【映画】リトル・アクシデント―闇に埋もれた真実―/鬱オンリー。哀しみの嘘【ネタバレ:レビュー】

サスペンス

炭鉱事故と少年の失踪を軸に描くサスペンス映画、LITTLE ACCIDENTSをレビュー及び 評価、感想、解説。

スポンサーリンク

あらすじ

アメリカのとある小さな田舎町で炭鉱事故が起きる。唯一の生き残りであるエイモスは、亡くなった十人の仲間について調査を受けるが、事故の前後の記憶はあやふやだと答えた。

また時を同じく、少年の失踪事件も発生。消えたジェイティーと最後に会っていたと思われる友人のオーウェンは、事の真相を胸の中に仕舞い込んだ。

真実と嘘。エイモスとオーウェンのふたりの間に現れたダイアナが、彼らの心を揺り動かしていく。

エイモス

ウソを固めるエイモス

炭鉱事故の生き残り。事故によって手足にダメージを負い、回復後もわずかに障害が残った。
当時の状況を覚えていないと言うが、本当はそうでないことは誰の目にも明らかだ。

彼が真実を語らない理由として、炭鉱の採掘を執り行う自社の破産を避けることが挙げられる。
仮に会社に落ち度があることが示されれば、雇用されている全ての従業員の失業は免れないだろう。

同じく炭鉱員の父を持つ。

オーウェン

友情を羨むオーウェン

町の学生。ふとしたことで、ジェイティーの死亡する事故のきっかけをつくってしまった。
また発覚を恐れた彼は遺体を隠し、目撃者である弟にも口を開かぬよう言い聞かせた。

父を以前に炭鉱事故で亡くしており、その件で得た賠償金のことで町の住人からは陰口を叩かれているようだ。

ダイアナ

日々に追われるダイアナ

ジェイティーの母。また夫は炭鉱会社の幹部を務めており、その部下にはエイモスも含まれる。

彼女との出会いによって、オーウェンとエイモスの心は揺さぶられ始める。

とにかく暗い

湿地を歩く兄弟

アメリカの鬱屈とした田舎町が舞台で、非常に暗く湿った空気感がラストまで続く。
炭鉱採掘が町を支える一大事業であり、裏を返せばそれらが無ければ何も残らないということでもある。
この陰鬱で退屈な田舎で起こった炭鉱事故と少年失踪に住民は心を痛め、悲しみに暮れる。


全体に漂う悲壮感が見ている我々までも暗い気分にさせるだろう。そしてこの作品の行きつく先には、全てを白紙に戻せるような大逆転の満塁ホームランは存在しないことも気付く。

どう足掻こうと、憂鬱な未来しかない。失くしたものは、戻らないのだから。

深く交錯しない

消えた子供を捜索する街の住民

人間ドラマを描くシナリオではしばしば、「実は……」といった過去に遡及して運命の交錯を感じさせる手法が取られる。
こうした一見ご都合主義の運命論だが、多くの場合は伏線回収に伴って大きく盛り上がりを見せたり、爽快感を演出したりできる。

だが本作ではそういった都合の良い、「過去の繋がり」を彼らは持たない。
純粋に各々に起きた悲劇的で取り返しのつかない過ちについて、ひたすらに自問自答を繰り返すのみだ。

また炭鉱事故と失踪事件を結びつけることなど実際には何も無い。単に同時期に起きた不幸な出来事であり、その間に偶然橋渡しの役目となったのがダイアナである、というだけに過ぎない。


リアリティという部分では秀でた構成ではあるものの、エンターテイメントとしての側面では弱さを見せた。

いずれも破滅

トラックで物憂げな瞳を見せるオーウェン

現在進行形で現実に嘘や隠し事を抱えている人には、この映画はお勧め出来ないかもしれない。
彼らに自己を重ねれば、破滅しかない未来への窮状に心を焼かれてしまうだろう。

本作の行く末を遠い先まで見通せば理解できるが、彼らには救いの道はない。
仮に法的に許しを得たとして、しかしそうでない部分では永遠に怨みつらみの螺旋から抜け出すことは出来ないのだ。
やがて自分の心にすら押し潰される時は遠くない。


真実を語るも、沈黙を守るも、苦痛の道しか残されていない。
貴方が選ぶのはどちらだろう。

評価

気分が落ち込んでいたり、また落ち込みやすい方は注意。
淡々とした陰鬱ドラマ好きにはお勧めだ。

★★★☆☆
三ツ星の良作。
リトル・アクシデント―闇に埋もれた真実―(字幕版)
リトル・アクシデント―闇に埋もれた真実―(字幕版)

コメント