一軒家で起こる恐怖を描いたリメイクホラー映画、POLTER GEISTをレビュー及び 評価、感想、解説。
あらすじ
エリックら五人家族は、新たなマイホームへと引っ越しを終える。
奇妙なことは初日から起き、末子のマディソンは姿の見えない友人(イマジナリーフレンド)と会話をし、長男のグリフィンは何者かの気配に怯え続けた。
両親はこれらを杞憂と片付けたのだがある夜、三人の子供らに留守を任せた折にマディソンが失踪するという事態に発展。
すぐさま霊を扱う研究機関に相談した彼らの元に駆け付けたのは、テレビ番組で有名な霊能力者であるバークだった。
古典的ホラー?

非常に多くのホラーで見られるような演出が主。目新しいエッセンスは見当たらず、コアなホラーファンを唸らせるのは難しそうだ。
だが良くも悪くも効果的な手法を用いていることに変わりはないので、一定の恐怖感を発揮することには成功している。
人形や人影などを使った「何者かの気配」を感じさせるパートでは、そこそこの不気味さを感じるだろう。概ねCGも目立たない範囲の使用なので許せる。
ただしこれらは序盤から中盤にかけてであり、後半に至っては最新技術が目白押しだ。
アスレチックのような部屋と、やけくその閃光に崩壊する家屋。飛散するシナプスとまばゆい雷光に、極めつけの超新星爆発。
亡者の群れは精巧なグラフィックで描かれ、怖さよりも「お金かかってそう」という感想しか生まない。
この馬鹿げた乱痴気騒ぎで一気に前半までの雰囲気づくりを破壊すると、恐ろしいほどの自己陶酔ぶりでクライマックスが終えられる。
あとに残ったのは、置いてけぼりになった視聴者の呆けた顔だけだ。
本家の踏襲であるこの演出だが、現代版で同じ結末や演出である必要性は全くない。
むしろリメイクを自負するならば何かしらのオリジナリティも要求される。そうでなくてはリメイクではなく、単なるリマスターと呼称されるべきだ。
ホラーにおける「怖さ」とは何か。そういう概念をイチから見直せる、良い機会になったと思う。
もちろん悪い意味で。
テンポ良し

ストーリー運びは非常にテンポよく、イライラさせられるような場面は殆ど無い。
未だに30年前の聖杯を盲信して、お色気シーンや冗長な背景構築にダラダラ時間を割く愚行を犯すことはなく、まったくもって不要な展開を見せないのは好印象だ。
だがひとつだけ気になったのが、彼らが金銭的に苦しいという設定が必要であったかという点だ。
これにより家の窓が割れれば「出費」、天井が焦げれば「また出費」、家が粉々になれば「嗚呼、出費」と。
どうにも恐怖を感じるよりかは、彼らの財布の心配ばかりさせられてしまう。
ストーリー的に全く必要性を感じない背景でもあるため、大いに足を引く蛇足と言わざるを得ない。
溢れ出るソフト感

どうも拭えない、柔らかなソフト感が作中にこびりついている。
この何とも言えないヌルさによって、誰も犠牲にならず、誰も傷付かない未来しか見えないのだ。
ホラー、しかも脅威を扱う作品で、登場人物の身の安全が完璧に保障されていることが透けて見えたら、面白いと思うだろうか?筆者は思わない。
印象的なのはボイドがドリルの刃に責められるシーンだ。忠実なホラー作品であればあの場面で彼は死ぬか、悪くても重傷を負うべきだった。
しかし本作では無傷。一滴の血すらも流さない。
これはリメイク元になった、本家ポルターガイストの呪いを恐れたのではないか?と邪推する。
ホラー界隈では有名な、忌まわしい呪いとして語られているのだ。
このショッキングな呪いに関する噂に忖度し、敢えて過激な表現を抑えたとも思える。
血や屍を排して、ソフトコア路線に走る本作。強豪ひしめくホラー界隈で、借りて来たネームバリュー以外に着目される点はこの作品には無さそうだ。
評価
公開当時と現代では視聴者の目も違う。もはやこうした映像では、簡単に視聴者の心を揺さぶることは叶わない。
よって、12歳以下の子供には勧められるとしておく。それ以上の年齢層には何の感情も与えないだろう。
大人は本家か、似た構成のインシディアスを見る方が断然お勧めになる。
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