正統派ホラー映画二作目、INSIDIOUS chapter2をレビュー及び 評価、感想、解説。
あらすじ
幼少期のジョシュとエリーズの出会い。
彼女は少年に憑りつく恐ろしい老婆の正体を見抜き、彼の特殊な能力とその記憶の一切を封じた。
これにより彼は二度と幽体の世界へ足を踏み入れることなく、平穏な人生を送るはずだった。
時は変わり現代。
自分を二度も救った恩人であるエリーズを自らの手で殺めたジョシュ。
彼の妻ルネは警察からの取り調べを受ける。

状況から察するに、最有力の容疑者は誰の目から見てもジョシュである。
彼に憑りついた老婆の仕業であるなどとは、立法機関に説明しても取り合ってはくれないだろう。
また同時に、身を寄せたジョシュの実家でも怪奇現象が再発。
恐怖はまだ終わっていなかった。
果たして一家は、頼れるエリーズを失ったままで忍び寄る魔手から逃げ延びられるのか。
家と外

物語はエリーズの古い友人、カール率いる真相究明部隊と、お馴染みのジョシュ一家の日常に迫る恐怖体験のツーパートで構成されている。
エリーズの死に疑問を持った友人らは、彼女の霊魂の導きに従い廃病院、廃屋を転々と探索する。その過程で、思いもよらぬおぞましい事実が次々と明らかになる。
一方のジョシュ一家。明らかに異変の頻度は増し、長男が昏睡であった頃と相違ないまでに家中で様々な怪現象が巻き起こる。
またジョシュの様子もおかしいことに、妻ルネは気付く。少しずつ変異してゆく夫と、子供たちを毎夜おびやかす何者かたち。
黒衣の老婆と彼らという点と点が、やがて結びつき線となる。
恐怖演出

今作では新たに廃屋探索パートでPOVが用いられ、没入感を増すための仕組みが感じられる。
と言っても全編で使用されているわけではなく、あくまで効果的と思われるポイントで上手く切り替えるというおいしいところを狙った仕掛けだ。
やはり今作も王道のSE+ドッキリは健在。要所でドキッ、とさせられること請け合いだ。
だが恐怖演出時代の数は、前作より少なめに感じた。
主に伏線の回収とストーリー進行を優先した兼ね合いだろうが、やや残念ではある。
また前作の課題であった「暗すぎる」表現法だが、残念ながら今作でもその傾向が見られる。
一部場面では暗すぎるあまり、やはり今回も眠気が襲ってきた。
多くのホラー作品に言えるが、画面の全てを真っ暗にして、驚かせたい時だけライティングを用いるのは大抵失敗ということだ。
見辛いシーンが続けば続くほど、視聴者の意識はスクリーンからそれだけ離れる。
闇に対する根源的恐怖とは、そばに光あってこそ感じる。全てが闇であればそれは、目を瞑っているのと何ら変わりはしないのだから。
時系列

冒頭はジョシュ幼少期、続けて前作のエリーズ死亡事件直後へ。
この時系列は前作を完全フォローしている視聴者向けであり、途中参入でも楽しめるような仕様にはなっていない。
前作未視聴の場合、面白味が半減する恐れがあるので、必ず一作目を視聴してから今作に挑むのを強く推奨する。
また主にパーカー・クレインの薄気味の悪い過去が明らかになる過程では、回想を挟んでの登場人物らによる考察が入る。
要所で過去の記憶を洗うことになるので、少し目を離すと展開が意味不明になってしまう。
内容自体は別段難解でもないので、流れを追えば取り残される心配はないだろう。
伏線回収

一作目では全く気にも留めなかった怪現象の裏に隠れた真実が、今作で明らかになる。
これは面白い取り組みで、伏線と思わないような何でもない現象が、その実驚愕の事実であるというパターン。
こうなるとストーリーのあらゆる部分に対してついつい疑いを持ちたくなり、結果として夢中になっているという構図だ。
筆者も精巧に構築されたシナリオに驚きを隠せなかった。
まだまだ次作以降への伏線は至る部分に隠されていると思うので、目星をつけながら視聴するのも楽しみのひとつである。
パーカー・クレイン

驚愕の事実として今作で明らかになる、黒衣の花嫁の正体。
彼女、いや彼は。
まさか女装した中年だったとは、誰もが思わなかっただろう。
一般的にこうした役柄は女性の方が効果が高いとされるが、この悪霊に関しては別。
性別がどちらであろうと、おぞましいものに違いは無い。
また死後ももちろん、生前のカルトぶりも十二分に恐ろしいのが高評価だ。
特に上記シーンなど、肌が粟立つような不気味さを醸し出しているだろう。
評価
今作も正統派ホラーを貫いた、インシディアス。
またまた気になる引きを残してエンディングを迎えるのはお約束。
多くのホラーファンにお勧め出来る作品だった。
一作目はコチラ。
三作目はコチラ。
四作目はコチラ。
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