方の視聴は勧めない。


恐るべき怪力を示す手法のひとつとして、「顎を毟り取る」という表現法はしばしば用いられる。対象の上顎と下顎に手を突き入れ、生きたまま縦に裂くという身の毛もよだつ手段だ。


今作でもそれがいくつか見られ、演出家の趣向がやや見られた。
しかしただ一点、クライマックスである人物がそれを受ける部分にのみ、CGが悪目立ちしてしまった。

CG自体はそこそこの頻度で使われているが、マッチしていないと感じたのはそのシーンだけだった。
秒数にして1秒ほどではあるが、惜しい気分にさせられた。

不要なアクター

モニタリングされるタラン

中盤のある一件以降、キャサリンら主役の一派はある理由で存在価値を失う。
その後の彼らの動向はストーリー的に全く不要な立ち位置である上、ややもするとイライラとさせられるだろう。


これはクライマックシーンでの演出を見越した無理な構築であり、拭いようのない不自然感が随所に溢れる。
これならばいっそ、途中退場させるべきだったのではないかと感じた。

触れる者全てを塵殺せしめるジェノサイド・ムービーテイストであるのだから、弁護士たちも等しくこの脅威を早い段階で受け止めるべきであったはずだ。


終盤にかけてはとにかくツッコミどころしか無いような行動を次々に取り続け、乾いた笑いを誘う。
パニック系映画で笑いが出てしまうのはご法度だろう。


演出や題材が良かっただけに、弁護人とその取り巻きが作品の大半を台無しにしていると言ってもいい。
彼らがファインダーに映らないリメイクを撮影したら、この10倍は面白い作品が出来上がったのではないか。

評価

とにかく惜しい。
演出やシーンのこだわりが素晴らしいのに、ストーリーの不自然さで作品の良い部分をほぼ台無しにしてしまった例だ。

細かい部分に目を瞑れるおおらかなファンにはオススメ出来る作品である。

★★★☆☆
三ツ星の良作。
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「狼男伝説」を現代アレンジした衝撃のホラー・アクション!ある夜、閑静な住宅街で一家惨殺事件が起こる。容疑者として気弱な大男が逮捕され、担当弁護士のケイトが彼の身辺調査を開始するのだが、男の過去を調べるにつれ、世にも怖ろしい伝説がよみがえろうとしていることに気づく!



以下、考察及びネタバレ注意。






ラストシーン

タランとギャビンの死闘

クライマックスでのタランとギャビンの死闘。
勝利したギャビンは森の中へ逃げ込み、タランは水底に沈んだ。


時は経ち一月後。
未だ惨殺事件はたびたび各地で起こり続け、住民はタランの仕業であると噂した。死体の上がらぬことに不安は一層募る。
事件の生き残りであるギャビンのインタビューの合間に流れる、惨死事件の報道。


明らかなことはここ一か月で起きている事件は全てギャビンによるもので、タランは恐らく死亡しているということだ。
彼の生存説を強く肯定するギャビンがそれを逆に裏付けている。


そもそもここ50年間事件を起こしていなかったグウィネック家が今回のような騒動を巻き起こしたのはひとえに警察の過剰な追跡劇であり、タランは望んで殺人をしているわけでないのは、序盤でキャサリンに対して助けを求める彼の言動で明らかだろう。


彼の母は満月のたびにタランを地下の牢に縛り付け、誰も傷つけぬように計らった。
序盤の事件当夜は、何かしらの手違いで彼は脱走してしまったのだろう。

インタビューで偽りを話すギャビン

よって直近で多くの犠牲者を出し続けている”ストラスブールの獣“事件の犯人は、恐らく殺人と捕食の快感に目覚めたギャビンによるもので間違いない。

一度はキャサリンに対して死を懇願した彼だが、今ではその気配もない。これは殺意の波動に身を委ねることが彼にとって相当な解放感を与えたということだろうか。


一方で目撃者の「毛むくじゃらで黄色い歯」という情報と彼の外見は異なっている。

これはギャビンは体質的に満月を受けると体毛が一気に生えやすいようで、グウィネック家で鏡を前に剃刀で体毛を剃り落としていたのは単純なタランとの対極を描写するにとどまらず、この部分へのヒントでもあった。

彼は犯行時に体毛をまとい、犯行後にそれを剃っているということだ。


かくして途絶えたかに見えたグウィネックの恐るべき血の呪いは、思いもよらぬ人物へと受け継がれた。

終わりに

エリックが伏線行動のようなものを見せながら、結局彼の手札はブタだった。
もう少し背景を煮詰めれば彼の存在に意味が生まれたのかもしれない。

現状で彼の登場は、作中でなんの意味もアクセントももたらしていないのが残念だ。

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