【映画】ヴィジット 消された過去/もうやめて!目を覆いたい悲劇スリラー【ネタバレ:レビュー】

スリラー

事故で消えた自身の過去を探すスリラー映画、Estrangedをレビュー及び 評価、感想、解説。

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あらすじ

カラムとジャニュアリーがバイク事故に遭ってからしばらくの時が流れた。

ジャニュアリーは依然として事故前の記憶が戻らず、車椅子の手放せない生活が続いていた。カラムは彼女が6年前に家出した実家を共に訪ね、事故の傷跡を少しでも癒そうと計らった。

父、母、兄、妹。記憶にはない家族の歓迎を受け、ジャニュアリーの心には僅かな違和感が残る。


そしてある日、カラムの姿が消える。父は、「手切れ金を渡したら、納得して帰った」と告げたが、彼女は本能的にそれが嘘だと悟った。

そして次第に屋敷での生活が一変していく。

ストーリー構成

用意された質素なベッドルーム

全編通して不愉快で粘着質な空気感が漂う。
人里離れた大きな洋館、狩猟趣味の父、笑顔の不気味な兄。

ミステリーとしての必要要素で言えば満点であり、醸し出される不快感は特筆出来る。


しかし大仰に謎を振った割には、大した秘密も秘められていないのが実態だった。
ある程度の筋書きは前半部で読めており、そこを深掘りや裏切りで驚かせる仕掛けは皆無だ。

かなり進行速度自体も遅々としており、暗さや静けさも相まって眠気を誘う場面が多すぎる。
それというのも物語の密度が圧倒的に薄く、つつけば崩れるような脆弱さを隠しているからだ。

倍以上のピッチアップと内容度の充実を図ることは必須だったように感じる。

とにかく不愉快

偽りの家族に捕らえられるジャニュアリー

後半パートでは脚本の悪趣味さが全開になった。
拷問や殺戮シーンとは異なる、何ともねばっこく厭らしい気持ち悪さが悪目立ちする。

何故、こんなものを見せられなければならないのか?



これが率直な感想だ。
単純に気分が悪く、その後の展開に必要不可欠とも感じられない。

ショッキングさで話題性を勝ち取ろうと考えたなら、この戦略は失態だ。
性的に嫌悪感を催す手法を用いたところで、忌避されるだけで、誰も話題にはしない。

ならばもっと単純なゴアシーンをウリにしたスプラッター映画化してしまえばまだ良かったのだ。
しかし後半でちょっとしたゴア表現は用いられるものの、そこすらもCGが丸見えの粗末なつくりだったのではあるが。

思慮が浅い

自害を試みようとするジャニュアリー

とにかくジャニュアリーの要領の悪さが目立つ。理性的でなく、思慮も浅い。
引きこもり気質になって自害を図ろうとする場面では、安い共感を得ようとして逆に手放す結果を招く。

こうした行動に悲壮感を感じるよりかも、苛立ちを受け取る視聴者の方が多そうに思う。
物語に絶望感を与えるためのエッセンスとして多くの失敗を描いているのだろうが、しかしそれがうまく機能しているとは思い難い。

記憶喪失

カラムとジャニュアリーが事故する瞬間
”記憶を失った主人公”



というジャンルには、既に多くの映画、小説、コミックなどが挑んで来た。
有り体に言って使い古しの古着のような分野であり、現代でこのテーマに挑むのはそれなりの労を要する。

二転、三転する立ち位置
巧妙なミスリードを一気に回収するラストシーン
想像もしない裏切りの発露



こういった創意工夫によって、各々の作品は使い古された中でもオリジナルのヴィンテージ感を演出する。”驚き”という感情を我々に与えることで、古式ゆかしい中にも新鮮な味わいを噛みしめさせてくれるのだ。


しかし本作において、こと”驚き”という部分では圧倒的な弱さしか感じ得ない。

先の読める結末
一方通行の疑惑
秘められた謎のチープさ



ミステリー、スプラッター、サスペンス、ホラー、スリラー。

これではいずれの基準にも達しない。ライトからコアまで、あらゆるユーザーの心に刺さる物語とは呼べないだろう。

評価

不愉快な洋館で辛酸を舐めさせられる主役を、延々眺め続ける傍観録



被虐嗜好の持ち主ならば、ある程度の愉しみ方は出来るかもしれない。

★☆☆☆☆
一つ星。
ヴィジット 消された過去(字幕版)
ヴィジット 消された過去(字幕版)

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